日本語ぐるりっと便り

2003年07月29日(火) 夏休みは盛況  T

 学校はもうすでに夏休みに入りました。
”日本語ぐるりっと”の教室はといえば、夏休みこそが最も忙しい時期となります。
9月から入学する生徒や、学校に行っていてもまだ日本語力が十分でない子ども達にとって、この時期はとても重要です。
普段は閑散(!?)としている”ぐるりっと”も、そんな訳で、7月から8月にかけては保護者に連れられた生徒達で賑わいます。
”ぐるりっと”の教室が共に大切にしているのは、保護者達の出会いです。ここで、自分達と同じような境遇の家族と出会うことで、子どもだけでなく、大人も安心感や連帯感が得られるようです。そして個人的なお付き合いが始まるケースも見られます。
教室がセンター方式でおこなわれる際の特徴のひとつと言ってもよいでしょう。
 学校や教育委員会の方々にご理解いただきたいことのひとつに、「子どもにまず日本語をしっかり勉強させたい!」と思っておられる保護者が多いということです。それを拒む理由に「まず学校へ!教育は学校で!」という社会通念があるような気がします。
 子どものこれからの人生、異国で自主性を養う最初の時期に、何がより有効なのか、日本の学校教育の枠だけで判断することには無理があるのではないかと思います。



2003年05月27日(火) 高校生は超多忙   T

もう教室には来ていないK君ですが、彼のその後の様子を知りたいという要望が結構あります。

とはいっても、いえることはひとつ。
「高校生は、超多忙!」ということです。
異国の高校に通い始めてまだ2ヶ月足らず。
今の彼には時間的にも精神的にも殆ど余裕がありません。
しかも、(余り大きな声では言えないのですが)母国の高校課程を5月か6月いっぱいで修了してしまおうという壮大な計画がもう一方で進んでいるときているのです・・(!)
今のところ順調のようなので、このまま行けば、夏休みの前までには落ち着いて話ができるようになるでしょうか。

それでも、先日、体育祭に招待してくれました。
元気で積極的に参加している姿に、それが本業とはいえ、感心しました。

ロシア人はまじめで勤勉なのが伝統と、K君本人からも他の人からも聞いていましたが、当たり前のように淡々と取り組むこの'15歳’には、教えられることがたくさんあります。



2003年03月10日(月) トライリンガルをめざして T

4月からK君を待ち受けている言語使用の状況は三つ。
ロシアの高校課程を修了するためと家庭言語としてのロシア語の使用、日本の高校課程の学習と生活のため(第二言語として)の日本語の使用、そして補佐的又はコミュニケーションとして(外国語として)の英語使用の三つです。
これらの状況に彼が、どのようにどれ位関わるかで三つの言語能力の伸長・獲得の質が決まっていくと言ってもいいのでしょう。
母語の完全喪失の心配のまずないこの’15歳’に、日本語と英語の両方を付加目的でサポートする場合、考えられることは「一貫性を持たせた使い分けのあるオープンエンディッド」なサポートです。
これができれば、大概の子はトライリンガルどころかマルチリンガルも可能なはずです。
さて、多くはここからが問題です。
誰ができるのか(やるのか)ということでしょう。
不遜ながら既に足を踏み入れた私です。
この際これを当面の課題にしてしまおうかな・・・と思っています。

(それに、K君は他にフランス語の下地もあるので、クァドルリンガルも夢ではないかも・・・。ちょっと欲張り過ぎでしょうか。)



2003年02月07日(金) 予期せぬ相乗効果  T

久しぶりにK君の話題を・・。
彼は、この1月の入学試験に見事合格し、4月から都立国際高校に通うことになりました。
通級して4ヶ月目(日本語学習を始めて約4ヶ月目)のことです。
受けた試験は、とはいっても、日本語でではなく英語ででした。
彼いわく「日本語教室に来て英語が上達したおかげで、英語で試験が受けられた。」そうです。
週に2時間程度英語漬けになってしまう授業(日本語の?!)に、これでいいのかと内心思いながらも、確かなコミュニケーションの手応えを感じていた双方に取って、止めてしまう理由も見つからずこれまでやってきたのでした。
(実際、彼の日本語は上達していましたし・・。)
これから本格的な"日本語との格闘”が彼を待ち受けているといってよいでしょう。
何しろ、都立国際の授業は日本語でおこなわれるのですから・・。
「僕は今、ロシアのクラスメートの中で一番英語が上手に話せると思う! 英語でものを考えられるようになったし!」と晴れやかにいうK君に、喜びとともにちょっと複雑な思いで微笑み返した私でした。



