大沢昇様
急な手紙で驚かせてごめんなさい。 あなたに大切なお話があります。放課後屋上まで来て下さい。
「一体これは何なんだろう」 教室の片隅で、そそくさと紙を広げてみる。 飾り気のない真っ白なびんせんに高校生とは思えないほど達筆な字。いや、書いた奴が高校生かどーかはわかんないけど。 もう一度、靴箱の中に入ってたものを広げてみる。すみからすみまで目を通してみても、書いてあることに変わりはなかった。 これは、もしや―― 「告白の呼び出しか?」 「のわああああっ!」 突如としてわきおこった声に、クラスの全員が一斉に振り返る。 「おどかすな!」 「オレとしてはお前の声にびびったぞ」 耳をおさえながら、そう言ったのは坂井だった。背後ではそうだそうだとなぜかクラスの連中が同意している。 咳払いすると、慌てて声をかけた奴を手招きする。 「盗み見って趣味悪いぞ」 「お前が何度も何度もそれ近づけたり遠ざけたりして読んでるから気になったんだよ。なー、ショウ」 隣を見ると、なぜかショウまでいた。しかも静かにうなずいている。 「それで、何をそんなに慌ててたんだい昇君」 さっきのぞきみしてたんじゃなかったのか。 しぶしぶ手紙を渡すと、悪友はそれを左から右に何度も何度も読みはじめた。 読み終わったのは数分後。 「やっぱり呼び出しだよなー。もしくはラブレター……ん?」 「もう一度言ってください」 坂井の腕をつかみ、一言一言かみしめるように言う。『ノボル、目つきが変わってるぞ』とどこかで聞こえたのはなかったことにしよう。
またもや落書き。たまにはちゃんとした(?)学校編も書いてみたいものです。
過去日記
2004年05月26日(水) SHFH12−1
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