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「かおる×シンジ対談」新谷かおると和田慎二の対談 5
2006年02月07日(火)

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―『スケバン刑事』はアニメよりも実写のほうが嬉しかったというか。

和田 嬉しかった覚えはないよ。

―そうですか(笑)あれはあれでよかったと思うんですけど。

新谷 俺は次回作で『スケパン刑事』を描けっていったんだよ(笑)スケスケパンツをはいてね(笑)

和田 『スケパン刑事』っていうアダルトビデオがあったらしいんだよ(笑)

新谷 そうだよな、『銀河鉄道69』というソフトがあるくらいだから。

和田 でも『エリア69』ならありそうだけどな。


〜新世紀エヴァンゲリオン JUNE読本 残酷な天使のように/マガジンマガジンより〜

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エリア69はいらん。

スケバン刑事といえば、今度また実写映画化されるようで、ファンの皆さんお疲れ様です。
誰か止める人はいなかったんでしょうか。新谷先生は友達として止めなかったんですかね。なんでも和田先生は、昔の実写版の時はえらいご立腹だったそうで。まあ、それも無理もないことと思いますが、今回は和田先生も納得がいくキャスティングだったのでしょうか。それとも、漫画の実写がここのところ好調なので、押し切られて、和田先生GOサインを出しちまったでしょうか。
今度もまたギャグ路線でいくのか、真摯な姿勢で製作に取り組むのか、内情のほどは私にはわかりませんが、実写版デビルマンの2のまいにならないよう、せいぜいがんばってもらいたいものです。(投げやり)

さて、実写映画よりも、私としては、こちらのほうが、気になったのですが、和田先生、スケバン刑事のアナザーバージョンというかパロディを書いていたのですね。
ちょっと立ち読みしただけですけど、メディアファクトリーから出ている『スケバン刑事 if』これは、麻宮サキと麗巳が本編と違う形で出会っていたらの話で、いわばもうひとつのスケバン刑事、パラレルワールドなのですが、これ、驚くぐらい当時と絵柄が変わっていないですね。
20年という歳月は人を変えるのに充分ですが、(O.ヘンリー)この先生は20年経っても、画風に変化が全然ありませんな。人によっては、絵柄がめまぐるしくかわって安定しなかったりするものですが、この先生は、変化が少ない人ですね。
ベテランの先生方が、どの巨星もみるみる絵が劣化して、デッサンが歪んで、見るにしのびなくなってくる中で、これはちょっと驚きました。

それにしても、年をとって絵が衰えてくるのはいたしかたないことだと理解できるのだけど、でもなんでみんなああ絵がキモくなってしまうんだろう?ベテランクラスの漫画家さんは、どの人も創作全盛期に比べて、みんな絵がキモくなっているような気がするんだけど。ただ筆に勢いがなくなるとか、大味になったとかなら解かるんだけど、なぜかみんなキモくなっていくような・・・。なぜ?

そして、スケバン刑事が2ラウンド目に入ったのに、いまだ終わる気配のないガラスの仮面と王家っていったい・・・・。
この2つは少女漫画界の、ネタ、じゃなかったご長寿漫画の双璧ですな。これにエロイカを加えるとネタ漫画の三賢者で、パタリロを加えると四天王ですか?ガラスの仮面と王家とどっちが一番先にゴールを迎えるかは、少女漫画界では賭けの対象になりそうですが、ミウッチーもダヴィンチで、「ラストはもうとうに決まっています」って宣言しているんだから、アニメに口出していないで、とっとと続き書いてください。

さて、そんなご長寿漫画の行方は末永く見守るとして、気になるのは、書店の店頭をちらちら飾っている有名漫画の続編のほうであります。
まあこの『スケバン刑事if』を始めてして、名作漫画の続編は、ここのところちろちろ見かけるわけですが、私は断然続編もアナザー編もいらない派です。
例外はないとはいいませんが、続編と名のつくものに面白いのは少ないですからね。感動を台無しにすることが大半、蛇足だろそれというものが多い。特にベテランの先生が、過去の作品に固執して、何度も書き直ししたり、続きをいまさらのように書いたりしているのは、自分の遺産を食い潰しているようで、見ていて痛々しいです。
それでおもしろければいいのだけれど、まず大抵の場合はつまらない。絵も不味くなっていたりする。
たとえ、画力的には上がっていたりしても、絵の上手さ=作品の魅力ではないわけで、画風が違いすぎると、違和感が大きすぎて同じ話とは思えなくなるし、そのときだからかける絵というのがあると思うし、絵から受けるイメージというのは漫画の場合非常い大きいので、画風が変わると、やはり辛いです。
誰とはいわんが、某冷奴先生。最近の冷奴先生の漫画は、自分で自分の漫画の同人書いているふうにしかみえないっす。つーか甲児くんはいったい何バージョンあるんですか?

新谷先生は、インタビューで「エリア88」は僕の代表作といわれているけれど、あれはもう過去の作品ときっぱりと言い切っていて、ファンとしては、寂しいのですが、そういう姿勢は、いいなぁと思います。
やっぱり、クリエイターたるものは、常に新しいものを世に送り出してもらいたいと思うわけですよ。
過去のヒット作を焼き直しするよりも、得意の分野で、新しい作品を手がけてもらいたい。昔の作品の続編を書くのなら、全く別のものを、新たに書き下ろしてもらいたい。
そういう意味で山岸センセとか新谷とかはいいなぁって思うのですよ。
山岸センセのテレプシとか、新谷のRAISEとか、あえて自分のヒット作の続編ではなく、得意ジャンルで、新しい話を書き起こして、手堅くおもしろいものを世に送りだすというのは、いいなぁと思うわけですよ。
いまさら、アラベスクの続きとか、エリアの続きが見たいとは思いませんしね。

ですから、私としては、神崎ジュニアと風間ジュニアという子供世代の対決を描いた『エリアにかけろ2』とか、神崎と風間の立場が逆だったらという『エリアミッドナイト』とか、大和航空に就職したシンのその後の活躍を書いた『エリア88 大和航空編』とか、ましてや、風間と神崎が女だったらという仮定の『エリア88レディ』とかはいらないわけですよ!

