日々のボヤキ

2001年11月23日(金) 告げる気持ち

先に思いを告げたのは俺の方だった。
これまで、海堂は俺に練習メニューを頼んでいた。
嫌いな奴にこんなことを頼めるような奴じゃないから、好意は持ってくれてるとは思う。
思いを告げた瞬間に、この関係が崩れてしまうじゃないかと不安にかられる。
人間の心は俺のデータを持ってしても、わかり得るものではない。
いや、わかろうなんて奢った考えは持ってはいけない。

海堂に対してだけは、データとか確率とか無視してしまう。
体が勝手に動いてしまう。
自分にも、人間らしい感情を持っているんだなぁと客観的な感想を思った。
その時、自分はちょっと変だなと感じたのは言うまでもない(笑)


「なぁ、海堂。俺と付き合わねぇ?」
「…は?なんで」
「なんでって、好きだからだよ」
何も答が返ってこない。
これまでかなぁ〜と思ったその時。
「俺、男なのにいいんすか?」
おどおどと、控えめに聞いてくる。
俺の方から告白したのだから、いいに決まってる。
でも、こんな海堂に俺は惚れた。
「いいよ。俺は、海堂が好きなんだから」
「そうすか…」
「付き合ってくれる?」
「…………はい」
小さな、聞こえるかどうかギリギリの大きさで囁く。
「ありがと。よろしくね」
「俺こそ…」


こんな感じで付き合ったんだけど(実際は、乾が色々と言いくるめた(笑))
海堂は気付いてなかったが、俺が告白してるその影で手塚がいた。
海堂に気付かれないように、そっと手塚に目をやる。

『一足遅かったな』
と、挑発するかのように海堂に手を回しながら。
海堂も、嫌がりながらも振りはらおうとはしない。
手塚の、射るような冷たい視線が突き刺さる。


でも、先に言ったものの勝ちだ。
俺は海堂を渡す気はないのだから。
いくら、手塚にだって…………!!


手塚の『卑怯な手』
これは…。
俺は知っていたから。
手塚が今日、海堂に思いを告げることを。
それをあえて先回りして、手塚の前で告げて奪った。

(俺って最悪かも………)



試合が始るほんな数分の間に、過去の出来事を思い出していた――――………


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峰谷 薫 [MAIL] [HOMEPAGE]

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