| 2004年12月26日(日) |
夢の中で運転 The Scene To Pass |
いくつものぎざぎざとした濃い紫のラインが、淡い青の背景の手前で上から下へと流れ落ちている。その中を、黄色いツーシータの車に乗った僕は手前から向こうの方へ、かくかくと左右に揺れ動きながら処理速度の遅いコンピュータで再生される映像のように進んでいく。突然ぎざぎざの濃い紫のラインと淡い青の背景が中央から両側に裂け、目の前には青々と茂った草原の風景が広がる。そんな場所を車がもうスピードで走る抜けられるわけがないのに黄色いツーシータはとんでもないスピードで草原から二、三メートルほど上に浮き上がり走行しているようだ。遠くの景色に視点を合わせると、そこには老人になった僕がいる。あそこに着くのはいつ頃だろうか。そもそも漠然と歳をとることをイメージしているが、果たしてそれほど長生きするのだろうか。急にがくがくと車体が揺らぎ、僕は視線を前に戻す。いつのまにか目の前に赤信号が。辺りは草原ではなく、真新しいアスファルトの道路になっている。両側にはビルの群れ。あわててブレーキを踏み込む。目の前にはサラリーマンの集団が。なぜみんな同じ様な格好をしているのだろう。気味が悪い。夢なのだからその集団の中に突っ込んでやろうかと思いアクセルを踏むと、車体が前屈みの姿勢になりながらどどどどと音を立て、宙に浮かびあがっていく。この不安定さが怖くもあり、楽しくもある。しかし、あまりにも上空に来てしまい、地上が恋しくなる。鳥の孤独を知る。上空の世界には何もない。地上の猥雑さに慣れた僕にはあまりにもシンプルで落ち着かない。驚くほど静かだ。ホワイトノイズが僕を襲う。急に眠気が。辺りが暗い。どうやら地球外にきたようだ。宇宙はなぜこんなに暗いのか。何を隠しているのか。きっと宇宙の果てを見せないためだ。いつのまにか僕は黄色いツーシータに乗っていない。宇宙に漂っている。移動しているのかどうかもわからない。本当はここは宇宙などではなく、ごく狭い空間なのかもしれないと思えてきた。そう思った瞬間、目の前が眩しくなり、僕は目を閉じる。目の前には知らない顔の人たちがほっとした表情で僕を出迎えている
―END―
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