会社で「週報」なる回し物反省文が横行している。 10人程度のチーム内で、一週間に一度、一週間の 反省とか更正点とか書いて提出するのだ。 まぁ一度書けば3ヶ月近く回ってこないから、 そんな固く考える必要はないのだが、今回初めて 回ってきて、私は深く悩んだ。 しかも午前中いっぱいに提出しなきゃで時間がない。 さてどうする? 問題は何を書くかではなく どう書くか なのだ。 ここでエラソーに「である」「であろう」調の文章にすると、 きっとお偉方のウケが悪い。「昨今の経済状態から鑑みるに、 経費削減は必至であろう」なんて書いたら「何を言ってるこの若造が!」と 思われてしまう。 ここはひとつ、新人らしいフレッシュさを残しつつ、 私ガンバってますvみたいな健気さをアピールしなければならない…。 てことで、書く前に文章の頭に大きく
謙虚・控えめ・印象に残らない程度にありがち・かつ新人らしくほんのりフレッシュ
と、書く心得みたいなものを掲げて書き出した。 …「どう書くか」じゃなく「何書くか」を気にしろよ。
さて1時間ほど悪銭苦闘した結果できた週報は、 一言で集約すれば「まだ慣れないコトが多いけど頑張りますv」と 言いたいだけの繰り返し文。「〜だけど頑張ります」「〜なので 積極的に取り組んでいきたいです」みたいな健気な語尾が多く 「〜だと思います」みたいに発言の断定は避けられている。 ラストに諸先輩方への感謝も忘れず、新たかつ些細な 決意を表明してシメくくる。 そして、誰の印象にも残らないような内容のなさ。 …カンペキだ…読み返した瞬間、思わずガッツポーズを 作りそうになったほど、我ながら改心の出来だった。 ふ〜…たまにはこんなのも楽しい。
| 2001年10月23日(火) |
続・一日遅れたプレゼント<後日談・別> |
「だいたい俺と密じゃ釣り合わないよな…」 料理用にとって置いた一升瓶の、ほぼ半分を空にしつつ都筑はぼやいた。 密はあんなに一生懸命生きてるっていうのに、自分はといえば相変わらずのぐーたら昼行灯。密なんて日に日に輝いてく磨かれた鍋の底みたいにピカピカなのに、俺は漂白剤でも落ちないガンコな汚れみたいにドロドロしてる…。 落ち込み上戸な都筑はコップを片手にくすんと鼻をすすった。 「密に相応しい男になるためには…」 と、いつに間にか話題が変化していたが、本人は違和感を感じていなかった。 「まずこの死にたがりをどうにかしなきゃ…」 今度死にかけたら密が心中してくれるとは限らない。都筑は、もしに無人島に置き去りにされても島の原住民第一号になるくらいタフにならなければならなかった。男にも押し倒されないようにしなきゃだし、始末書くらいサラリと提出できなきゃだし、犬になる頻度も下げていかないと密に男として扱われない…! 都筑はコップを握りつぶす勢いで強く掴んだ。 「やっぱ男は強くなきゃな」 日本男子たる者、もっとこう、なんてゆーか物や言葉だけじゃなく、"黙って俺に着いて来い"みたいな強さを背中で表現するべきではないのか。 ザザーン…ザッパーーーン… 岩に砕ける波の(効果)音が聞こえてきそうだ。無人島云々の描写がマズかったのか、都筑はちゃぶ台に足をかけ、しばし海の男のロマンに浸った。 「やっぱ海の男に指輪で告白は似合わないよなぁ…」 モノを渡すついでにコクるなんて海の男の主義に反する。止めといてよかったvと内心胸を撫で降ろしたが、都筑はそんなこと実行してないし、そもそも海の男ではなかった。 「だいたいなんでしょうゆさしで怒るんだよ…」 しょうゆさしが無ければ不便だ。ものごっつ不便だ。指輪なら喜んでしょうゆさしだと怒るなんて納得いかない。必需品という意味ではしょうゆさしの方が絶対重要なのに。 「密はしょうゆさしの重要性を分かってない…!」 都筑はだん!とコップをちゃぶ台に叩きつけた。 しょうゆさしがなければ、料理の最後の隠し味として一滴落とせないし、なんかこう、精神衛生的に日本の食卓にはしょうゆさしがなければならない。 だいたい、刺し身を食べるための小皿にしょうゆを入れる時、1リットルボトルから注いだら一体どんな悲劇が起こるか密は分かっているのか。いや分かっていない…! 都筑は思わず握りこぶしを固めた。 