あ、でも新谷キャラ総出演の新谷版『大甲子園』はちょっとみてみたいかも。神崎からモーガン機長に太田司令にクレオ、マリー隊長まで総出演の新谷ワールドは。

さしずめ、タイトルは『大空港』あたりですかね?


「かおる×シンジ対談」新谷かおると和田慎二の対談 4
2006年01月31日(火)

間が空きましたが、「かおる×しんじ対談」の続きです。
間が空きすぎて(私が)忘れているので復習。
これは、JUNEのエヴァ特集の中にあった「新谷かおる×和田慎二対談」です。
何故JUNEにこの二人が出ているかというと、二人がエヴァのファンで、名前がカオルとシンジだからなのでしょう。人選がJUNEです。カオル×シンジという表現がJUNEです。別にJUNEじゃなくても対談には×を使うのが普通ですが、これみよがしに大きくカオル×シンジと表題題してくれているところがJUNEです。
この対談を読むと、お二人が仲良しだっていうのが、よくわかりますね。
かよの夫人の漫画を読んだりすると、あとがきなどに、新谷先生について時々ふれていることがあって、新谷和田ファミリーで、一緒にエジプト旅行にいったなどという記載あったりするのですが、本当にこの二人仲がいいんですね。
二人でイベントに行ったり、エヴァのパロディ考えたり、まあ、仲のよろしいけど。
この企画を思いついたJUNE担当者は目のつけどころがよかったですな。話題が豊富でよくしゃべる二人なので、話が盛り上がること盛り上がること、司会者が話題ふらなくても、延々と二人は話続けておりますよ。

ところで、みなさん、エヴァといえば、この対談のタイトルでも使われているカヲルくんとシンジくんですが、渚カヲルくんと碇シンジくんのやおい的関係の元ネタが、永井豪ちゃんの「マジンサーガ」の兜甲児(かぶとこうじ)くんとデューク・フリードだというのは、ご存知ですか?
私最近知ったんですが、これすごいショックでしたよ。
兜甲児くんといえば、私がここのところ嵌っている元祖スーパーロボット「マジンガーZ」のパイロット。そして、デューク・フリードというのは、その続々編「グレンダイザー」の主役パイロットです。

シンジの元になったのが甲児くんってのは、すぐにおわかりになりますよね。
二人とも、
・ある日突然巨大ロボットのパイロットになる。
・ロボット乗るために、研究所の近くに引っ越してきて、学校も転校する。
・母親は、実験中の事故で死亡。
・父親は要塞司令で、自分には会いに来てくれないのに、よその子を戦闘要員として育成して可愛がっている。
・その戦闘要員と共に戦う。
・乱暴な美少女パイロットとは喧嘩が絶えない仲。
・転校先で仲良くなった友達も途中からパイロットに。
・人ならぬ謎の美男子から愛される。
と、こんな感じで基本環境は一緒。
(ついでに偶然だけど二人とも料理も得意で、要塞にはミサトさんという名の年上の美人の女性がいますな)

また研究所/要塞もはどちらも富士山近郊。エヴァの手足がちぎれると血が吹き出るってのは豪ちゃんの漫画と同じ。エヴァの顔の造詣は漫画のZ似。前傾屈で走っているところはZそのまんま。さらに劇場版のラストはデビルマンetc・・・
と、エヴァがマジンガーZ(&デビルマン)のリスペクトであふれているってのは、見ればすぐにおわかりになりますよね。
でも、カヲルくんの元がデューク・フリードだったとは気がつかなんだよ。

甲児くんと大介さん(本名デューク・フリード)のあやしい関係は、30年近くにわたって論議される有名なものなので、私も聞いたことがあるわけですが、この二人の関係が、カヲルくんとシンジくんの元ネタだったんですね。
Z見るまで、全然気がつかなかったよ。
カヲルシンジの元ネタが甲児くんと大介さんというのは、私、すごいショックだ。

というのもね。
ああ、みなさん、礼儀正しき、紳士淑女のみなさん!ご存知でしたか、わたくし驚きましたの。
わたくし豪ちゃんの漫画読みましたの。
そしたらですね、あのね、あの兜甲児くんがね、

デューク・フリードに抱かれる場面があったのよ!

