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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
最近、妙な言葉を言います。 「例えば、何が足りないの?」 と、彼女。 「それがよく分からんのだ」 老人の姿をした大樹の神は言う。 「そして、あなた、アタークはどちらが主に向いていると思うの?」 「私は、現在の主に使える身。強いて言えば、どちらも向いていないと思う」 「そう」 猪の言葉に彼女は少しだけむっとする。 「ただ、お二人に同数の動物がついている事は確かです。ドメス殿は人を排除しようという考えを持っておりますし、ブルレット殿は人と共生しようという考えを持っております。まずはお二人にお会いしてはどうでしょう?」 彼女は虎を見る。虎はうなずいた。どちらにしろ、彼女と虎は森から出なければならないのだ。やるしかない。 「わかった。案内してくれる?」 猪は「ついて来てくれ」と言って、茂みに入って行った。彼女はためらいながらも茂みに入る。 「あれ?」 「ここは?」 「ドメス殿の空間だ」 「なんだ。誰かと思ったらアタークじゃないか? そして、人の娘と虎か? なんの用だ?」 整った顔の青年がそこにいる。ややキツそうな性格。人であるクレンがいるからなのかもしれない。 「お父上に頼まれまして、このお二方をあなたに会わせた」 「へえ、人とか。ん? 娘、お前、面白い能力を持っているじゃないか?」 青年は苦笑した。 「神殺し、悪魔殺し、どちらにしても私とは合わん。その虎は......アタークの弟弟子となるのか?」 「はい、この虎も私と同じく人の言葉を話します」 「虎よ、名は?」 「マレモン」 「そうか、ではマレモン。私の方につかないか? 私がこの森の主になったあかつきには不自由のない暮らしをさせる」 「申し訳ない。私はやらなければならないことがあるので」 「そうか。それは残念だ」 と、言いつつも彼は無駄と知りつつわざと尋ねたようだった。 「なぜ、あなたは人を排除しようとするの?」 と、彼女。彼はきっと彼女を見て答えた。 「人は森を荒らす。我々の地を踏み壊し、動植物を奪って行く。それが許せない。森の繁栄には人は必要ない」 「そうですか」 「もう質問はないのか? ならば出てゆけ」 言われるがまま、彼女と虎と猪はその場を去った。
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