気まぐれ日記
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2006年07月11日(火) |
どっかで聞いたことある? |
田中学院やってますが……。学校構造としては「クランプ」、生徒らに関しては「そんな奴〜」っぽいですね。うん。なんとなく楽しい学園モノを短く書きたかった、ということから生まれた代物なのでそんな深く考えずに読んで……(読んでいる人いんのか?)。 なんか、オカルトに偏ってますけれど。(趣味なもんで)
小等部の例のトイレ前、二人はそこで立ち止まった。時計は午後四時四十一分を指している。あと約三分後にうわさの花子さんが現れる。 「今どき学校の怪談なんてよ……」 「だから検証するんじゃないか」 「検証したところで何もないだろうな、学校の怪談なんてニュアンスが違ったりするだけでどこもおんなじだし、そうなるとどこにでも花子がいることになるじゃねぇ?」 「そうだけどさ。あ、時間。じゃあ、行くよ」 四時四十四分四十四秒、清太はノックをした。しーんとしたトイレにノック音だけ聞こえる。
何も起こらなかった。 「……」 「……」 二人は顔を見合わせた。そして一瞬でも緊張した自分たちが馬鹿だったと言わんばかりに笑った。 「なんだ、やっぱ単なる怪談だよ」 「そうだよな、起こるわけねーよな」 京一郎は笑いながらドアをバンバンッと叩いた。 「はあい」 『!!?』 確かに、聞こえた。女の子の声で。 「えっ?」 清太が時計を見る。時計は四十五分になるところだった。そして、京一郎の方は四十六分になるところだった。 「兄ちゃんの時計、ちょっと早いよ……」 「……じゃあ」 ばんっ!
トイレのドアが音を立てて開く。 「ひいっ!」 「ぎゃっ!」 「久しぶりのお友達、さあ、どうぞ」 トイレのドアの向こうにトイレなどありふれた光景はなく、ブラックホールのような空間が出来ていた。その声はブラックホールの奥から聞こえる。 「に、逃げ逃げっ!」 なのに二人はそこへ吸い込まれていく。本当にブラックホールのようだった。 「悪霊退散!」 札が一枚そのブラックホールに吸い込まれていき、それは消滅したが同時にブラックホールも消えた。 「間に合ってよかったぁ」 「ほんとね。従兄弟で神隠しなんて笑われるわよ」 巫女姿の中等部高山貴乃、同じく中等部東可奈が後ろに立っていた。 「すっごいスクープ」 「『田学の花子は存在していた』っていう見出しがいいかな? 『兄弟が体験!』とかがいい?」 そして、更に後ろに高等部の双子姉妹、中野夏季、秋季。 「お、お前ら、一体」 双子の二人と京一郎はクラスメイトである。 「あらあら山川じゃない」 「今日ね、この二人に協力してもらって、この学校の噂を調査していたの。学校の怪談なんてほとんど嘘っぱちなんだけど……」 「霊感がありあふれたこの二人に言わせると、このトイレだけは怪しいって。実際調べたら生徒が行方不明になったことがあるらしいのよ」 「だから調査しに来たわけ」 「そして、山川が吸い込まれそうになっていたから、貴乃ちゃんがありがたいお札で助けてくれたって話」 「ともかくスクープだわ。あとで恐怖を語ってね山川」 「あ、写真撮ったけど目は隠すから大丈夫よ。じゃあ、よろしくー」 四人は笑いながら去っていく。 「え、あ、ちょっ」 「兄ちゃんが、よく女の醜い争いを書くのがわかったような気がする」
後日、もともと穴埋め的記事だった「トイレの花子さん」事件は大きく取り上げられた。清太は経験者としてしばらくクラス内で英雄扱いされたが、そこが女子トイレということもあり、変な意味でも英雄扱いされた。なので、彼はくだらないことに首をつっこむのをやめたが、これからも従兄弟京一郎のやっかいごとに巻き込まれる運命にある。
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