2003年09月08日(月) 「愛しのアイリーン」を小学館は即刻復刊すべし
(無言)。井ノ本です。
寡聞にして知りませんでしたが「愛しのアイリーン」って絶版になってたんですね。 おいこら小学館。 四の五の言わずにさっさと再版せい。 あとながいけんと和解して「モテモテ王国」の続きを描くよう説得せい。
「愛しのアイリーン」は新井英樹の漫画です。 新井英樹。 「宮本から君へ」や「ザ・ワールド・イズ・マイン」などが有名。 もうねーウザいキモい不愉快残酷な話を描かせたら右に出るものはいないんじゃなかろーか。 設定もアレだしキャラクターもアレだし展開も演出もアレ。 読んだあとの後味の悪さは随一。 とくに「愛しのアイリーン」は最たるものじゃないかと思います。 あらすじ書いただけで「うわー」となりますよ。 でも書く。
東北地方某県在住の岩男さんは四十路を迎えてなお独身姑あり(姑はヨーダ似) 普段はパチンコ店勤務。 嫁がほしいがあてがなく、パチンコ店の同僚に好きな女はいるのだが相手にされるわけもなく、エッチはしたいが相手もない(ので同じパチンコ店のおばちゃんとむにゃむにゃ…) ってんでフィリピンから嫁を迎えます。 嫁の名がアイリーン。 アイリーンは何がなんだかわからんうちに連れてこられたよーな感じです。 一応自分が金で買われたようなもんだってことはわかっているのだけど、 嫁に来たってことの重みをあまり把握できてなくないか?という。 ぶっちゃけ嫁つーよりは…って役割を期待されてるのに空気1ミリも読めてねーって感じの。 クリスチャンだから好きな人と結婚したのでないとえっちは…とかなんとか岩男さんからしたらなにがなんだかわからんこと言われちゃったり。 (まあそんなこと言っちゃうほうも言っちゃうほうですが) なもんですからアイリーンと岩男さんがうまくいくわけもなく。 さまざまなディスコミュニケーションが生じます。 (詳しくはネタバレになるので省きます) そのへんの軋轢とそれをどー乗り越えるのかを描いた話なんですが。
なんつーのかなーもうねーあえて見たくもないようなエピソードやキャラクターが山盛りなんですね。 岩男さんは生理的嫌悪感を催すようなルックスだし。 しかも女慣れしてないからウザキャラ全開だし。 姑も姑で不愉快だし。 じゃあアイリーンがそれとの対比で純情可憐乙女かつーとそうでもないですし。 ちょい愚鈍、て感じの。 他のキャラもやな感じです。 男にだらしないゆっるいバツイチ子持ち女とかそんなんばっか。 それらがぐっじゃぐじゃのディープな人間関係をどーしよーもなく展開するのです。 ほらやーな気分になったでしょう。
でも読んじゃうんだよなあ。 いやな話ではあるんだけど不愉快になりきれないというか。 なんだかんだ言っても手にとってしまうというか。
たぶん作中人物の誰に対しても作者が加担してないように思えるからじゃないかなあと思います。 悪意も善意もない。 容赦もない。 主人公であろうと脇役であろうと同じ確率でいやな目にあう。 それが話の陰惨さとてきとうに距離をとって読めるようにさせるんじゃないかと思います。 安易なハッピーエンドとかよりはるかに考えさせられるし頭にも残るし。 ザ・ワールドイズマインの場合ちょっと高みにいきすぎた感もありますがまあそれはおいといて
機会があったらぜひ読んでみてください、 といいたいのですがなぜか「愛しのアイリーン」は絶版なわけで。 ヤフオクとかでえらい高値で取引されてます。 全6巻で10000円くらいになってる。 なんだかなあと思います。 読者を多少選ぶかもしれませんがあの話は好事家たちの間で高値で取引されてひっそり読まれるようなもんでもないと思います。 だってスピリッツで連載してた漫画ですよ。 多くの人が読むことを前提にしてた話ですよ。 ふつーに本屋においてうっかり手に取る人がいていいと思います。 それでショックを受けても責任は取れませんが。
復刊ドットコムで交渉中らしいので、復刊したらば手にとってみてください。 もしくはどっかの漫画喫茶とか。
ザ・ワールド・イズ・マインの話もしたいところですが今日はとりあえずこれにて。
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愛しのアイリーン・復刊投票とコメント
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