冗談じゃなくて、本当に甲児くん、デューク・フリードに抱かれていたのよ。
頬を赤らめてハァハァ言っていたのよ。
顔をみつめてどきっとしていたのよ。
エレクトしていたのよ。

いやぁぁぁぁぁッ!
ショック、すごいショック。これをいったいどう解釈すればいいというのか。
これ、絶対ただの抱擁じゃないよ。これいったいどういうことなんですか。
これはどう解釈すればいいんだ、豪ちゃん!
画力は衰えてもスケベ漫画の大家、永井豪先生の男同士の抱擁シーンがエロすぎるッ。
あの上手いんだか下手なんだかわからんデッサン歪みまくりの絵柄で、ハァハァとデューク・フリードに抱かれる甲児くんを見てしまった日には、私はいったいどうしたらいいというのか。
困るじゃないですが、そんなことされたら、困るじゃないですか。
だってね、そういうものを本家が自ら書いてしまうと、もう、そいういう色眼鏡でしか見れなくなっちゃうじゃないですか。
これがなければ、同人女の妄想で済むのに、こんなことされると、本当にこの二人はそうじゃないかっていう気がしてくるじゃないですか。

今私、マジンガーZと平行して、グレンダイザーを見ているのに、本家がそれをやってしまうと、もうまともに見れなくなっちゃうじゃないの。
ただでさえ、アヤシイといわれる二人なのに、そんなものを見てしまった日には、影響から逃れられる事ができなくなるでしょ。あれがなければ、二人は信頼しあった友達なんだねで済まされるのに、ご本家がやっちゃうと、ああ、オフィシャルでも、甲児くんと大介さんの関係は認めちゃっているしな、ここはやっぱりこの二人はそういう解釈にしたほうが自然なのかなってなっちまうだろ?
いやなんだよ、そういうのは、やなんだよ。俺の子供のころの夢を壊すな。そういう目で見たくないんだよッ。でも、駄目だ、もう駄目だ、あああッ、もうそういう風にしかみえないじゃないかァ。

だってストーリー的にも、大介さんが甲児くんが好きで、彼を守るために戦っているほうが、筋は通るんだもん。

というのも、グレンダイザーという話は、マジンガーシリーズの3作目で、主人公の大介さん(本名デューク・フリード/声は富山敬ね)が、侵略者の手から地球を守るために、友とともに(甲児くんのことですね)戦うというストーリーなのですが、これが困ったことに、どうみても、地球のためじゃなくて、甲児くんのために戦っているようにしかみえないのですよ。
その筋のお姉さんを狙ってやっているのではなく、素でやっているところが、やおいを通り越して本物っぽい。

この主人公、地球と甲児くんの命を秤にかけられると、甲児くんを選んでいるし、戦いたくないんだ、乗りたくないんだと戦闘を嫌っているくせに、甲児くんが捕まっちゃうと、神業の速さで出撃して助けにいっているし、人質救出に向かっても、途中で甲児くんがやられると、人質見捨てて、甲児くんだけを助けに行くし、戦闘中に甲児くんがやられると、「もうゆるさない」と突如本気モードになるし、お前、最初から本気出して戦えよ、
甲児がやられないと、おまえ本気出しさないだろ、と突っ込みたくなるのは何回あったか数え切れません。
さらに、厭世的ではかなげなのに、甲児くんのこととなると、俄然熱くなって、甲児くん君一人を死なせるわけにはいかないとか、甲児くん、死ぬときは一緒だとか、視聴者置いてけぼりでわずか7話で勝手に心中しようとするしで、やっていることがすべて兜甲児至上主義。

そして敵は敵で、こいつは兜甲児を狙うと、すっとんで出てくるのがわかっているから、
甲児くんは、毎週毎週敵に狙われて、人質にされたり、服を脱がされてパンツ一枚にされて、薬使って洗脳させられたり、ベットに紐で拘束されたり、と毎週ひどい目に遭うわけです。
さらに二人きりで無人島で一夜を過ごしたり、こいつッゥ☆とおでこをこっちんこさせたり、それは普通男女でやるのではないか?
甲児くんがやっている役は、普通はヒロインがやるのではないか?
ということを、次々毎週やってくれるのですよ。

このアニメは前半ヒロインがいないという構造上の重大な欠点があるので、男二人がカップルにしかみえず、困った作りになっているわけですが、こうした大介さんの一連の異常な行動が、甲児くんへの愛情から来るものとすれば、すべて納得がいく構成になっているわけです。

まあ、グレンダイザーの甲児くんは、今いったように、やられ役のヒロインとしかいいようのないひどい(本当に酷い)役回りをさせられているので、グレンダイザーは、Zから見ている人には、黒歴史として扱われているのですが、そうですか・・・豪ちゃんも、デューク・フリードについて、そいういう風に感じるところがあったのですね。
だって、豪ちゃんが昔書いたグレンダイザーの漫画では、そんな雰囲気欠片もなかったのに、マジンサーガにくるとああいうふうに扱っているってことは、きっとあれですよね、グレンダイザーアニメを観た豪ちゃんが、アニメのあの二人の関係にピンとくるところがあって、本人曰く本当に書きたかったというマジンガーを書くときに、よっしゃ、今度はデューク・フリードと甲児くんの関係は、これでいってみよう!って、いうことにしたんじゃないですかね?まあ、本意のところはわからないけれど。

そして出来上がった豪ちゃんいわく本当に描きたかったマジンガーこと、マジンサーガを読んだ大の永井豪ファンの庵野監督が、それを元にエヴァンゲリオンを作った、というわけなんですね。ふぅ。

まあ、エヴァが、マジンガー(&デビルマン)の強い影響のもとに作られたのは一目瞭然だし、シンジが甲児くんを意識して、全く逆方向の性格を持たせて作られたキャラというのもわかるし、庵野監督が豪ちゃんファンというのも見れば納得ですが、そうですか、あの「歌はいいねぇ」と突如空から舞い降りて、わけのわからない言動を繰り返し、視聴者と主人公を惑わせまくってて、強烈な殺し文句を残して消えていったあの渚カヲルくんも、源泉をたどると、ここにたどり着くというわけなのですね。

マジンガーZがなければエヴァンゲリオンがなかったとはよくいわれていることですが、今回のことはそれを強く感じた1件でした。おそるべし、マジンガーZ。

というか、甲児くんって、元祖巨大ロボットパイロットだけでなく、元祖やおい同人誌のアイドルでもあったんですね・・・アニパロはライディーンとグレンダイザーで定着したと、聞いていたけど、我々にその遊びを定着させたのは、甲児くん、あなただったのね・・・。

