矛盾スルニモ程ガアル
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2003年03月17日(月) 君が泣くから。

抱かれ終わった直後の一番幸せなときに泣いてしまった。

いつも私は声を出さずに泣くけれど、そのときは違った。

お腹の底から絞り出すような声で泣いた。

しゃくりあげて泣いた。

子供のように。覆いかぶさっている彼の背中を強く掴んで。

広い背中をただ強く抱き締めて。私といるのだと、確かめるように。

他の誰といるのでもない、私といるのだと。

私を抱いたのだと、確かめるように。

彼の肩に顔を押し付けて、泣くだけ泣いた。

泣くだけ泣いたら少し、落ち着いた。

泣き止むといつものようにたくさんキスをして、

そっと彼と私の身体が離れる。

この瞬間がいつも、いとおしくて切ない。




抱き合っているときに夢中で言った。

「あたしのだから」

「他の子にもう、触れさせないで」

「あなたは、あたしのなんだから」

「絶対、触れさせないで」

繰り返し馬鹿みたいにそれだけ言ってた。

彼はそれに応えるように激しく私を抱く。

私を抱く。




彼に背を向けて、着替えていた。

ふいに後ろから強く抱き締められた。

震えが伝わる。

顔は見えないけど、嗚咽でわかる。

「ごめん」と彼が言った。

してしまったことへの懺悔か、今こうして泣いてしまったことの懺悔か。

あるいはその両方か。

きつくきつく、苦しいぐらいに抱き締めるから。

あなたも後悔しているのだと、そう思って私も泣いてしまう。



震えながら、強く強く私を抱き締める。

君が泣くから。

君が、泣いたから。

後悔しているのだと、とても後悔しているのだと知って、

私は頑張ろうと思う。

明日も、頑張ろうと思う。


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ぼむ [MAIL]