2003年01月08日(水) 日本語で教えてもらっています。 E・Y

冬休み明け、久しぶりの授業。
29課、学校の一年です。
日本の学校の話をしながら、台湾の学校のことを聞きました。
二期制で、9月1日から1月の18日までが1学期、冬休みあけから6月末までが2学期で、夏休みは2ヶ月あるそうです。
クラスの名前が、”忠””孝””愛””信””義”と言うのには、驚きました。



2002年12月08日(日) 「対話」(単なるおしゃべり・・・?) T

 教室に来て3ヵ月になるK君。ロシアから来た15歳の男の子で、週に3日通級しています。彼は、母語以外では英語を使うとより自分を表現することができます。
 一番最初に授業を受け持った私は、彼のことを知るために英語でコミュニケーションを取りました。それ以来、自分のことを色々話してくれます。
 日本語だけの授業だとこうはいきません。とかく、おとなしく従順で”借りてきた猫”のようになりがちです(もちろん、そうじゃない子もいます)。
 思考の一時停止状態といったらよいのでしょうか。それが、時々自分の思っていることが言えて、教える者との間に「対話」が成立するとしたら・・・。
 私はこれが彼の日本語学習・習得の邪魔になることはないと信じています。(幸いスタッフ間の連携もスムーズで、「英語の使用」に気をつけているせいでしょうか、彼の日本語の上達ぶりには目を見張るものがあります)
 どの子にもしゃべりたい(しゃべれる)言語があり(母語とは限らず)、それを受け止め投げ返す相手がいたらきっと良いのでしょう。
 「本音がしゃべれる」ということを大切にできたらと思うのです。
 



2002年10月09日(水) 歌を覚えて単語をふやす

3月から勉強している、台湾から来た5年生の男の子。
きょうは、国語の教科書にでてくる”わらぐつの神様”を読んで、思ったことを書いてきなさい、という宿題をもってきました。
授業で先生と勉強し、話は分かったと言って、筋を話してくれました。
同じ漢字文化圏とはいうものの、日本語の理解力に驚きました。
彼はよく日本語の歌を歌います。
中国語訳のついているCDで、風の谷のナウシカ、トトロ、魔女の宅急便などなど。
たくさんの言葉を覚えました。
この教室で日本語の仕組みを学んでいることが、単語の羅列でなく意味の理解の助けになっていると思っているのですが・・・



2002年10月04日(金) 使える日本語を  E・Y

9月から15才のロシアの男の子が来ました。
高校課程の勉強は週1回ロシア大使館で学習。
英語もフランス語もできます。
親が仕事で日本に来ており、日本に関心があって自分も来たそうです。
日本語もできるようになりたいそうですが、この教室以外では使うところはないとのこと。
センスもあり、第2・3外国語もできるだけのことはあって、理解も早く、教えるのも楽です。
いままで、毎日の生活の必要に迫られて日本語を学ぶ子ども達をみてきましたが、このようなケースは始めて。
せっかく日本にいるのですから、私の英語のようにならないようにと思っています。



2002年09月04日(水) 授業は気分良く

お兄さんと双子の3兄弟、年が近いせいでトラブルが多いのか、たいてい一人がご機嫌ななめで、教室に入ってきます。
はじめのうちは、そのままの気分をひきずっていて、教室でも気が乗らず、声もあまりでません。
 でも、何かのきっかけで簡単に機嫌がもどります。
きょうは17課、”がっこうから うちにかえろう”を勉強した後、黒板に自分の家から友達の家までの地図を書いているうちに、ご機嫌になりました。
そして、その後はしっかり授業に参加しました。



2002年08月23日(金) 耳にしている言葉は理解が早い

 夏休み9回目の授業
教科書15課 「そうじ」には意向形がでてきます。
8課ですでに学んでいますが、”行こう””やろう””あそぼう”などは、学校で耳にしているのか、使い方もわかり、ます形からすぐに言い換えることもできます。
まわりの子ども達が日常よく使う言葉を知ることによって、わかりやすく教えられるようになると思いました。


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