気まぐれ日記
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本日は自遊空間での更新です。 ここはいいですよ、飲み放題(ソフトドリンクとか)だし、個室っぽいし。 今週の一言やろうと思ったらなかったんで明日やります。(いらないおまけだけど)
彼女は玄関の隅においてあった大きな籠を背負うと、フレクアを外に連れ出す。 「コケイ草はねー、あっちの草原に多く生えているのよ。逆にスヌイ草は向こうの草原。どっちも同じ種類の植物なんだけど、性質が逆だからね。で、スヌイ草の採取には必ずコケイ草が必要なわけ」 と、頭に挿している花を指差す。 「この辺の動物は賢いからこの草の効能を知っている。仮に仲間が眠ってしまってもこの草で目覚めることを知っているの」 「ふーん」 「残念だけど、私のこれはせいぜい一人か二人を起こすくらいなのよね。あんまりたくさん生えているものじゃないけど、採れる分はとりましょう」 しばらく草地を歩く。ミランは鼻歌を歌っているが、フレクアの知らない歌だった。 「あ、私としたことが……聞いてなかったわね、あなたのお名前」 突然、鼻歌をやめ、ミランが聞いてきた。 「フレクアです」 「そう、フレクアね。素敵な名前じゃない」 「そうかな」 彼女は自分の名前にそれほど違和感を感じても気に入ってもいない。ただちょっと言いにくいという感じがしていた。ミランはまた鼻歌を歌い始めていた。 夕暮れ近くになって彼女の言う草原に着いた。この中に求めるコケイ草があるというのだが、どの草も同じようにしか見えないしあたりも暗くなり始めている。ここはやはりミランが便りなのだが、彼女は別の草に気をとられていた。 「へー、この種はここにも群生してるんだ。ふーん」 「あの、ミランさん?」 「ああ、ごめんなさい」 「コケイ草は……」 「あらやだ。朝早いほうがいいわね、探すのは。香りが強いから、そのほうが探しやすいのよ」 「じゃ、じゃあ……」 「ここで、野宿しましょ。大丈夫、この辺危険な動物少ないし」 「何も準備もしてないのに?」 「食べ物とかならこの籠に入ってるわ」 背負った大きな籠には、果物類と毛布が入っている。 「この辺で火はおこさないで頂戴ね。火事になると困るから」 手元が見えるうちにミランはランプに火をともす。せいぜい許されるのはこの火のみだった。 その夜はミランが用意した果物を食べ、毛布に包まった。ミランの言う危険な動物も気配を感じない。ただ、暗いがために早々と眠った。
朝と感じるほどの光を受ける前に、フレクアの頭はすっきりとしていた。早朝、気の早い鳥などは日が昇る前にもう鳴いている。それと同じときにフレクアも目覚めた。ミランもやや寝ぼけた様子で身を起こしている。 「おはようございます」 「おはよう。ほらほらこうやって起きれるのは、コケイ草が近くにあるってことよ」 「なんか、さわやかな香りがしますね」 「でしょ。これがコケイ草の香り。これをちょっと加工して香りを流せばすぐに目が覚めるはずよ」 「じゃあ、早速」 「採取を始めましょうか」
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