つくづく偉大な男だ、兜甲児。

と気がつけば、また兜甲児語りに陥り、対談の内容になにもふれていませんでした。
では前置きがながくなりましたが、いよいよ本題にといきたいところですが、紙面がいっぱいになったので、それはまたの機会にするとして、今日のところはとりあえず、この本には新谷かおるが書いたカヲルくんのイラストが載っていますとだけ、お知らせしておきましょう。
というわけで、
来週もまた見てくれよ。


空にそびえる鉄の城 10
2006年01月24日(火)

さて、甲児くんのお友達のボスも、自分専用のロボットが欲しいと思うようになってきました。
マジンガーZと兜甲児は唯一無二のメカとバイロット。代替えが効かないゆえ、半死半生の重傷を追っても悠長に寝てられず、包帯をひきずって這ってでも出撃しなければならないのです。
イメージ的には、兜甲児というと、仲間意識が強く、俺達仲間じゃないかと友情の押し売りと大安売りをしそうな感じですが、ところがどっこい、戦闘に関していえばさにあらず、仲間意識は薄くて、いつもひとりで戦っている人なのです。
光子力研究所を守れるのは自分だけと思っている節があって、一人で全部背負い込んでいて、一人で戦っている感じ。近頃は特にその傾向が強い。
それゆえ、傲慢な印象も与えるわけですが、この人って、あの明るさに騙されそうになりますけれど、本当は一人で全部背負っている人じゃないですかね?何も背負っていない代表格のように言われることがありますが、それって、ちょっと違いません?
ここのところは自分が研究所を守らなきゃ、自分がしっかりしなきゃと、気負いが強くってちょっと痛々しい感じです。おかげでイタイ言動もチラチラ目立つように。
たしかに研究所を守れるのは自分だけというのは間違いではなくて、事実上、研究所を守れるのは甲児だけ。弓先生は甲児くんに頼りきり、シローやさやかさんや3博士は繰り返し人質になるしで、自分がしかりしなきゃと背伸びして、結構無理しているんだろうな。
そりゃ、無茶もするだろうさ。一人で守っているんだから、無茶しなきゃ守りきれないだろ。一応アフロダイAもいますが、補佐しているとはいいがたく、Zが出動しなきゃ、話になりません。

甲児くん、最初のころあった金持ちの余裕みたいなものもなくなってきて、アウトローな雰囲気になってきましたね。それゆえZに時代の甲児は背筋伸ばして、格好いいわけですな。

さて、そんなそっけない甲児くんに対して、むしろ仲間意識が強いのはボスでした。
一人で全部を気負って戦っている甲児くんの背中を見て、自分も手を貸したいという気持ちが半分、羨ましいと思う気持ちが半分で、専用ロボットを持ちたいと願うようになります。

先生、俺にもロボット作ってくれよと頼むボス。しかし、マジンガーZの補修強化で忙しい光子力研究所の人々は、ボスにかまっている余裕はありませんでした。
けれどもボスはあきらめきれません。
3博士を誘拐して強引に作られせるという強硬手段にでます。
部下のヌケとムチャをつれて研究所に覆面をして潜入するボス。
甲児くんは高性能な光子銃を腰にさげいますが、平民のボスにはそんなものはありません。おもちゃの銃で代用です。
そして誘拐に成功したボスは、自分の家であるスクラップ工場に連れてきて、これを作るんだと、自作のロボット設計図を取り出しました。
甲児くんはお祖父さんが世界的ロボット工学の博士でしたが、ボスの家は町のしがないスクラップ工場なのです。巨大ロボットの設計などできる人は身内に誰もおりいません。自分で図面を引かなければならないボス。
兜家の血筋で天性のメカニックセンスを持つ甲児くんと違って、ボスはメカは苦手でした。けれど、ロボットに乗りたい一心で線を引きます。
さらに、大金持ちの甲児くんと違って、庶民のボスには、ロボットを作る資材を調達する資金はありませんでした。夢の新素材超合金Zなど、夢のまた夢。ああ、兜甲児のマジンガーZとの差は広がるばかり。
彼にあるのはスクラップだけ。廃材を利用して作るしかありません。
とりあえず、スクラップだけはたくさんあるので、それを利用して作るよう命じます。

こうして完成したのがボスのロボットこと、ボロットです。

ううう、3博士、あいかわらずいい人ですね。
ボスのために、ロボットを作ってあげるなんて、なんていい人達なんでしょう。
そして、甲児くんのマジンガーZとの差が大きすぎるのが、また泣けてくる。
自分のロボットができて喜ぶボス。
廃材でできたボロボロのロボットなのに、喜んで乗るボス。
一所懸命操縦して、機械獣と戦おうと意気込むボス。
抜群の運動神経を持つ甲児くんと違って、操縦に苦労するけれど、がんばるボス。
格納庫はバラックだけど、そんなことは気にしないで満足気味のボス。
駄目だ、泣きそうになった。
ボスがいい奴すぎて泣けてくる・・・。甲児くんは本当いい友達もったよ。大事にしろよな。

そして、甲児くんはボロボロのボロットを、金持らしい悪意のない無邪気さで、馬鹿にして笑うのでした。

この、金持ちのボンボンが!(怒)

暗黒大将軍!早く出てきて、こいつのロボットを、めっためったにやっつけてやってくださいッ!


