トトロとか
ドラえもんがいればいいのに…と
君がつぶやいた。

酷いニュースが続いた後のことだった。

僕もそうだね、いたらいいのにね
って思ったけど、僕にとっての
トトロやドラえもんは
傍にいるのかもって思った。
思ってしまった。

だから、いるんだよ、って
応えてた。

トトロもドラえもんも
同じ空気吸ってて
見える人には見えるんだよ、きっと。

君は、ちょっと顔をしかめた。
聞きたかったのは、そんな言葉じゃないって
顔をした。

仕方ないな、という顔をして
何か言おうとした唇は
少し開いたけど
言葉は出て来なかった。

少しの沈黙。

そうだね、って君が言った。
泣きそうな顔と震えてる声で。

とっさに謝ろうとして止めた。
君はきっとそんな言葉を望んではいないだろう。

僕はばかみたいに
いるんだよ、きっと、って繰り返した。
みんな見えるようになればいいのにねと
棒読みして。

君の声は聴こえなかった。
代わりの嗚咽が部屋を満たして行った。