密にしょうゆさしの重要性を理解してもらわなきゃ…! どうせ今頃あのしょうゆさしは、大したモンじゃないってカンジに押し入れのダンボールに投げ入れられているのだ。重要性を理解されないまま押し入れの奥で埃をかぶっていく姿を思うと、都筑はしょうゆさしが不憫でならなかった。 「待ってろしょうゆさし…!」 都筑は、朝から投げ込まれたままの朝刊を取りに立った。本来なら密には世間の厳しさってものを分かってもらわなければならない。しょうゆさしが料理にいかに重要か、しょうゆさしのない食卓がどんなにわびしいか、泣いて教えを請うて来るまで待つのがパートナーの役目だろう。 しかし都筑は厳しさに欠けるパートナーだった。 「あぁ…俺ってなんて親切…」 自らの行いに感動しつつ、都筑は○を付けたスーパーのチラシをFAXに押し込み始めた。
…一生分「しょうゆさし」て単語打った気分です…。 (言いたいことはそれだけか)
| 2001年10月22日(月) |
一日遅れたプレゼント<後日談・別> |
都筑は自宅のちゃぶ台で一人、頬づえをついていた。 「密、どうしたんだろう…?」 さいきん密は機嫌が悪い。いつもの無愛想が、いつにも増して無愛想なのだ。それも自分に対してだけのような気がする。 「なんでだろ?」 都筑は首をかしげた。密の様子がおかしくなったのは、誕生日をすぎてからだった。まさかあの若さで、一つ年食ったくらいでアンニュイになるとは思えない。それとも今年の四柱推命が最悪なんだろうか。 都筑はもっとよく考えてみた。怒鳴るほどに絶好調な密に、最後に威勢よく怒鳴られたのはいつだったか。 「…あ」 頬づえから顎が外れた。あの時だ。密に、一日遅れで誕生日プレゼントを渡した時。街のネオンがまたたく高層ビルの屋上。空には星もまたたいて、鼻水が出そうなほど冷たい夜風の中で、なんだか色々派手に怒鳴られた。そう、それが最後に密に怒鳴られた時だ。 「そういえばヘンなこと口走ってたよな…指輪がどうとか」 言ってから都筑はハッと気づいた。 「まさか密…俺からのプレゼントが指輪だって思ってたとか…?」 気づいた途端、にわかに動悸が激しくなった。 まさかまさかまさか。 残業も手伝ってもくれない、甘味処にも付き合ってくれない、酔っ払って壁に激突した時の鼻血も治してくれないの3ナイ運動な密が俺を好き…? いや待て落ち着け麻斗。 都筑は前に手を出す振り付で必死に自分の考えを押し留めた。 あの人間不信のワガママボウヤが、女を飛び越していきなり俺に惚れに来るとは思えない。なんと言っても、十代といえばまだまだ女体に興味のあるお年頃だ。 それより何より。 「…指輪?俺が?」 ハ・ハ〜ン? 思わずエセ外人のように鼻で笑ってしまう。都筑は、テンションが上がって酒が飲みたくなってきた。 …いくら世間が都密主流だからと言って、誕生日に指輪を渡して告っちゃうなんてこっぱずかしい事出来るハズがない。だいたい自分の薄給じゃ指輪なんてとても買えないし、だいいちこれはギャグ話だ。 都筑は酒を取りに立ち上がった。 …ギャグと言えばボケとツッコミがいて、今回の俺はどう見てもボケ役だから、指輪を捧げて「結婚しよう密」なんて展開には持って行きようがない。だいいち繰り返すが、この年でソレは身悶えするほど恥ずかしい。 「…ん?」 食器棚から一升瓶とコップを出し、都筑は天井を見上げた。なんか今、ヘンなナレーションが頭上をよぎった気がしたからだ。 「…で、どうして密は不機嫌なんだっけ?」 結局思考が元に戻ってしまった。都筑はちゃぶ台の定位置に戻り、とりあえず酒瓶の蓋を開けた。
…明日に続きます! (もう何やってんだかこのページ)
| 2001年10月21日(日) |
ラブマスターついに宗旨換え?! |
昨日一昨日とココに書いた誕生日小説 「一日遅れたプレゼント」が 一部の好評を博したようで、なんとあの ラブマスターともちゃんが続編を書いて下さいました〜! きゃ〜私ったらなんて果報者!(>▽<)b
てゆーかアレの続き…?と不審に思った方も多いはず! だってギャグだし。だからつまりラブマスターは ジャンルの転機に来てるのですよ今! 今、都密に求められているのはコケおとしと笑いだと、 その道最前線(笑)が認めたのです皆さん!