いいですか、甲児くん、あなたも続編になったら、自分のメカは牧場の小屋に置かれるようになるのですよ?
牧場の小屋ですよ、牛や馬と同じ扱いなのですよ、家畜扱いなのですよ?
マジンガーZといえば、誰もがプールが割れて中からロボットがせり上がってくるあの有名な格納庫を思い出すでしょう。あれは前田建設ファンタジー営業部
⇒http://www.maeda.co.jp/fantasy/project01/01.html
によれば、現在の技術で作ると72億円かかる代物だそうですが、そんな立派な格納庫にしまってもらえるのも、親の遺産がある今のうちだけですからね!
あなたも続編になれば、主役を筆頭に研究所の人から、そんなメカじゃ無理無理とさんざん馬鹿にされ、客員研究員なのに、牧場で馬の世話の手伝いさせられ、荷物持ちをさせられ、アッシーをさせられ、あごでこき使われる身分に転落するんですよ。
今、あなたがボスを馬鹿にして笑った言葉を、そっくりそのまま浴びせられるのですよ。

今はどれほど破損しようとも、知の殿堂光子力研究所の知恵袋たちが総出で修理してくれるでしょう。パワーアップのためには、世界的権威の博士が手を貸してくれるでしょう。けれど、覚えておきなさい、兜甲児よ、もう誰も、手を貸してくれなくなるのですよ。自分で設計して、自分で建造して、自分でテストパイロットもこなして、そうして苦労して作ったメカはむざんにも処女飛行のその日に打ち落とされるのですよ。

ああ、この恵まれすぎた鉄(くろがね)の城の住人は、やがて訪れる遺産を失う日のことを知らないのでした。

兜甲児という人は、当時一世を風靡していた仮面ライダーやデビルマンのような変身ヒーローとは異なり、スーパーロボットに乗ってはいるけれど、パイルダーを降りれば普通の人、ロボットから降りれば普通の人、つまりは視聴者に近い身近なヒーローということで登場するわけですが、果たして、この大金持ちで高名な学者の孫で運動神経抜群でズバ抜けて頭がよく、精錬な2枚目な少年を普通といっていいのでしょうか?


ゲッター1、ゲッター2 9
2006年01月17日(火)

マジンガーもBOX1箱観終わったので、気分をかえて(本当は最終回を観るのが怖い)、
ゲッターロボを観てみる事にしました。
マジンガーシリーズとコンバトラー(長浜)シリーズは一所懸命観ていたのですが、
間のゲッターは覚えてなくて、
どんな話だったか、今ちょっと思い出せません。
とりあえず1話だけ観たのですが、

あの、これ、ゲキガンガー?

ゲキガンガー@ナデシコにしか見えないんだが・・・レッツレッツ・ゲキガ・イン。

いやゲキガンガーのほうがパロディだというのはわかっているんですけど、
今みると、ゲキガンガーのほうがオリジナルでゲッターのほうがパロディに見えるという不思議な事態に。
ゲッターは、しばしばその無茶がある合体が笑いのネタにあげられますが、
なんか、もう、

作品そのものがすべてネタって感じがしないか?

この話は、マジンガーに始まった複数のメカがドッキングして一つのロボットになるというコンセプトを発展させ、
戦闘機3機が合体変形して、1つのロボットになるという変形モノですが、

その変形無理だろ。

なんで合体すると手と足が生えてくるんだ・・・。
3パターンの合体法によって、3パターンのロボットができあがるとアイディアはすこぶる素晴らしいと思うのですが、
問題の合体シーンがどう観てもギャグにしか見えません。
つーかそりゃ、合体変形じゃなくて、変身だろ。

そして、この話は、私がマジンガーで物足りなく思っていたパイロットが一人だけでなく、
複数性を導入していて、メインパイロットが3人おり、
それぞれが違ったタイプのナイスガイで、その点は嬉しいのですが、

また極端なやつばっかり集めてきたな。

主人公が熱血正義感の優等生、ナンバー2がニヒルでクール、ナンバー3がお笑い担当の太っちょという究極のステレオタイプ。
そのバランスはいいですよ、その方向性はいいのですけど、
選んできたやつが、そろいもそろってまた、全員極端だな。
よくもまあ、ここまで両極端なやつを集めてきたもだ。

でも、おかげでなんで兜甲児が人気があるかわかったよ。
甲児はこの3人が持っているものを、一人で全部持っているんでしょうな。
甲児は1人で、この3人分の要素を持っているのでしょう。
つまり、正義感の強い優等生的ところと、アウトローなところと、おっちょこちょいで3枚目なところと、
みんな一人でもっているというわけですよ。
3人を足すと兜甲児になり、甲児のそれぞれの面を最大限に針が振り切れるまで強調させて3分割すると、
ゲッターの3人になるというわけです。
一人でそれだけそろっていれば、そりゃあ、人気があって当然ですな。

私がマジンガー観ていて、すごく気になったのが、
兜甲児という人が自分の中にあったイメージのと違って、
ただのやんちゃなきかん坊ではなく、
ときどき、大人っぽい道理のわかった発言をしたり、
落ち着いたスマートな態度を取ったり、
びっくりするぐらい2枚目でビシッとしていたりして、
意外で驚いたんだが、それはこういうことだったんだね。

