「ペンギン・ハイウェイ」/森見登美彦
森見先生の最新作は、京都を離れて、大学生を離れて、これまでとは一味違う作品になっていたと思います。しかし、森見流は健在。おっぱい! これをSFというのか、ファンタジーというのか、ジュブナイルともいえそうな、なんともほんわかした作品です。 大きな流れで言えば、小学生が町で起こる不思議な事件について“研究”していくものですが、その合間合間に小学生なら誰もが経験する「自分たちだけの秘密」「小さな冒険」「大人へのあこがれ」「ちょっとした恋心」「ちょっとしたライバル」といったテーマが次々に出てきて、子供らしさを演出してくれます。 また事件というのが、SFらしくかわいらしい。ペンギンがなぜか発生して、<海>とよばれる謎の物体がいて、そしてそれらとは一見無縁の歯科医院のお姉さん。そしてうまく導いてくれるお父さんの存在。 この本に、小学生の醍醐味がぎゅっと詰め込まれているような、そして人生やいろんなことについて考えさせられる、文学的な匂いも感じられる作品でした。
さらに、ここに森見氏ならではの妄想が加わって、うまく融合していたから、本当に森見氏はすごい。「〜乙女」とかもよかったんだけど、これはこれで森見作品の中のベスト作品だと思います。是非読んでください。
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