ぴょんきち活きる、生きる道
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今日は風があって比較的過ごしやすく、夕刊配達ものぉんびりとしたもんだった。
何年も同じ区域を配っていると、あんなことがあったなー、こんなことがあったなーとふと思い出を回想しながらの配達になってしまったりする。 (あまり考え事をしてると事故るので気をつけましょう。)
たまに、黒飴のおばあちゃんについて思い出す。 そのおばあちゃんは、2紙もうちから購読して下さっていて、ご主人と二人で、お庭のとっても綺麗な、立派な一軒家に住んでいた。とっても品のいい方で、田舎育ちの私は、オババといえば田畑ともんぺ姿を連想するような感じだったので、なんだか新鮮な思いでそのおばあちゃんと接していた。 おばあちゃんの口癖は、「あなた健康に気をつけるのよ、人間はそれが一番ですからね」で、集金の時、ほとんど毎回身体に良いからと、黒飴を2、3個私にくれた。そしてそれが3年くらい続いた。 桜が満開をむかえる月にいつものように集金に行くと、玄関先にご主人と娘さんが出てこられたので「おばあちゃんは今日はお出かけですか?」と聞くと、おばあちゃんは、つい一週間前に急逝したと告げられた。眠ってる間に亡くなられたとのことだった。私は思わず、かぶっていたヘルメットを取り、仕事も忘れて泣いてしまった。私はちょうどその頃、食中毒で休んでいたのから復活したばかりだったので、 お通夜もお葬式もわからず、その事がなおさら無念だった。
それから1年以上が経った現在でも、ご主人が新聞を取って下さっている。 今では集金の時、これまたダンディなおじいちゃんに「私がもうちょと若かったら、 お姉ちゃんに結婚を申しこんどるぞ」とからかわれている。 御年八十数歳、いつまでもお元気でいてほしいと願うばかりである。 そう、黒飴をなめながらそう思うのである。
ぴょんきち
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