紅い猫の落とす影 生きた記録|夕方|明け方
消えて欲しい人が居る。 元をかえせば自分が悪い。 自分がつけた傷が悪い。 普段隠しているがあの子は知っている。 「自分を傷つける人大っ嫌いなんだよね。」 僕のことではない。 あの子が指しているのは他人。 でも僕に言っている。 嫌いなら無視すれば良いのに。 でもあの子は話しかけてくる。 あの子は僕の性格を知っている。 僕もあの子の性格を知っている。 あの子と僕は似ている。 でも似ていないところが極端に違う。 あの子は自分の発言で僕がどう思うか知っている。 自分が言われたときのことを想像すれば良いのだから。 だからあえて言ってくる。 何も知らないように話しかけてくる。 最近あの子と会わない。 だからなんとなく忘れていたんだ。 あの子の存在。 傷跡。 でも今日あの子は現れた。 あの子は会うたびに思い出させる。 過去のこと。 自分のあの頃の気持ちが甦ってくる。 息苦しくて叫びたくなる。 あの子は過去への戒め。 逃げることは出来ない。 あの子はいつか僕を許してくれるのだろうか。 僕の前から消えてくれるのだろうか。
傀儡
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