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「ハッピーバースデー」青木和雄・吉富多美 2006年02月03日(金) 文章がやけにあっさりしているなと思ったら、児童書として出版されたものが、大人にも読んで欲しいということで加筆されて出版されたんですね。小5のあすかは、出来のいい兄とくらべられ、母親から疎んじられている。誕生日も忘れられ、兄から「生まれてこなきゃよかったな」と言われ、あすかは声が出なくなる。けれど、祖父母の家で過ごすうちにあすかは生きる力を取り戻す。という話です。 親子問題だけにとどまらず、いじめの問題などにも、あっさりとだけれど触れられています。 すごくわかりやすく書かれていて、母親がどうしてあすかには愛情を持てないのか、その原因も、あすかの感情の動きも共感しやすいと思います。 現実はこんなにわかりやすくなく、いろんな愛憎が複雑にからみあっているから、こんなにうまくは行かないんだよな…とは思うんですが、自分の問題をわかりやすい問題として再構築できるとしたら、意味のあることかもしれません。 私ももういい年なので、親子関係を子どもの立場から読むというのはどうかなとも若干思うのですが、子どもはいないけど両親は健在なので、どうしてもそうしか読めないです。 それに、親子関係というのは、その人のすべての人間関係の根本にあるものだと思います。 会社で、「やっぱり男の子の方がかわいいよね」という会話を聞いたりしていると、「自分の子どもは平等にかわいいに決まってる」なんて幻想は、どうしても持てないですしね。すべての生命が祝福されるものだというのも幻想だと思います。 物語のように、簡単に人の性格や気持ちは変えられず、ハッピーエンドとはいかないものだから、どうにかして自分とも他人とも家族ともつきあっていかなくちゃいけないですね。自分の内面を見つめて、それで納得できるものならいいのだけど…。 私は、とてもおもしろく読みました。 自分が満たされないとか、人を傷つけたくないとか思ったことがあるのなら、読んでみるといいと思います。 |