終末医療をめぐって大きな事件が発生したが、わたしも七十を越えて死をどう迎えるか準備したり覚悟を決めなければならない時期になった。現代の医学では人の生命の尊厳を神の領域において最高の医療技術で延命をはかることを目的にしているが理想と現実は一致しない。末期ガンの患者が苦痛に耐えられず死を望んだり、寝たきりになって介護を受けなければならなくなった老人が家族に捨てられて死にたいと願う気持ちになるという人間の自由を保障することもまた自然の摂理であろう。死にあたってはだれしも安楽に死にたいと願うのはいうまでもない。だが、現在ではまだこの安楽死(尊厳死)についての法整備はなされていない。医学界、宗教界、政治家らが中心になって国民的な議論をまきおこして一刻も早く法制化にふみきってもらいたい。
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