2010年05月19日(水) |
委員長のゆううつ。43 |
「わたし一人でできないこともないんだけど、もしかしたら間違って別の場所に飛ばしちゃうかも」 あたし達の話が聞こえていたのか、リズさんがにっこり小首をかしげる。 「そういうの、脅迫って言いませんか」 「わたしの世界にはそんな言葉はなかったなあ」 やっぱりにっこり微笑み続けるリズさん。周囲を見るとだんだんあの人に似てきましたねってささやき声がした。絶対わかってて言ってる。コノヤロウ。 「でもね。あなたにとってもチャンスだと思うの」 「チャンス……?」 「お父さんに会ったことないんでしょ? だったら会ってお話してみたいって思わない?」 「思わない」 即答だった。大体、会ったことのない父親と会って何を話せばいいの。 「あたしとお母さんがどれだけ苦労したかなんて、あの人は全っ然わかってない!」 不覚にも声を荒げてしまった。 「ごめんなさい。大声出して」 自分でも意外だった。いつもは感情は抑えてる方なのに。しばらくすると、リズさんがあたしの肩に手を置く。 「特別サービスしたげる。だけど、気が向いたら連絡してね」 この時のリズさんは、今まで見てきた中で一番優しい顔をしていた。
過去日記
2004年05月19日(水) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,10UP
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