Mother (介護日記)
Index|Yesterday|Tomorrow
2003年03月29日(土) |
入院6日目 ( 家族の支え ) |
午前中は晴れていたようだったが、ぐうたら寝ていたので良くわからない。
バナナを入れた杏仁豆腐とリンゴが取り敢えずのお昼ご飯。
4時過ぎから雷が鳴り出して、時折停電していた。 レフティーにコーヒーを淹れてもらったのを飲んだところで、病院へ。
春休みだからか、雨が降り出したからか、道がやや込んでいた。 こんなお天気でも、海にはサーファーが数人。
毎日『今日の調子はどうだろうか』と心配しながら病室に向かう。 低気圧の接近が、老人の体調に微妙に影響すると以前に看護婦に聞いた事があるし。
病室に入ると、 ライフスコープが『ピンポンピンポン♪』と音を立ててオレンジ色のライトが点滅していた。
見ると、 母は鼻からの酸素と、指にはめる洗濯バサミ(動脈血酸素飽和度測定機)をしていなかった。
鼻には酸素のカニューラ。
胸には心電図の電極パッド。
左人差し指には洗濯バサミ。
左手首には点滴の針・・・
こんな状況では、パジャマの上と肌着シャツの着替えができない。
今日は夕方のこの時間でもまだ点滴(ソリタT3号500ml=血液代用剤)をしていた。 まだ5分の1程度しか落ちていない。 この量だと、夕飯の時間までにはとても終わりそうにない。 およそ15秒で10滴だから、500mlが終わるまでには3時間ぐらいかかりそうだ。
動線を考えて、 点滴スタンドをポータブルトイレに合わせてベッドの右側に置いてもらったが、 点滴をしているのが左手なので、 ベッドの上ではどうしても体の上をコードがまたぐ形になってしまう。 そうかと言って、点滴を右手にしてしまうとご飯を食べるのに利き手が不自由になるし・・・ 本当は、すべてをベッドの左側に置くのが一番だと思うのだが、 母の左側には他の患者さんがいるので、トイレをそちら側にはできないのだろう。
そうやっていくつもの線につながれた状態で夕飯を食べているのは、見ていてもかわいそうだ。 左の人差し指に洗濯バサミをしていると、ご飯茶碗も持ちにくい。 無意識にはずしてしまうのも、わかるような気がする。
ライフスコープを見ていると、母の心拍と心電図は頻繁に変化をする。
心拍は、50台〜160台。 安静に横になっている状態で80台。 どうやら120を超えるとオレンジ色の点滅と「ピンポン」が鳴り、 140を超えると、赤の点滅で「ピリリリ」に変わるらしい。 心電図の乱れとも連動しているようなので、一概には言えないが。
セキをする・起き上がる・トイレに立つなどの動作では、もちろん数値が上昇するのだが、 たかだか食事をしているだけでも、心拍が上がったり心電図が乱れて警報が鳴るのだから、 心配になってしまう。
看護婦(おそらく病棟の婦長)が体温と血圧の測定に来たので、 昨日の血液検査の結果が出ているはずだが・・・と聞いてみたが、 「外に出すような検査でなければ、もう結果は出ていると思いますが、 特別に数値が上がっていたなどということがなければ、 こちらには連絡がありませんので、 良くなっているか、特に変わりがないということだと思います。」との答え。
入院の予定は1〜2週間と言われたものの、 もう6日目になるが、とても明日明後日に退院できるとは思えない。
土日にかかるので、病棟の担当医Nに会えるのは月曜以降になるが、 これまでの主治医Kと違って、口数の少ない気難しいタイプの先生である。 いつも酒を飲んだ後のような赤い顔で、白衣のポケットが薄汚れていて、 髪はいつもベットリで、外来で見かける限り、良い印象は持たなかった。
外来で今回の入院を指示したT医師は、同じ病室の他の患者を見に来るが、 母の所は素通りして行くので、すべてN医師に任しているのだろう。
主治医Kは、以前の入院時には病棟まで毎日のように足を運んでくれて、 廊下で会うと、たとえ一言でも母の様子を教えてくれたものだったが・・・
19時少し前、約束通りにレフティーが病室まで迎えに来てくれた。
母は、入院前にレフティーにおんぶしてもらったことが余程うれしくて、 「また、おんぶしてもらいたい」と言っていた。
母の入院で、普段にも増して疲れてしまって、 毎日夕方から面会終了の7時まで病院に詰めていると、 家事も、特に夕飯の支度が疎かになってしまうので、 気力体力が低下しているこういう時こそきちんとした食事をとらねば、 こちらが倒れてしまう、と気に掛かる。 いっそ、お手伝いさんでも雇って、 洗濯や買出しや夕飯の調理やらをしてもらおうかなどと、車の中で考えていた。
しかし帰宅すると、お風呂が沸き、ご飯が炊けていて、 ただ座って待っていると揚げたての鶏のから揚げ丼と味噌汁が運ばれて来た。
優れたスタッフに恵まれて、私は幸せな奥さんだ。
しかも「デザートがない」と言えば、すぐにプリンを作り始め、 クタクタと寝ている間に、冷え冷えの黒ゴマプリンと普通のプリンができあがっていたのだった。
もちろん、食器の後片付けも既に済んでいて、 私はレフティーが奥さんなら良かったのに、と思った(笑)
|