気まぐれ日記
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2005年10月17日(月) 買い逃した

 開店記念セールで、卵(10個入り)1パック百円だったのに、開店時間を少し過ぎてしまって売り切れ……。くうっ!



 夕方になると観光客もまばらになり、日が落ちると全く姿を消した。もともと畑にあるので、明かりなどなく夜になるとゴブリン種が畑を荒らす。人間にはあまり危害を加えないが、それはある程度の備えが人間側にあるという前提での話である。
 「この石版、壊すか」
 「何故だ?」
 夜になり、人気のない畑の石版をブロードはこつこつと叩いた。
 「古代文ってやつは、その文字自体に魔法がこめてあるものだ。つーか文字自体が魔法みたいなもんで、ちょっとの魔力に反応して発動する恐れがある。だから、そうならないように壊す」
 「ほう、これが人間の魔法か?」
 「今こんなの使ってる奴なんかいねーよ。これ覚えるのにけっこう大変だからな。よっぽどの暇人にしかできねーよ」
 「ふーん。まあいい。これ、私がもらう」
 樹理が石版に手を当てる。
 「えっ?」
 石版の文字が樹理の手に集まって納まっていく。
 「……ジュリちゃん。それ、どうするんだ?」
 「必要なときに使わせてもらう」
 石版は、すっかりただの石版に成り下がった。もう観光客も来ないだろう。あの文字が観光客を呼び寄せていたのかもしれない。ブロードは勝手にそう思った。
 「酷いことしてくれる」
 そんな声。
 ああ、やっぱり出たか。
 ブロードは、これが当たり前だと自分に言い聞かせた。
 


草うららか |MAIL

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