毛蟹を食べる犬夜叉。 - 2001年08月24日(金) 「なぁ、犬夜叉。何かわびしいよなぁ…」 「そうか?」 年の暮れに犬夜叉のアパートで紅白歌合戦を見ている男二人。 テーブルの上にはせめてもの慰みか、一応豪華な食べ物が並んでいる。 …… ガールフレンドのかごめは例年通り、日暮神社の手伝いで忙しく、犬夜叉はこのスペシァルな夜におんぼろアパートに篭城ということになった。 いや、出かけようと思えば出かける所が無いわけでもない。 それでも部屋に閉じ篭っていたのは、やはり無意識のうちに誰かを待っていたのか? そして…紅白の第二部が始まろうとしている頃。 ピンポーン。 犬夜叉がドアを開けると、そこには馴染みの顔があった。 もちろん、弥勒。 「何だ、居たのか」 「居たのかはねぇーだろ!お前から来といて」 弥勒はふふっと笑って、怒る犬夜叉を軽く受け流すと、自分で勝手にスリッパを出してトタトタと部屋に入って行く。 「売れ残りしか無かったけどよ、色々買ってきたぜ」 そう言いながら弥勒は手に提げていたスーパーの袋からビールやらお造りやらを取り出し、テーブルの上に並べた。 (何が「居たのか」だ。初めっからやる気満々じゃねぇか…) 犬夜叉は顔がほころぶのを気にしながら、目の前のご馳走に手を伸ばした。 …… カリカリ…ポキポキ…。 「あいてっ」 テレビの中の慎吾ママに釘付けになっていた弥勒が(本当か?)ふと振り向くと、犬夜叉が毛蟹と格闘していた。 ポキポキ…って、コイツ、殻ごと食ってるι。 「馬鹿っ、何やって…」 犬夜叉の口から飛び出している蟹の脚を引っこ抜く。 「お前、やっぱ犬だな…」 耳をぴくんぴくんいわせて、顔を真っ赤にする犬夜叉。 「な、何だよおー」 「そうやって食べるんじゃないんだ」 弥勒はキッチン鋏で蟹脚の両端をパチンパチンと切った。 「ほら、吸ってみろ」(←何か厭らしい展開…) 犬夜叉は弥勒の手にある蟹脚に口をつけ、ちゅっと可愛い音を立てて吸った。 「な?」 「ん、んまい♪」 「ほら…」 その様子が何となく愛らしくて、ついつい鋏で切っては犬夜叉に食べさせてやる弥勒。 「ん、もっと…」 ちゅるん…もぐもぐ…ちゅるん…もぐもぐ… 「げっ。お前、もしかして俺の分まで食っちまったのかよ!?」 気づけば皿の中は殻だらけ。 「うっそー、俺まだ全然食ってないのにー!!」 「お前の分ならちゃんとあるぞ?」 どこだよ、どこ?…と皿の中をかき回す弥勒。 「ここだよ、ここ」 あ?…振り向けば、犬夜叉がピンク色の唇を人差し指でトントンと叩いている。 「んにゃろ〜悪いヤツめ!!」 バフッとソファーが大きな音を立てた。 「くっそ〜蟹の味がしやがる〜(泣)」 「美味いだろ?」 「こうなったら覚悟しろよなっ」 「うわっ…弥勒vv…んぐ…」 …… と突然、犬夜叉が…「ちょっと待て、弥勒」 何か重大なことでも思い出したかのように弥勒の攻撃を遮った。 「?」 「この‘日々是変化’って、日記のコーナーだよな?」 「ああ。俺もさっきから何か変だとは思っていたんだが…」 「管理人のヤツ何考えてんだ?」 「いや、何でも、今俺たちの初エッチ小説を書いているらしいんだが、なかなかエッチに突入しなくって嫌気がさしたって言ってたぞ?」 「ったく、文才無いくせにそんなモン書くからだ!大体、紅白歌合戦ってさあ…季節感ゼロじゃん」 「毛蟹ネタも一体どこから来たんだか…」 「意味不明だっつうの」 「…でも、私としては初エッチはきちんと書いてもらわなきゃ困ります」 「うっ…」 再び犬夜叉に逼る弥勒。 「ま、管理人のコトはほっといて、こっちはこっちで楽しむとしましょう♪」 「み、弥勒…(恥っ)」 「お前が誘ったくせに。さぁ、毛蟹の分きっちり返してもらいますよ〜」 こうしてミロイヌは管理人の手の届かない所まで発展していくのでした。 めでたし、めでたし…? 23:24。 ...
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