| 2007年01月11日(木) |
そこから何が見える? |
携帯使いやすい!やはり同じ会社に限る。というか同じ会社の携帯に惚れたところに運命を感じませんか?(ません)でも客観的に見てボタンの大きさとか押し具合とか画面の縦横の比率とか素敵だと思うんですけど…(携帯バカ)
鉄コンやっと観て来ました。鉄コンファンは絶対観に行け。と言いたい。原作で感動したなら映画も感動します。原作をスルーした人なら映画もスルー…するか!?これをスルーできるのかー!? ピンポンは原作を全く知らなかった分、演出やキャラクターや音楽に衝撃を受けたというかかなり萌え要素が濃かったというかまあとどのつまりがスマイルだったわけなんですけども、鉄コンは松本大洋の世界をそのまま彩ったかのようです。そのまま、色と音と声と動きつきで、松本大洋の世界に2時間浸れるんですよ。あの世界が目の前で展開するんですよ。もー幸せ以外のなにものでもないっちゅねん…。エンドロールが流れ終わったところからずっとボーっとしてるんですけどこの感動だけは伝えねばならないとキーボードを叩いている次第でしてね!(熱い) 以下ネタバレ反転。
シロ=蒼井優。CMの印象と変わらないどころかすごいの一言に尽きる。シロってこんなに存在感があるんだなって。シロのシロらしさが映画を左右した部分は確実にあります。 クロ=二ノ宮和也。抑揚のつけ方が玄人っぽい。声が寂しいと思った。笑ってても話しても泣いても出てくるその寂しさの全てがクロだった。
主役2人以外は変わってもまあさして違和感とかはないと思いますけど、この2人はねー…よかったです、監督が引き抜いてくれて。声だけ聞いて選んだっていうのは嘘じゃないと思った。
単行本3冊、ほぼノーカットでした。それ嬉しかったなー。細かいことで言えば、アサヨル兄弟と対決するときの「5時作戦」で時計台を見る一般人のコマ。「あそこに人がいるよー」「あー本当だ人がおるわいなー」みたいな特に意味の無い会話をする親子らがいるコマ。この松本大洋独特の地味なコマをわざわざ映像化してるところとか、足をバタバタさせたくなります。そしてアサヨル兄弟のしゃべり方が想像していた通りだったのも嬉しかった。
街の映像、これも大きいと思うんですけど、実は原作とはちょっと違う。うーんともう少しレトロ…な気もする。色がある分そう見えるのかもしれないんですけど。あとゴタゴタ感が増してて、ありそうだけど実際はない感じ。サイトからリンクしてある「帝国少年」さまのイラストから受ける印象と似てると思いました。そこここで見覚えのあるような懐かしい感じがするんだけど、一歩離れて見ると現実にはないなっていう…。ただ、確かに原作とは違うんですけど、そのありそうでなさそうな感じこそが鉄コンの世界だと思うし。
ネズミの最期は原作より余韻があった感じですねー!木村の顔をなかなか映さないところとか、手が震えてるところとかは、映画ならではだなーと。科白もコマも一切カットせずに、丁寧に丁寧に作ってた。ここはありがとうと言いたいです。ネズミのシワの具合とか笑い顔とか、いいよーいい感じだよー。
殺し屋との戦いはわりとエグいです。さすがに顔面貫いてるところは映らなかったけど、結構やることやっちゃった感じ(バニラの耳とか…あれって両耳だったっけ…?)。怪我とか血溜まりとか特にリアルなわけじゃないんだけど、シロとクロの怪我はどういうわけかとても痛そうに見える。見てるこっちがお腹とか肩とか押さえたくなります…。
私はシロがクロと離れてから(というか離されてから)の沢田との関係が結構好きなんです。大人に囲まれたシロが子どもっぽく可愛く見えるし、沢田の表情がどんどん柔らかくなっていくのも好きで。沢田が「シロはああ見えてずっと頭がいいですよ」って笑って話すところとか、1巻じゃ想像できない。あれって「沢田はクロに似てる」って話すシロの力だよなー。 逆にクロは大人びた科白を言ったりするのが好き。「バビロンを築いたのはネブカドネザル2世だよ」ってライターの灯を差し出すところとか、「じっちゃがいてくれて助かったよ。最近シロのやつ、オレの言うことちっとも聞きやしねえ」って風呂場で嘆くところとか。もちろんそういうシーンはすべてあったし、「さっさとシロをつれてけ。そういうフザけたこと言ってるのがウザいんだよ」ってカラスを肩に乗せて電柱の上から見下ろす(細かい)のもありましたよー!クロの立ち姿格好いいねん。もう11歳とかどうでもいいねん。
唯一、本当に唯一残念だったのが、イタチとクロのやりとりのところ。崖に片手で掴まるクロが、唐突に「今朝リンゴの種が芽を出したんだ。オレは内心こんな街で芽なんか出るかって鼻で笑ってた…」って静かに話し出すところがすごくすごく好きだったんで、そこがないのが心残りです…。シロとクロが全く別の場所で「クロ」「シロ」と互いの名前を口にする名ページもなかったなー。なぜに?なぜにだッ?(シロ)そう言えばイタチが緑色だったのには驚きました。しかも髪が赤って…。まあそうした方が架空と割り切れますけども。右目の傷はギリギリまで映さない方が良かったと思うんですけどね。あと映画のイタチは最初から右手を怪我してるんですけど、そこもどうして後から傷をつけた原作風にしなかったのかが不思議。
そしてアジカン。「そこから何が見える?」って歌詞が流れたときうわー!と思いました。この人たち本当に映画のためだけに唄を作ってるよ!笑。一度ゆっくりとしたエンドロールが終わった後にアジカンのテンポでエンドロールが始まるのもいい。リンゴネタを出さなかったのはこのエンドロールのためだというのはわかったけど、ううー、やっぱりあれは本編で見たかった…。「あいつ(シロ)は偽善の象徴だ」と言うイタチに対して「シロの植えたリンゴの種が芽を出したんだよ」というクロの答えは、言うなれば次のシーンへの最高のドラムロールになるわけです。
漫画のコマ割りで省略されている余韻を補完して、鮮やかにして見せてくれている感じ。だから漫画の読後感そのままに映画が強烈に残るんだと思います。これならGOGOモンスターも映像化できるのでは…。 濃い2時間でした。製作者側の愛情と根気とこだわりに、感謝の気持ちでいっぱいです。
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