すなわち、ヒーローが一人しかいないから、
やんちゃなきかん坊の役もやらなきゃいけないけど、
まわりの人(さやか、ボス)が熱くなっていれば、軽くうけながして、
クールダウンさせる役もやらなきゃいけないというわけですよ。
小さい子が出てくれば、お兄さんの役もやらなきゃならないし、
きかん坊の子がでてくれば、たしなめる発言もしなきゃいけない、
いつも自分だけがテンションの高い熱血をやっているわけにはいかないのです。
もちろんヒーローなのでビシッときまった格好いい場面もしなければならないし、
ときにはヘマをして、3枚目の役もやらなきゃならない。
2枚目と3枚目の両方をこなさなければならないし、ギャグもシリアスもこなさなければならない。
ボケとつっこみの両方を担当して、ときどきボケてときどき突っ込んでと、
パイロットが一人しかいないから、彼は一人で何役もこなさなきゃならないのです。
(おかげで回によって印象が違う)

毎週の放送見ていても、回によって甲児の印象は異なることが多いです。
乱暴であらっぽい荒れているなぁという回もあれば、
今日は優等生でいい子だなぁというときもある。
戦闘のプロで、今日はいやにシャープで鋭いなぁという回があるかと思えば、
次の週はおちょうしもので失敗したりもする。
さやかさんを颯爽と助ける美丈夫の回もあれば、
おかちめんこと、足蹴りにする回もあったりして、
回によってばらつきが大きい。

まあ、演出・脚本家の連携が取れていないといったら、それまでですが、
おかげで、のっぺりとした一面性だけの持ち主じゃなく、
正義感+アウトロー+お笑いがうまく混じって、
結果的に、完璧すぎる性格ではなく、ちょっと抜けたところのある、しかしながら格好いい
魅力的な人間に仕上がっているのです。
これが裏があったり、腹黒かったりすると、また問題なのですが、
腹芸できるタイプではなく、裏表のないみたまんまの人間なので、
どれをみてて、兜甲児だなぁと思わせてくれるところが、
キャラクターとして、非常に成功しているのではないかと思います。

パイロットが複数いると、個々の差別化をしなければならないので、
いきおい、キャラクターが極端になって、役割分担も自然にできてしまうものです。
ゲッターなんかは、その極端な例じゃないでしょうか。
ま、ゲッターは仲が悪いのがうりなので、あの極端な3人の掛け合いが見せ場になってくるんでしょうけど。

その点、Zは、パイロットが一人しかいないし、登場人物も数えるぐらいしかいないので、
一人でいろんな役こなさなければならず、
そう一辺倒に極端にかっとぶこともなく、素直にまとまっているんじゃないでしょうか。
優等生もすぎれば偽善的になるし、キザもすぎればでとっつきにくいし、ギャグもすぎれば、なさけなくなる。
パーソナリティが、一方行にかたまりすぎると、おうおうにして役割にはまりすぎて融通がきかなくなりがちです。
甲児はそういう役に締め付けみたいなのがなかったおかげで、
のびのびしたキャラクターに仕上がったのではないでしょうか。
あと大きいのは、これ当時の東映のスタイルなのかなんだかわからないけど、
この作品は全体の整合性よりも各話のおもしろさを優先させているのか、
担当する人間によって、甲児&さやかの人格が違っているような気がするんですが、
どうでしょう?
いい加減といえばいい加減ですが、自由度が高い分、幅がある人物になったような気がします。

それから石丸さんは、神谷明(役名忘れた)みたいに、
脳天かち割るわるような暑っ苦しい絶叫で必殺技叫んだりしたりしないのも大きいよね。
もっと、甲児はさっぱり叫ぶよね。
あのしつこすぎない、蕎麦食っているみたいな江戸っ子らしい叫び声が私は好きだ。
へん、ざまあみやがれってんだ!この軽い口調がいいナ。(つーか、神谷さん熱いよ・・・)
とにかくゲッターみたいに濃くなくて、ひねってなくてあと引かなくって無理がないところが、
観ていて楽というか、安心して観てられるというか、そこがZのいいところですね。
それゆえに、のどかといえばのどかなのですが、でも、このペースになれると、快感だぞ。
毎週富士山をバックに戦って、最後は夕焼けに向かって甲児のお得意のハハハハッという高笑いでしめる、この繰り返しがたまらん。

その編ゲッターはいろいろ極端で、カルト受けしそうではありますよね。
ゲッターってさ、一種のキワモノだよね?
(といっていたら、今横から、馬鹿者、キワモノといったら鋼鉄ジーグだろ!というツッコミが入った。)

というわけで、操縦者が一人しかいないのは、ものたりなく思っておりましたが、
これはこれでよかったのではないかと思うようになりました。
ゲッターみたいに、グレートの鉄也やグレンの大介さんと3人で一緒に戦うって話だったらいいのになぁと、
よく思ったりもするのですが、
そうすると、きっと、甲児のキャラは、今とは違っていたでしょうね。
3人の相対から、もうちょっと子供っぽい子になっていたのでしょうか。
それはいやだな。一人でよかった。

Zのほうは、もうすぐボスロボットがでてくるので、
そうすれば、甲児のキャラクターも変化してくるでしょうか。
アフロダイAと合わせれば3人になるわけで、
3人集まると、2人にはなかった駆け引きが生まれ、そこにドラマがおこるので、
甲児の印象もこの先また変わってくるかもしれません。

そういえば、子供のころはボスロボット(ボロットだっけ?)を応援していて、甲児はとにかく傲慢で嫌いだった記憶が・・・
甲児も後半は戦闘のプロとして、暴君となってやな奴なっていくのか?・・・
ボスがギャグ担当してくれるようになるので、甲児は、後半はエラソーな奴になる予感!

