東京は僕にとっては
はるか彼方の国。
いつもテレビの中で
華やかに。
時には恐ろしく
その姿を僕に見せつける。
そしてそのどれもが
僕にとってはなんら関係のないことであったりする。
そんな遠い存在でしかない。
見よ。
僕は今、その東京に足を踏み出す。
田舎から上京する数え切れない若者の1人として
その底の見えない懐へと潜り込もうとしている。
自らの力を試すために。
自らの可能性を。
そうさ。
僕のちからを見せ付けてやる。
この東京に。
全ての人々に。
僕が確かにここに存在しているということを
高らかに宣言してやる。
僕は負けない。
なにものにも負けない。
この街がどれだけの人間を飲み込んでいようと
たとえ魔物のような街であっても
僕はその中で
いつも確固たる
僕というものを叫び続けてみせる。
僕は負けない。
負けな脱ぎてぇ!
なんですかコレ。
どういうことですかこの暑さは。
この湿度の高さはなに?
飛行機から降りた途端、負け戦じゃないですかっ。
明らかに空気の質が違うじゃないですか。
同じ日本ですか?
空気が強引に熱を与えてくるような。
まるでビニールハウスの中みたいです。
素でトマトもぎのバイトとか思い出しましたよ。
コレってトマト茹でさってんじゃねぇの?ってくらいの。
なんでそんな思い出を連想してるんですか俺。
ありえねぇって!
つーかごめんなさい。
僕が悪かったです。
どうやら東京甘くみてました。
完全にナメてました。
考えが足りませんでした。
ほんとすんません。
ごめんなさい東京さん。
マジすんません。
いや。ホント。
怒ってますか?
怒っちゃったりしてます?
やだナぁ。
冗談ですよね?
まさか本気で怒ってないですよね?
ボクなんかに本気になるわけないですよね?
東京さんともあろうお方がまさか・・・ね?。
試験終わる。
↓
宿となる知人の家へ
↓
いるはずの知人がいない。
↓
クソ暑い中、家の前で待つ
↓
4時間経過(しかもスーツ)
東京さん、本気だしまくり。
すごいヤラれっぷり俺。
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