2012年01月01日(日) |
あけましておめでとうございます。 |
小銭をなくしたらしい。 「なつくーん。お金かして」 「断る」 横でぶつくさ言ってる兄(まったくもって不本意だが)を横に、賽銭箱に百円玉を投げ入れる。 一月一日。元旦の午前一時過ぎ。ほんの少し前までは紅白も終わり、行く年来る年までしっかり見ていた。普段なら家族同士で簡単な挨拶をすませて眠るところだが、『せっかくだからこのままお参り行っちゃおうよ』という佐藤家長男の提案により、家族四人で新年早々の初詣をすることになった。 初詣をするのはかまわないが、神社にたどりつくまでの出店の数々。『発育途中の高校生の胃袋が刺激されないわけがないでしょ』とは本人の談。たこ焼き、イカ焼きにはじまりポテトやリンゴ飴、最後にはもう一度たこ焼きを買っていた。境内について財布から取り出そうとして――現在にいたる。隣でけちとつぶやいているが無視だ。計画性のないお前が悪い。 鈴をならして、二礼して柏手をうつ。手を合わせたまま目をつぶって、願い事をしようとして。 「なつくん、なつくん。どんな願い事したの?」 横からの声にあっけなくくずされた。 「気が散るから黙ってろ」 「えー。いいじゃない。減るもんじゃないしさぁ」 「お前に話したら減らないもんも減る」 「そんなっ。邪険にされたらお兄ちゃんないちゃうっ」 黙れとばかりに視線をやるとそいつはよよよと泣き崩れた。おまえはいつの時代の乙女だ。 「ねーねー」 ああ、うるさい。 「試合でちゃんと当たりますようにって願ったんだ。あとは健康でありますように」 うっわ、地味という声を足蹴にすると、最後はもう一度礼をする。 「お前はどうなんだ」 逆に問いかけると、 「ないしょ」 笑顔での台詞にもう一度蹴りをいれると、とっとと帰ることにした。 「おみくじひかないのー?」 「お前が食ってる間にすませてきた」 おみくじのお金もやらないと言うと、やはりけちーという抗議の声があがった。 「僕の願い事知りたい?」 別にどうでもいい。無視を決め込むと知りたいでしょー、知りたいでしょーというまたどうでもいい声があがってきた。 しばらくすると先に歩いていた両親と合流。相変わらず仲がいいんだねという父親の大変不本意な言葉と共に家路につくことになる。 そういえば、これだけは言っとかないといけないんだろう。 ねーねーねー、となおも続く声にふりむいて。 「明けましておめでとう。今年もよろしく」
そんな感じで我が家の一日は過ぎていく。 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
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即行で書いた佐藤家ネタ。ちゃんと加筆修正できればいいんですけど。
そんなわけで、皆様今年もよろしくお願いいたします。
過去日記
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