気まぐれ日記
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開店記念セールで、卵(10個入り)1パック百円だったのに、開店時間を少し過ぎてしまって売り切れ……。くうっ!
夕方になると観光客もまばらになり、日が落ちると全く姿を消した。もともと畑にあるので、明かりなどなく夜になるとゴブリン種が畑を荒らす。人間にはあまり危害を加えないが、それはある程度の備えが人間側にあるという前提での話である。 「この石版、壊すか」 「何故だ?」 夜になり、人気のない畑の石版をブロードはこつこつと叩いた。 「古代文ってやつは、その文字自体に魔法がこめてあるものだ。つーか文字自体が魔法みたいなもんで、ちょっとの魔力に反応して発動する恐れがある。だから、そうならないように壊す」 「ほう、これが人間の魔法か?」 「今こんなの使ってる奴なんかいねーよ。これ覚えるのにけっこう大変だからな。よっぽどの暇人にしかできねーよ」 「ふーん。まあいい。これ、私がもらう」 樹理が石版に手を当てる。 「えっ?」 石版の文字が樹理の手に集まって納まっていく。 「……ジュリちゃん。それ、どうするんだ?」 「必要なときに使わせてもらう」 石版は、すっかりただの石版に成り下がった。もう観光客も来ないだろう。あの文字が観光客を呼び寄せていたのかもしれない。ブロードは勝手にそう思った。 「酷いことしてくれる」 そんな声。 ああ、やっぱり出たか。 ブロードは、これが当たり前だと自分に言い聞かせた。
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