やんの読書日記
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2006年02月01日(水) エミリー

マイケル・ビダード文
バーバラ・クーニー絵
掛川恭子訳
ほるぷ出版

エミリー・ディキンソンの詩は
ある小さな詩集で読んで知っていました

希望は小鳥のように
翼を持っている
希望の小鳥は人の魂のうちで
翼を休め
言葉にならない歌をうたう
いつまでも消えない歌を
強風のうちに
うつくしい調べがひびく

希望のことば 偕成社

この絵本は、エミリーの人となり
一面を表現したものですが
心を病んだエミリーに向かい家の女の子が
子どもらしく普通に接する場面がとてもこころにやさしく響きます

エミリーの詩はその死後発表されたのだそうです



2006年01月25日(水) たそがれ清兵衛

藤沢周平作

隠し剣も○○なにべえも
共通しているのは
江戸時代のある藩の下級武士が
不思議な癖や容貌を持っていて
こんな平凡な人がなぜ?
と言うような剣の使い手であること

知る人ぞ知るその剣の腕を
藩の陰謀やスキャンダルの張本人を
討つために買われるという筋書きだ

剣の使い方、流儀が違い
藩のスキャンダルも
収賄、押収、収奪、など枚挙に暇がないが
似たような筋書きな短編が
ずらりと並んでいるのに
読み手を厭きさせない。

中でも剣を使うときの
描写の正確さが
臨場感満点で
自分がその場にいるような感覚になる
悪人を切り、役目を果たした主人公たちが
静かに元の生活に戻っていくところも
不思議な爽やかさがある


2006年01月13日(金) 蝉しぐれ

藤沢周平作
文春文庫

ドラマや映画で話題になっていたけれど
さわりの部分しか見ていなかったので
文庫で読んでみた。

引き込まれるような、情景描写
かなりの緊張感を呼ぶ物語なのに
沈着冷静な少年がいる。
父を謀反の疑いで切腹させられた
文四郎は心の奥に悲しみも怒りも
しまいこんで、ひたすら剣の修行に励む
幼馴染のおふくが藩主の側室になっても
その苦しみをあらわさない。

剣の試合でも
お福を救出する場面でも
仇の家に物言いに出向く場面でも
その冷静さは不動のものだ
この静けさはどこから来るのだろうか

ひきつけるものはこの静けさだろうか


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