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「理由」宮部みゆき
2008年02月01日(金)
荒川の高層マンションで起きた、一家四人の惨殺事件。
この事件の被害者は誰で、加害者は誰だったのか、そしてなぜ起きてしまったのか…。
ルポ形式で、事件の背景をたどる。

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まだ私が学生だった頃、どの先生だったかどんな授業だったのかも忘れましたが、「理由」はいいから読んだ方がいい、と言っていた先生がいて、いつか読もうと思っていた作品でした。あれから何年経ったかわかりませんが、ようやく読みました。特に理由はないんですが、なんとなく気が向いてね。

本書はルポ形式ということで、小説的に描かれている部分と、事件の関係者からのインタビューとして描かれている部分とありましたが、そのせいか、ほんとにどこかにあった事件のような感じがしますね。
事件の背景なんかも、すごくありそうだなと思わせる説得力があって。「事実は小説より奇なり」という言葉もありますが、この小説は現実より現実っぽいなと。
その反面、あまりにも現実的すぎるのか、感情移入はほとんどしませんね。すごく他人事という感じがする。

でも、おもしろかったですよ。
毎日お昼休みにちょっとずつ読んでたんですが、それぞれの関係者にそれぞれの事情があって、複雑にそれらが絡み合った事件の全容が少しずつわかっていく…というね。いろんな人生があって、いろんなやむにやまれぬ事情ってあるんだよなーと思わされます。
ひとつひとつ丁寧に描かれているのが、やっぱりこの人すごいなと思います。

ただ一人、「彼」の過去は簡単にしか描かれてませんね。それはあまりにもありふれているからなのか…?

あと、これって実は「擬似家族もの」なんですよね。失敗した「擬似家族」、壊れてしまった「家族」の話なんですよね。
私は擬似家族ものが好きなんですが…。うん、でも「失敗した擬似家族もの」が好きなわけではないなあ、と思いました(笑)
★★★☆


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