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「博士の愛した数式」小川洋子
2005年02月06日(日)
第一回本屋さん大賞受賞作。あちこちで評判を目にしていたので、読んでみたいと思っていました。
80分しか記憶がもたない博士と、家政婦として派遣されてきた「私」と、その息子である「ルート」。その3人の交流を描いた作品。

読んでる間、ずーっと泣いてました、私。どう考えても泣きすぎですが…。
まず、博士が子供に捧げる無条件の庇護と愛情のひたむきさ。病院まで背負って走る博士、そしてそれを受け止めるルートがいい。その後のルートが泣いていた理由がぐっとくる。数字に関する博士とのやりとりが、とても暖かくて優しい。
そして、博士の直面している現実が少しずつわかってくると、ほんとにせつない。服のあちこちにクリップで留められた無数のメモ。記憶が失われているという事実を、毎朝突きつけられているんだと気づくあたり。博士にとっては誰もが初対面であり、未知のできごと。
それから、家政婦である「私」と博士との、小さなつながり。友愛数の話と、料理をしているところをずっと見て感心している博士がとても好きでした。

「忘れてしまうこと」は、救いでもあるけれど、こんなにも悲しいことでもあるんですね。
どんなに大切な思い出も、記憶することができない。

とてもせつなく、それと同じくらい暖かいお話でした。
文章自体は淡々としているのに、情感が伝わってきて、一字一句が愛おしく感じられます。

まだ2月だけど、今年読んだ中でベストワンになりそうな予感。
文句なく★★★★★


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