2012年01月07日(土) |
たまにはお花見を(仮)1 |
城の一室で夜な夜な不気味な物音が聞こえるらしい。
「どこですか? そこは」 もしかすると新手の泥棒なのか。性懲りもなく領主の命を脅かしにやってきた族か。表情を厳しいものにして問いかけるとノイシュはこともなげに応えた。 「厨房だよ」 予想外の返答にフォルトゥナートは眉をひそめる。 「厨房、ですか?」 「厨房、だよ」 厨房に潜む賊。一般家庭ならまだしも警備のあつい城内に忍び込む不届きなものはいるのだろうか。そんな家臣の胸中をよそに年若い領主は嬉々として言葉を連ねる。 「女中たちのうわさ話なんだけど。真夜中に変な物音がするそうだよ。はじめはネズミかと思ったけどそれが続けて起こるのさ。気になって厨房の屋根裏をのぞいてみても人はおろかネズミ一匹いない。それどころか掃除をしたてのようにとてもきれいなんだそうだよ」 「ノイシュ様。またお忍びをされたのですか」 「家(ブランネージュ城)の中なんだからそんな大袈裟なものじゃないよ」 賊も用心する必要があるが、目の前の領主にも十分注意をはらわなければならない。 今後、城内の警備にはより細心の注意をはらおう。そう心に決めるフォルトゥナートだった。
過去日記
2011年01月07日(金) 「描写力がつくかもしれない30のお題」その5 2010年01月07日(木) 「文章修行家さんに40の短文描写お題」その4 2007年01月07日(日) 人気投票最終結果(仮) その4 2005年01月07日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,38UP 2004年01月07日(水) まだまだ改装中
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