気まぐれ日記
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辞めるのでなく、休みを取っただけらしい。さらに、それも代役で済ませたよう。それにしても、人騒がせな。 いや、でも数日来て即辞める人、多い。根性ねぇな、と思う前に、それが正しいよ、と思わざるを得ない。こんなとこいてもどうしようもない、とか。給料だけがとりえだから、長く勤めるのには向かないところだと。ちゃんとした就職するのであればここじゃダメだわ。
「まずは食事でも」 と、ヘネシー。イーリスは何も言わずメニューを差し出した。俺は適当な料理を注文し、同時にふたりも注文した。 「で、何をするんだ?」 「実は、あるものを運ぶための護衛なのだが……」 「あるもの?」 「やましいものではない。だが、中身は秘密だ」 怪しい。だが、ヘネシーもイーリスもまだ子供だ。俺から見れば。だが、見かけは当てにならない。数日前見たリースリーズもまた見かけは子供だった。 「考えさせてくれ」 「明日までに返事をもらえればいい。なるべくなら受けてもらいたいのだが」 「……ところで、何で俺に声をかけたんだ?」 他にもウォンテッダーはいっぱいいた。隣に座っていた男は、自分から声をかけてきた。 「一番誠実そうなのを選んだまでだ」 さらりとヘネシーは言う。正直驚き、照れた。 「なら、その仕事受けるよ」 「そう言ってくれると思った。報酬は金貨十枚とここの食事代で」 金貨十枚……気前がいい。でも、積荷にもよる。秘密とされるとやっぱり怪しい。しばらく黙っていると料理が運ばれてきた。久しぶりに肉料理が食べられる、と俺は内心喜んでいた。黙々と食事を取る。ヘネシーは黙って食べている。イーリスは黙っているが、本当においしそうに食べている。時折こっちの子羊ステーキを見る。 「お前たち、兄弟か何かか?」 俺は二人に尋ねた。 「いや」 と、ヘネシー。イーリスは黙っている。 「じゃあ、なんだ?」 「恋人」 「婚約者だな」 「……」 こいつらは……。でも、まあ、世の中色々だろう。
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