||〜*…clover…*〜||
There are all in one.
◆cloverに出てくる人々◇|*|◇エンピツ書きに48の質問◆
「何やってんだ馬鹿」
頭の悪い言葉を使うなれば、それは最初からクライマックスだった。 唯この平易な地文だけが場の雰囲気を察知すらせず呑気に声を塗っている。
「別に」
へらりと彼女は笑った。 只管あかい内臓に、頭がくらくらした。
だからその手を取り上げて滑り滑る胸郭に押し込んで形の無いハッチを閉める。 実のところ滑りつく再生皮膚がずるずると手の内側を這いずり回る悍ましさと戦う12秒。
泣きそうなのは何時かのごとく彼の方で。 油断すればまた直ぐにでも剥ぎそうな気色で彼女は首を傾げた。
だから其の肩を蹴りあげて。 腕の1つも外してしまえば少しはマシだろうかと浅はかに。
それすら彼女の思惑だと知りながら。
今の俺は止める術を、持たない。
そうして浮かんだ其の言葉。 彼女が絶対に口にしないそれを。
口にすべきは己だったと今更のように、気付く。
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