天下無敵な過ごし方
ああ、今日も今日だねぇ。
ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
2002年12月03日(火) 思い出したら更新 微笑国奇行 その6

日記の空いている日に 時間がる時 徒然思い出しながら書こうと思った。


●不法侵入〜未防逮捕
天国心地な時間を味わった あたくしとなぁなさんは、
そのまま、ホテルの中を散策し、ビーチに出た。
ビーチを歩けば、我々が泊まっているホテルまでは、一直線。
天気はいいし、気分もいい。
1時間ぐらい歩けば 着きそうなので、歩いて帰ることにした。

このビーチ、泳いでいるヒトは 殆どいないが、
歩いているヒトは 結構いる。
馬もいる。

海は輝き、砂は白く、風はそよいで ホント 気持ちいい散歩だった。

途中、のどが渇き、ノンアルコールを海の店のようなところで飲んで、休憩。

暫くして また歩き出したのだが、潮が満ちてきたらしく、
だんだんにビーチの幅が狭くなってきた。

あと10分程歩けば、ホテルに続く階段に着く時には、
殆どビーチは無くなっていた。
丁度、別のホテルの前だった。
が、しかし我々のホテルはほんとすぐそこ。
ビーチが無くなったとは言え、まだ足を濡らす程度だったので、
このまま、裾を巻き上げて、歩き続けることにした。
塀際を歩いて行けば 大丈夫だと思ったのである。

・・・それが甘かった。

潮は思ったよりも早く満ちてきていて、波も高くなってきた。
さっきまでくるぶしぐらいの深さだったのに、もうひざ下。
しかも、その波が塀に当って返ってくる。
あっという間に、ずぶ濡れになる 二人。

もう 先にも進めず、後にも戻れないと云う時、
階段があった。
天の助けと云わんばかりに、その階段を上がり、
塀の上を歩いて、境界のフェンスを越えて行けばいいと思ったのだが、
フェンスまでの1mの塀には、侵入者除けのガラスの破片が埋め込まれていて、
裸足はおろか、靴を履いても通れそうもなかった。

しょうがない。個人宅だろうと思われる その庭を突っ切ることにした。
が、やはり無断では失礼だと思い、
「えくすきゅーずみぃ?」
「はろぉ?」
と 声を掛けてみたのだが、
家の窓は きちんと仕舞ってあり、ヒトの気配がない。

「きっと、ここは別荘で、持ち主は留守なんだろね」などと話し、
それでも決りが悪いので そそくさと出口の方へ向かって早歩きをしていたその時、
家の裏手のベランダから、一人の少年が出てきた。

吃驚したのはもちろんだが、それよりも、この少年に、泥棒などと間違えられ、捕まったりしたら たまらないので、
拙い英語と身ぶり手ぶりで、自分たちのコトを説明する。
それはもう必死で。

その少年、年の頃は10代後半の結構美形で上品、微笑みながら、我々の説明を聞き、とがめること無く、通してくれた。

門(のようなところ)に差し掛かった時は、番犬と思われる犬までもが、尾を振って見送ってくれたのだ。

後になって思えば、ずぶ濡れの 持物と云えば小さなバックしか持っていない、日本人(に見えたであろう)の若く美しい?オンナの二人連れが、必死になって自分達のコトを説明している様は とてつもなく面白い見せ物であっただろう。

兎に角、我々は、無事に窮地を脱した。
その家の前の道を進むと、ホテルへ続く見覚えのある道に出た。

ほっとした我々は、こんなことろに来てまでカラダを張って後での笑いネタなど作らなくてもいいのに とお互いを慰め、笑い、最後には誉めあった。

ホテルの隣の家まで差し掛かった。
その出入り口は、鉄の門扉で固く閉ざされ、セキュリティーカメラが取り付けられ、門の脇には門番小屋があり、庭にはガードマンがいた。

もし、我々が上がった階段がこの家のモノだったら・・・。
今頃だって こうして悠長にしていられなかったかもしれない。
海外で 御用になって、今後旅行する時には とてつもなく不便をしいられたかもしれない。

そう言い合って、我々の運のよさを誉め讃えあった。

濡れネズミ2匹、大声で笑いあって、ホテルへ辿り着いた。


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