てことで、続編存分に堪能してください♪
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/8690/bd21.html
…なんか日記じゃなくなってきたなここ…
| 2001年10月20日(土) |
続・一日遅れたプレゼント |
手の上の小さなラッピング。 使い古された映画のワンシーンがちらりと脳裏によぎった。プレゼントは小さな小箱で、その中にはプラチナのリングは入っている。 「…何これ?」 まさかそんなことはないだろうけど、密は少し緊張してしまった。 「えへへ、開けてみてよ」 ものすごく嬉しそうに、密が開けるのを待っている。それに急かされたつもりはないけれど、密はとにかく包みを開けた。 「…何これ?」 さっきとはまるで声の調子が変わってしまった。それほど、その中身は意表をついていた。片手サイズのプラスチックの容器、それは。 「しょうゆさし」 「なぜだーーーーっ !?」 目の前にちゃぶ台があったら、まず間違いなくひっくり返していただろう。さっきまであんなに盛り上がっていたのに、なぜここでしょうゆさしなのだ。 「俺こないだ密ん家のしょうゆさし割っちゃっただろ?悪いなと思って。それにないと不便だし。あ、もしかしてもう買っちゃった?!」 「…………いや」 手の中のしょうゆさしを割りそうな勢いで握り締めてしまう。…いつの間にこんなに話のジャンルが変わってしまったのだろう。 「よかった〜〜〜」 その、心からの笑顔を見て、辛うじて保っていた密の自制心はぷつりと切れた。 「ざけんなテメェ!昨日までの盛り上がりはどこ行った?! 一体何人のお嬢さんが昨日の話読んでモエたと思ってんだ!」 「え?え?何の話?」 都筑がたじたじになって一歩引いた。 「たまにらぶーな展開行ったから皆に驚かれて、■には珍しく甘い内容だったから貴重なのに、やっぱりオトすのかよお前は!」 「え?らぶー?■?何のこと言ってんのかわかんないよ密っ」 さらに一歩引きながら、都筑が必死になって聞き返す。 「一体何人のお嬢さんに"指輪だと思ったのに〜"って言われたと思ってんだ!!」 と言った途端、都筑が引いていた身を乗り出した。 「え?え?まさか密も期待した?」 「してねぇよ」 底冷えのする声で密は思い切り断言する。さっきのちょっとしたトキメキは、今となっては口が裂けても言えない。代わりにもう一言、言いたいことを付け足した。 「あげく一日遅れといて中身がしょうゆさしだぁ?誕生日小説多しといえど、一日遅れて堂々としょうゆさし渡すお前はここしか居ないぞ?!」 「ややややばいって密、専門用語多すぎ!」 都筑が慌てて手で密を制す。そこでようやく密は我に返った。確かに、自分のセリフにしては業界用語が多すぎだった。 やっと落ち着いて、肩で息をする密を見て都筑はぽんぽんとその頭を叩いた。 「密は読者思いだねぇ」 「お前が外しすぎなんだ!」 さいきんの都筑のダメぶりへの憤りも込めて、密はまた怒鳴ってしまった。 「…ごめん」 そんなに密が怒るとは思わなかったのだろう。都筑はしゅんとして、頭を下げた。 「じゃあ、おわびにもう1個プレゼントするから、許して?」 一日遅れた分、プレゼントもひとつ追加すると言いたいらしい。都筑にしてはしゃれた気配りだ。密は黙って、しょうゆさしを持つ手と反対の手を出した。 「ホントは自分家で使おうと思ってたんだけど」 都筑も、今度は反対のポケットから包みを出す。まったく同じラッピングをされた小さな包み。 密は、手を出したことを心の底から後悔した。 「…何これ」 2度目よりもさらに冷えた密の問い。 「密とおそろいで使いたかったんだけどな〜」 両手に、全く同じガラスの容器。 こうして密は、一日遅れた誕生日プレゼントにしょうゆさしとソースさしをもらったのだった。
…うわ〜読んだ人に殺されそ〜(大汗)
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