というわけで、複数メカだったよかったのになぁと思うものの、
一人で単機というのも、それはそれで利点はあって、よいものだなぁ、ということに気がつきました。
一人で単機のアニメなんて今ないので、最初は寂しくてもっと登場人物が欲しいと思うのですが、
観ているうちに、逆に、これぽっちの登場人物でよく90話以上も話作ったなぁと、
スタッフ偉いなぁと感心してしまうようになりました。
魔人パイロット勢ぞろいで、Zとグレートとグレンが並ぶいうシュチュエーションも憧れますが、
一人というのも、けして悪いばかりではないですね。

だってさ、それをやられるとさ、3機が並ぶとさ、

マジンガーZが負ける役をやらされるから、いやだ。

あたし、マジンガーZが負けるところは観るのはいやだ。


そうだよな、ゲキガンガー?


不滅の力 9
2006年01月11日(水)

うぉぉぉぉ、新しいOP格好いいーッ!

無人発射台から発射されるスクランダーに燃えるでガンス。
瓦礫の中を滑走するマジンガーがカッコいいでガンス。
けなげにおっかけてくるスクランダーが可愛いでガンス。
可変翼のスクランダーが早そうよさげでガンス。
そして風防越しに見える操縦桿を握る甲児が無茶苦茶強そうでしびれるでガ・ン・ス!

さて、オープニングが新しくなったわけですが、
最初の牧歌的な風景とはうってかわって、
見違えるぐらいマジンガーの強さを強調した作りになりました。
この新しいOP、当時の番組の勢いが今に伝わってきますな。
このころ視聴率20%ぐらいだっけ?このあと30%ぐらいまであがるんだっけ?30%っていたらすごいよね。
放送時の破竹の勢いが今に伝わってきて、
PTAが暴力的な機械と好戦的な主人公に抗議しているのが、目に思い浮かぶようです。
マジンガーZが目が覚めるくらい強くなって、これでもか、これでもか、というぐらい敵を倒してZの強さを表面にアピールしてきて、あたしは腰砕けになりましたよ。

甲児ほんと操縦うまくなったよな。
最初は歩くこともままならなかったのに。
ここまでくるのに随分練習していたもんなぁ。
はじめのうちはパイルダーオンも出来なくて、何度も何度も練習していたっけ。
それがいまじゃどんな体位(でいいんだよね?)でもドッキングできるようになったしねぇ。
スクランダークロスもあんなに上達して・・・このメカの進化と成長ぶりが、泣けてきます。
特にこのOPのスクランダークロスの仕方、すごくないかい?ガチンッとすごい音たててドッキングしてるんですけど。腰に衝撃がきそうな合体だけど、大丈夫か?

そして、OPのラストがデビルマンしているの笑いました。
水から上がって空を飛ぶところが、おもいきり、デビルマンのOPの最後とおんなじなんですが。

と、原点回帰ということで、マジンガーZを見ているわけですが、今折り返し地点まできました。
慣れてくると、この話おもしろいですね。
最初は田舎の茶摘のようなのどかなペースが単調だなぁと思ったのですが、
見ているうちにだんだん慣れてきて、
次第に単調が心地よくなり、あるとき単調が快調に転調しました。
単調の中にも適度にイベントがあって、
季節ネタや新キャラ、新兵器が登場したりして、
多すぎないイベントもなんかいい感じです。
多すぎないってところがポイントですね。
時代劇見る年寄りの気持ちってこんなものですか?

というか私、わかったよ、この話の楽しみ方が。
この話のおもしろさはね、小細工を弄しない単純さなんだな。うん。
つまり小賢しいところがないんだよ。

この後、いろんなロボットアニメ登場してくるわけですが、
それらの合体が3機から5機、5機から6機とどんどん機体数が増えていって、
それにともないパイロット数も増えて、
ロボットも進化して武装が派手になり、
バカ兵器が満載のロボットになって、
敵も美形が登場し、この人とこの人が実は兄弟で、敵と見方に別れて戦って、
とドラマ性が高くなって、ボリュームたっぷりなっていく。
そうして複雑になった分、面白みが増してくるわけですが、それと同時に、
話に無理がでてくるわけですよ。無茶が多くなるというか。
子供の目にみても、それは、ちょっと無茶じゃないかというものが増えてくる。
そして、パイロットも悩みのない単純で直情的な性格から、影のある苦悩する主人公という風に複雑な心持の人間になってくる。
で、それは、それで魅力的であるけれど、ふみはずすと、鬱で哲学アニメに傾く危険性をひめている。

マジンガーZはね、パイオニアの強みで、
そういったひねくれたところが全然ないんですよ。
後発の作品が前作との差別性だそうとして、
試行錯誤して小手先をひねって、無茶があるのに対して、
先駆者の貫禄で、ひねくれたところがなくて、素直で裏がない。みたまんま。
この小賢しいところのない、小細工を弄しない単純さがこの話に強みではないかと思うのです。
そして、兜甲児という人はそれを象徴しているんだろうな。

メカもシンプル
主人公もシンプル
人物関係もシンプル
ストーリー構成もシンプル
テーマもシンプル
すべてにおいてシンプルの極み。

これを、単純で幼稚と笑うか、
素直でおもしろいと感じるかは、あなたしだいですが、
私の中には、まだ子供っぽい純真さが残っていたようでね、
最初のうちは忘れていたのだけど、観ているうちに、思い出してきたよ・・・フフ…。

