2009年04月09日(木) |
米金融危機:抜本対策はいまだできず |
報 道
1、FRB:景気見通しを下方修正 FOMC議事録 毎日新聞 2009年4月9日 3、FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で 毎日新聞 2009年3月19日
米国は金融危機対策として、金融機関などに資本注入と、FRBによるドル札の大量発行のよって、3000億ドルの長期国債買い取りなどを行っている。しかし、肝心の金融機関の不良資産の解決策未だに最終決定していないのである。
米政府にとって大きな誤算は、報道2の通りAIG問題で公的資金への批判が一気に強まったことだ。バッドバンク構想には「最大4兆ドル(400兆円)前後の公的資金が新たに必要になる」(市場関係者)との指摘があり、米政府も「少なくとも1兆ドルは(100兆円)かかる」(ガイトナー長官)と公的資金の追加投入に理解を求めてきたからだ。
大きなポイントは、米国の金融機関に抱える不良債権は100兆円〜最大400兆円もあるとの予測なのである。具体的にはバッドバンク構想で、経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関を発足できないでいる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1、FRB:景気見通しを下方修正 FOMC議事録 毎日新聞 2009年4月9日 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、3月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表し、その中で米景気見通しを事実上、下方修正したことが明らかになった。1月の時点では09年後半には一定の回復基調が表れると予想していたが、議事録では実質国内総生産(GDP)が09年後半に「徐々にマイナスから横ばい」となり、10年には「極めて緩やかな回復にとどまる」と表現を下方修正した。 1月にまとめた見通しでは、09年後半にはオバマ政権の打ち出した大型景気対策の効果で一定の回復基調が表れると予想。10年の成長率見通しについては、2.5〜3.3%と高めのプラス成長を予想していた。 議事録によると、FOMCでは、大半の委員が「短期的には依然として景気の下振れリスクが強い」と指摘し、最大3000億ドルの長期国債買い取りを決断したという。一部の委員からはデフレを警戒する意見も出るなど、米国経済の先行きに対し厳しい見方が相次いだ。 委員の多くが、特に輸出の落ち込みを警戒しており、「世界的な景気の急激な落ち込みで、需要が大幅に減少している」と厳しい認識を示した。また、雇用情勢の悪化は10年まで続き、失業率も上昇を続けると予想した。 ただ、金利の低下や信用不安の緩和など市場環境が改善しつつあることなどから「緩慢なペースではあるが、景気は回復に向かう」との見方も示した。 【関連記事】 通貨交換:ドル以外でも協定 日米欧5中銀 欧州中銀:金利年1.25%に 過去最低を更新 FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で 与謝野財務相:日米中央銀行の金融緩和策を歓迎 東京外為:ドル急落95円台 毎日新聞 2009年4月9日 10時39分 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 3、FRB国債買い取り:次の手打てぬ米政府 AIG余波で 毎日新聞 2009年3月19日 【ワシントン斉藤信宏】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、長期国債の買い取り方針を決め、一層の量的金融緩和に踏み込んだ。だが、不良資産を金融機関から切り離すための官民合同の「バッドバンク」構想の具体化など、金融安定化のための抜本策を米政府は依然、打ち出せていない。さらに米保険大手AIGの巨額ボーナス問題で、ガイトナー財務長官が批判されるなど、オバマ政権への信任も揺らいでおり、金融危機脱却への道は険しさを増している。 オバマ大統領は演説で「ガイトナー長官が近く金融安定化策の詳細を明らかにする。米国経済復活への道が開かれる」と繰り返してきた。そのたびに観測報道が相次ぎ、市場でもバッドバンクの詳細発表への期待感が高まった。ところが今週に入り、政府管理下で経営再建中の米保険大手AIGの巨額ボーナス問題が表面化し、米議会を巻き込む大騒動に発展。共和党のシェルビー上院議員が「またしても彼(ガイトナー長官)は蚊帳の外にいる」と無策ぶりを責め立てるなど、非難の矛先を向けられた米財務省は、身動きの取れない状況に陥った。 米政府にとって大きな誤算だったのは、AIG問題で公的資金への批判が一気に強まったことだ。バッドバンク構想には「最大4兆ドル前後の公的資金が新たに必要になる」(市場関係者)との指摘があり、米政府も「少なくとも1兆ドルはかかる」(ガイトナー長官)と公的資金の追加投入に理解を求めてきたからだ。だが、AIG問題の影響で、新たな公的資金が必要な対策への国民の理解を得るのは極めて難しくなった。 FRBがいくら大規模な量的緩和策をとっても、バッドバンク構想など抜本的な不良資産処理策が動かない限り金融危機の沈静化は期待できない。金融安定化策を巡る迷走が続く中、米国では国民生活の不安だけが増幅し続けている。 【ことば】◇バッドバンク(Bad Bank) 経営が悪化した金融機関から不良資産を買い取り、管理、処分する機関。金融機関が含み損を抱える証券化商品などを保有したままだと、一層の価格下落で損失が膨らむ恐れがある。完全に切り離せば、損失拡大は食い止められ、財務の健全性確保の第一歩を踏み出せることになる。米国では、80年代後半、貯蓄貸付組合(S&L)の破綻(はたん)急増に伴い設立された整理信託公社(RTC)が代表例。日本では、銀行の不良債権を買い取る整理回収機構が相当する。
【関連記事】 AIG:「ボーナス全額返済は不可能」公聴会でCEO AIG:CEO「ボーナス支給にFRB同意」 AIGボーナス:高率課税で回収も 高額に米議会反発 オバマ大統領:強く非難、阻止を指示…AIG高額賞与支給 毎日新聞 2009年3月19日 21時56分(最終更新 3月19日 23時55分)
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