| 2006年03月12日(日):すれ違い |
コーヒーは、19時で帰るといったのに。 彼は話を聞いていなかった。 そして、夜半過ぎまで戻ってこなかった。 小さな、小さなすれ違いかもしれない。 でも、そんな些細なことすら、今のコーヒーには辛い。
彼は息苦しいのに。自由になりたいのに。 不安で不安で仕方なくて、開放してあげられない。 こんな自分がすごく嫌で仕方ない。
この不安は、煙草とお別れするときに似てる。 嫌いにならないでって、どれだけ願っても、そればっかりは、お願いしたら聞いてもらえるものではないから……。 また、あのときみたいに、どんなにどんなに願っても、ひとりになっちゃうんだろうかって。 折角、彼のことが信用できると思えるようになって、ようやく、煙草と別れたときの辛い記憶を忘れられるようになってきたなって思えるようになってきたのに。 あのときの気持ちがまた思い出されてしまって。
どうしたら、この不安がなくなるんだろう。 この不安を忘れてしまえるんだろう。
そして彼は、コーヒーに挨拶ひとつせず出かけていった。 掃除を頑張っている自分が、ものすごく馬鹿みたいに思えてきた。
コーヒーママから電話があった。 「独りでも生きていけるように、強くなりなさい。 辛いことがあっても、彼氏なんか頼らないで。 もっと私たちを頼りなさい。 もっと私たちを信用しなさい。 辛くなったら帰っておいで。 子供の頃のように抱っこしてあげるから。 彼氏はどこまで言っても他人だけれど、私達は親子なんだよ。 お前は純粋すぎるから、人より傷つきすぎるから。 普通の人には、お前がどれだけ傷ついてるかわからないんだよ。 お前はまだまだ子供なの。 私達でも手を焼く子供を、赤の他人が理解できるわけがないの。 今まで育ててきたんだから、彼氏よりもずっとお前をわかってあげられるはずだから。 本当の理解者に出会えるまでは、私達が生きている限り、あなたを育ててあげるよ。 だから、もっと強くなりなさい。 誰にも頼らなくていいように、強い大人になりなさい」 厳しく説教された。 |
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