気まぐれ日記
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息が白かった。
今夜は今シーズン初、ストーブを焚きました。 とうとう、そんな季節だわ。
「記憶を盗まれた?」 誰かが聞き返した。黒い髪、黒い瞳の少女だった。 「そんなことが出来るんですか?」 と、リュー。 「なんだって、そんな......」 レイムが頭をかきむしる。そして俺を見る。その眼は、何か迷っているようでもあったがやがてその迷いが消えた。 「やっぱり、お前を連れて行くべきか」 「連れて行ってくれるか?」 うれしかった。病院にいても何も分からない。レイムが俺を知っていたからこそ、道ができてリースリーズが針を盗んで記憶の糸口が見つかった。 「ああ、仕方がない。記憶がないお前を連れて行くのは心もとないが......」 「待て」 レイムの言葉を遮ったのはウォルティアだった。 「なら、私も一緒に。いいですね、院長。ついでに時計の針もとりかえそう」 彼女が来てくれる名が、心強かった。レイムが軽くため息をついた。 「もう、考えるのが面倒だ」 そして、笑った。 「みんなで、リースリーズから盗まれたものを取り返そう」 その笑顔はいたずらっぽく、どこかで見覚えがあった。
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