SkyHigh,FlyHigh!
Part,12−5
「さっきはごめんなさい」
シェリアはそう言って頭を下げた。いつもよりしおらしいのはドレスを――正装をしているせいだろうか。
「いいよ。お父さんとお母さんとの話もあったんだろうし」
「うん――」
それでも公女様はあいかわらず頭を上げようとはしなかった。
「……何かあった?」
それまでの一連を見ていたショウが声をかける。
「ケンカの原因がわかったの」
「ケンカ?」
確かに両親の仲が悪いということは聞いていた。
「ラズィアの公主と結婚するかミルドラッドの公主としてこの地を治めていくか今すぐ決めろ……だって」
『な……!』
あまりのことに、まりいはおろか、ショウすら声をかけることができなかった。
ケンカの原因ももちろんだが、結婚に公主など。目の前の少女にはあまりにも過酷ではないか。
「アタシね。これでも頑張ってきたの。アタシが頑張れば、公女様らしくしてればお父様とお母様と仲良く暮らせるんじゃないかって」
「シェリア、もういい」
「でも現実は違う。……バカみたい」
「もういい――」
それが限界だった。
「アタシ、誰かと結婚するために、国を治めるために生まれたんじゃないわ!
親子三人で生活することがそんなにいけないことなの? なんで神様はそすら許してくれないの!」
前に泣いたのはまりいを助けてくれた時だった。
今、彼女の瞳に宿るのは冷たくて悲しい涙。
何も言えず、まりいは目の前の少女をぎゅっと抱きしめた。
過去日記
2003年06月26日(木) 「EVER GREEN」2−11UP
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