「オー!ファーザー」/伊坂幸太郎
「SOSの猿」のとき、『新しいジャンルに手をかけている、過渡期なのでは』みたいなことを書きました。今回はどちらかというとSOSより前の伊坂の雰囲気が漂う本作品。連載時を考えると納得です。 4人の父親がいる高校生・由紀夫の日常、がなぜか変な事件に巻き込まれていく、という不思議な展開の話。4人の父親はそれぞれキャラクターが違い、そえぞれがとことん魅力的であり、それらのよいところが主人公に受け継がれ、いろんな問題がなぜかうまく解決していく。 「ゴールデンスランバー」などのように伏線がうまくはまっていく、といった感じではないが、飄々としているがどこか魅力的というキャラクタが多いところはこれまでの伊坂作品に負けてません。すべての父親がある意味で理想の父親なのではないかなあ。
参考文献がちょっと面白いので触れておきます。 1つ目の「東大東工大入試」の本。序盤に出てくる数学の問題(東工大の問題です)の参考にしたのでしょう。本にはフェルマの定理という単語が紹介されていますが、発想がそれににているだけで、あの問題は多分フェルマの定理では解けないと思います。 2つ目の「フェルミ推計」の本。中盤で出てきた、地球の直径は107メートル、歩幅は100メートル、みたいなことを覚えておくとよいといったところです。 ちょっと前から僕もフェルミ推計に興味があったので、妙に伊坂に親近感。
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