このシンプルなバトルは、体に馴染んでくるとおもしろいです。
合体中は攻撃をしないというロボットアニメ界暗黙の協定が、
この老舗ロボットではまた結ばれておらず、
そのため、合体中こそが最大の攻撃のチャンスと毎回狙われて、
主役機のほうでも、それはわかっているから、
可及的すみやかに合体できるよう日頃から練習積んで、
敵の攻撃をかいくぐって合体するのが見所の一つになっているのですよ。
メカが強すぎず、性能的には敵とどっこいどっこいで、
力押しではなくて、航空力学や流体力学など、
なんとなく科学っぽいな、今なんかそれらしいこと言ったぞ、
というなんちゃって科学をつかって、敵を倒すんだけど、
それが、ゲッター線や超電磁力みたいに、3分に1回は突っ込みを入れずにはいられなくて30分みるとぐったり疲れるといった、強引さがないのがいい。

メカもシンプル極まりないんだけど、
このシンプルさが、逆に、おい、これなら、自分でも操縦できそうだな、って思わせてくれていいです。
とくにこの小型飛行機型のホバーパイルダー、
これがそのままコックピットになるわけですが、
大きさが軽自動車ぐらいで、こんなんで、空飛へるの?っていうぐらい計器版が少ない、
ハンドルはバイクみたいなスタイルだし、
シフトレバーも、パワーショベルとかクレーンとかについていそうなやつだし、
こんだけ単純なら、もしかしたら俺でも運転できる?って感じがする。
だって、クラッチ踏んでいるんだよ?クラッチ。しかも有視界コックピット。
私、格納式?遮蔽式っていうの?モニターでしか、外が見えないエントリープラグスタイルの操縦席って駄目だんだ。
甲児はあんまりモニターみないで目視で操縦しているけど、
機械だけに頼らなくて自分の目で確認するってのはいいよね。
マジンガーZのコックピットは有視界で、操縦者が見えてこの編すごいこのみであります。
乗り込み型ロボットの場合、この操縦してみたいっていうのは、
やはり重要だと思うのですよ。
なんか発想が、メカオンチの女が車選ぶみたいですが。

そして、この悩まない主人公というのが、非常にいいですな。
これが極めてよい。
私昔は、苦悩する能力者系が好みだったんだけど、なんかここにきて急に目覚めたよ。

というのも私はね、かねてから思っていたのですが、
何と戦うか何故戦うかとか、
そういうことは思春期の子には、重要な問題かもしれませんが、
年をとってくると、はっきりいって、そんなことはどうでもいいことになってくるわけですよ。
だって、何故戦うかなんて、そんなこと考えてみたところで、
そういう疑問を大人になってからも続くわけで、
何故あたしは阿呆な子供やダサい夫のために、家事をせなきゃならんのか、とか
俺の一生はこれで終えて本当にこれでええのかとか
その手の苦悩は一生ついてくるわけで、
尽きる日は永遠にこないのですよ。
で、それに悩んだところで、誰かあたしの変わり飯のしたくをしてくれるかわけでもないし、
そういっているうちににまた飯の時間になるし、
迎えに来いと塾からも電話がかかってくるし、
早くこれを書き上げて、でかけにゃならんわけで、
考えている間があるぐらいなら、とっとと仕事にとりかかったほうがいいわけで、頭使って考えるだけ無駄なわけですよ。
考えている間に手を動せっってわけで、
なんかもう考えるだけ、無駄無駄無駄無駄ッ、ムダ!って感じなわけガンスよ。

なので、近頃はうだうだしている、戦闘者を見ると、もう、悩んでいる間に、早く戦えよ、どうせ戦うんだろ?だから、悩んでるだけ時間の無駄ッ!無駄無駄無駄無駄ッ、ムダ!とつっこみを入れたくなるのです。
そういうわけで、このまるで苦悩をしない主人公に、目が覚める思いがして、私は大切なものを思い出したのでガンスよ。
なんかだんだん、年をとってくると、ああ、もう人間は素直が一番、丈夫なのが一番、繊細な子とは扱いに困るから勘弁してくれ、そんな子よりうっかり叩いても死なない子が一番と思うようになってくるわけですよ。(なんか今日は生活の疲れが激しいな)

そういうわけで、この主人公のさっぱりしまくった破天荒な性格が痛快でたまらないのです。
そういえば、昔は漱石も「それから」が一番好きだったけど、最近は「坊ちゃん」が一番好きだもんなぁ。

まあ、本当は、パイロットは複数ほしいよな、
ヒロインも一人じゃなくて、何人かいて、誰かしらお気に入りの子を見つけられるつくりだといいよな、とか、
敵にも美形がほしいな、とか全編を流れるドラマチックなストーリーが欲しいなと思ってしまうのですが、
その編は続編になれば、パイロットも増えるし、
ドラマ性も高まるので、そちらは続編のほうに期待することにしましょう。
(すごい期待している。今、鉄也がどう見えるか非常に楽しみ。)

そして私がこの話の中で一番好きなのはね、
マジンガーZは強い、マジンガーZは負けない、マジンガーZが必ず勝つと、出てくる人、みんながかたく信じているところです。
この話に出てくる人は、みんな絶対にマジンガーZが負けないと信じている。
甲児が、今回ばかりは駄目かもしれない、といえば、
ボスが、マジンガーZが負けるわけないだろ、と答える。
シローが、壊されちゃったと泣けば、
弓先生が、調合金Zで出来ている、やられたりはせん、と答える。
わたし、こういうところがすごい好き。
世の中に絶対で確実なものなどなにもないのに、マジンガーZが負けないと根拠もないことをみんなは頑なに信じるわけですよ、
それはあさはかでおろかで幼稚なことですが、

けれど、いいじゃないですか、信じていたいじゃないですか、マジンガーZは強いと。

そして、マジンガーZは強いと誰よりも強く信じていた甲児は、すべての戦いに勝利を収めるわけです。
たった、一度、最終回だけをのぞいて。



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