矛盾スルニモ程ガアル
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2004年01月13日(火) 私が、いたよ。

と、泣いたら貴方も泣いた。


あの時、私はいたんだよ。あなたの恋人だったんだよ。
私は、あのとき、いたのに…。



浮気は存在が全否定されたかのよう。
彼女と毎日メールしていた彼にとって、私はあの時どんな存在だったんだろうか。

私は存在していたのに、確かに電話もメールもしていたのに、存在していたなんて思えない。付き合っていたのに、恋人だったのに、浮気したことで彼は私を否定した。
私にはあの時の自分は何だったのだろうという思いがある。そしてそれはずっと消えない。私はあの時、彼の中では何の意味も持たない存在だったのだ。他の女の子とメールしたり逢ったり体を重ねたり出来るほど。

だからそれが悲しくて悔しくて情けなくて、彼を責めてしまう。
責めるというよりも、訴えかけてしまう。私の存在を。認められていなかった、私の存在を。

「私は、あの時、いたんだよ」と。

何度でも。



彼の携帯を「見るね」と言って毎回見る私に、彼が「そんな大したメールは無いよ。ぼむと親と何人かの友達だけだよ」と、「見ても仕方ないよ」と私の行為を無駄なもののように言った。それはもちろん、私を安心させようとする彼の気持ちから出た言葉だ。

だけど私には、なんとなく彼が呆れている様な、私のすることに価値は無いのにといったような、そんな態度に見えた。実際、彼のほうにもそういう気持ちもあったと思う。

私は、その時は「そうねえ」と言って流していたけど、心の中で何かひっかかるものがあった。それは、すぐにフラバの時に言葉となって現れた。

「あなたはああ言ったけれど、私だって疑って見る訳じゃない。ただ、見ないと落ち着かないから見るだけだ。私だって、見なくていいようになりたい。見なくていいようになりたい…」


気付いたら泣きながら知らず知らずのうちに口にしていた。
これが私の本心なのだと思った。
彼に「見てもしょうがないよ」と言われて、「そうじゃない」とずっと思っていたらしい。
こうやって彼に吐き出しながら、私は前に進めているのだろうか。
よく、分からない。



料理にしてもそうだ。
「最近、ぼむ料理しないね」という彼に、「そうだねえ」と答えてから、後で気付いた。私が料理をしなくなったのは、彼が浮気をしてからだ。

はっきり覚えている。作ろうと思った時に、ものすごい虚しさを感じて作れなくなったのだ。
「あんなことをした人に、どうして私が料理を作らなくちゃいけないの」と思い、とにかく彼に「何かしてあげる」ことが嫌になった。「この人は自分を裏切ったのだ」と思えば思うほど彼に「尽くす」ことが虚しくなった。
私は元々相手に尽くすようなタイプではないのだが、いっそうその気持ちが萎えてしまった。

それでも、どこかにあるのだ。「彼に料理を作ってあげたい」とか「何か彼が喜ぶプレゼントがしたい」という気持ちが。
だけどそれが出来ない。やりたい気持ちと、ものすごく虚しい気持ちがせめぎあって、結局は虚しさが勝って何も出来ない。
それがすごく、自分の中で辛い。


そんな気持ちも話した。彼は黙って頷きながら聞いていた。



「ごめん」と何度言われても足りない。

フラバが起こって泣きながら彼を責めるような言葉を発している最中、彼は「だからごめんって」というような言い方を一度だけした。


彼の中では、もう何度も謝っているという認識があるのだろうし、それはそうだと思う。私が引きずりすぎているのかも知れない。

けれどこのことを簡単には克服できないし、そうさせたのは彼だと私は思っている。というより、思わなければ自分が潰れてしまうのでそう思っている。私は私のペースで、時々自分にも発破をかけながら頑張るのだ。

私は性格的にしつこいのでそこの所には注意しつつ、辛い時には辛いと泣いてしまおうと決めている。幸か不幸か溜めておけない性質なので、我慢して我慢して爆発する、ということはあまりない。


それでも「ごめん」と言われれば、救われるのだ。




とりあえず、拭うそばから流れる涙を荒々しく拭きながら、「くっそお、負けるかあぁぁ」とフラバに立ち向かう私を、彼はいとおしく思うといいと思う。


「いと雄雄しく」思わなくていいから。←タイプミスで今こう変換された。


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ぼむ [MAIL]