「夏」/森博嗣
四季シリーズ2作目の「夏」。
四季シリーズは、S&MシリーズとVシリーズとをつなぐために、その裏に隠されたエピソードに触れるためのお話になっている。 S&MとVを読んだだけでその背景を知ることができなかった人は、これを読んで「そうだったのか」ということになるし、ネットでたくさん書かれているように、そしてこのレビューでも書いてしまったように、いくつかの手がかりを元に推測をしていた人にとっては、「やっぱりそうだったんだな」とひとり顔を緩めてしまう、そんなサービス精神満点の作品なのである。
今回はいよいよVシリーズと交差する。同時に四季の性格が少しずつ見えてくる作品である。当初四季は「並列処理ができるコンピュータ頭脳の人間」ということで考えていたけど、今作品では恋をしたりいろいろ悩んだりと大忙しだ。もっと冷徹な人間の設定なのかと思っていたら、意外と普通な部分が見えてしまって、これでは並列処理ができるところ意外は普通の人間に近い気がする。
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