抱かれ終わった直後の一番幸せなときに泣いてしまった。
いつも私は声を出さずに泣くけれど、そのときは違った。
お腹の底から絞り出すような声で泣いた。
しゃくりあげて泣いた。
子供のように。覆いかぶさっている彼の背中を強く掴んで。
広い背中をただ強く抱き締めて。私といるのだと、確かめるように。
他の誰といるのでもない、私といるのだと。
私を抱いたのだと、確かめるように。
彼の肩に顔を押し付けて、泣くだけ泣いた。
泣くだけ泣いたら少し、落ち着いた。
泣き止むといつものようにたくさんキスをして、
そっと彼と私の身体が離れる。
この瞬間がいつも、いとおしくて切ない。
抱き合っているときに夢中で言った。
「あたしのだから」
「他の子にもう、触れさせないで」
「あなたは、あたしのなんだから」
「絶対、触れさせないで」
繰り返し馬鹿みたいにそれだけ言ってた。
彼はそれに応えるように激しく私を抱く。
私を抱く。
彼に背を向けて、着替えていた。
ふいに後ろから強く抱き締められた。
震えが伝わる。
顔は見えないけど、嗚咽でわかる。
「ごめん」と彼が言った。
してしまったことへの懺悔か、今こうして泣いてしまったことの懺悔か。
あるいはその両方か。
きつくきつく、苦しいぐらいに抱き締めるから。
あなたも後悔しているのだと、そう思って私も泣いてしまう。
震えながら、強く強く私を抱き締める。
君が泣くから。
君が、泣いたから。
後悔しているのだと、とても後悔しているのだと知って、
私は頑張ろうと思う。
明日も、頑張ろうと思う。
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