天下無敵な過ごし方
ああ、今日も今日だねぇ。
ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
2001年11月12日(月) 一周忌

人がいなくなるのは 慣れる。
哀しい事かもしれないけれど それがあたしにとっての事実である。
が、その人との出会いは 重要だったと思う。

ひょんなことで 知り合って、可愛がってもらって、
認めてもらって、仕事を貰って。
その人が 亡くなっての一周忌が 昨日あった。
とてつもなく 大木瓜かまして、平服で行ってしまったのが 悔やまれる。

とてもお酒が好きな人だった。
お酒を飲みながら 人と話をしたり、騒いだりするのが好きな人だった。
ざっくばらんで、どうしようもなく オヤジだった。
が、その人の話を聞くのが好きだった。
演技をするのが 生業だった。
舞台裏の話は とても面白かった。
最初の会社を辞めて、舞台美術の方面を進もうと思った時に、
最後まで あたしの話を聞いてくれて、それからきっぱりと反対してくれた。
「お前には 向かない」と。
端的に反対理由を述べてくれたのだが、とても説得力があった。
そして、あたしは別の道に進む事にした。
その程度の思いだった。

そして 今のあたしが ここにある。

ギャラこそ発生しなかったが(断わったので)、
最初に仕事を依頼してくれた。
なかなか 納めないあたしに
「お前を焦らせたら 俺が本当に表現して欲しいものを作らないからなぁ」と
苦笑いをして ずーっと待っていてくれた。
作品を持っていくと、とても嬉しそうに笑ってくれて
「ありがとう」と言ってくれた。
最後に頼まれた作品は 結局渡せなかった。
今でも 部屋に置いてある。
渡す人がいない今 仕上げようと 思いつつも。

法要が済んで、食事をしてる時、
最後のお弟子さん?らしい、若い女優さんと隣り合わせになった。
さり気ない切っ掛けで 話し始め、
その人柄、エピソード等をお互いに語り合っていた。
また機会があったら 呑みましょうということになった。
帰りがけに、持っていたメモ帳に 
手伝いをしている店の名前と電話番号を
書いてくれた。

亡くなった人が 新しい出会いを作ってくれた。

すぐには 行かないが、多分行くだろう。

そんな気がした。



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