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「予知夢」/東野圭吾
2007年03月22日(木)

 17日に読んだ「探偵ガリレオ」の続編。またまた刑事草薙と物理学者湯川のコンビが難事件を解決するといった短編集。

 今回は前回よりオカルト色が強くなったと思う。しかし、そもそも物理学が何かを解決するといえば、それはオカルト的な何か、すなわち常識的に持ちうる科学で説明できない事件が起きたときに初めて、この天才物理学者湯川の出番が来るわけで、そういう意味ではオカルト事件が増えるのはしょうがないだろう。

 今回も「本当にその事件・現象は起こりうるのか」あるいは「そのトリックは成り立つのか」という点について第2章を挙げて考えたい。
 第2章では、犯人を挙げた根拠として、ポイントとして「ガリ」があったと書いてある。古い音響機器のボリュームつまみを捻るときに鳴るがりがりとした音を「ガリ」というらしいが、これを判断の根拠としたと書いてある。丁寧にもラブホテルを取り上げたデータまで書いてある。しかし、それはラブホテル特有であって、さすがにその部屋で同じ現象が起こるとは考えにくい。さらに見た感じでは新しい音響機器となればなおさらである。ちょっと強引なような。
 ──ちなみにネットで検索してみたら、この音から女性の存在を推理する話は他にもあるとかないとか。偶然の産物だと思うけどなぁ。

 まぁ、そんなことを言ってもはじまらない。本文中で草薙が言っているように「犯人が分かっていても、その科学的な事実が分かることで、事件の本質が分かるようになる」というのは真理だと思う。
 できれば、この作品には参考文献をつけてもらいたいと思った次第だ。


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