ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
この間の帰省の折に、みちえさんに北大路公子の最新刊をプレゼントした。
って、わざわざ買ったのではなく、読み終わってしまったやつで、サインしてもらうための本は別にあるから大丈夫なんだけど。 そこら辺のけち臭さは誰に似たんだろか?なにが大丈夫なんだろか?
「お母さん、これ面白いからあげる」 「わ〜!ありが・・・って、この人の本前に読んだ人?」(枕元に靴のこと) 「そうだよ。今度はサンデー毎日の連載のやつ」 「お母さん、前にも言ったけど、苦手なのよね〜」
そう。 『枕元に靴』の続編、『最後のおでん』を貸してあげようと云ったのに(それもうちに複数冊あるんだけど、どれもあげられる状態ではなかった)、 「読まない」と断ったのだ。
なぜかというと、 「笑っちゃうから」
「この本ね、面白すぎて。電車の中で読んでいて、可笑しいのを我慢するのが大変だし、我慢しないで笑っていると変な人に見られるし・・・」 「それにね、寝る前に布団の中で読んでいると、面白すぎて寝られなくなるの」 が、その理由。 まぁそこら辺のことは、北大路公子愛読者なら必ず経験することなので、よく解るのだけど。
「今度のは週刊誌に連載してたやつで、モヘジ度も前のより低いから大丈夫!」 と、屁理屈御託を五色に並べて、無理やりおいてきた。 先日、電話で話している折に、 「そうそう、お母さん北大路さんの本読んでるの。あの浅草寺とか上野動物園に一緒に行った友達ってあなたたちのことでしょ?」 「そうだよ。実際はあの本(に書かれている)以上に面白い道行だったよ」
今、みちえさんは大魔人のことでかなりストレスが溜まっているらしく、電話を掛けてきては愚痴ることが多くなった。 普通の健康な状態の時でさえ、気難しくてお天気屋の勝手気ままな大魔人なので、一緒に暮らすのはかなり大変らしい。 普段は会話も笑いもない生活に陥りやすいんだろう。 あの本を読んでおこる笑いは、今のみちえさんにはとても心が休まるのだろう。 無理にでも置いてきて良かった!
「で、そんなに気に入ったんなら、枕元に靴の続編送ろうか?」 「ううん。怖いからいい」
何処に意地を張っているのか、『最後のおでん』はかたくなに拒んだみちえさんだった。 何が怖いかは、よく解らない。
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