やんの読書日記
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2005年09月21日(水) |
チョコレート工場の秘密 |
ロアールド・ダール作 クェンティン・ブレイク絵 柳瀬尚紀訳 評論社
映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作 以前に読んだ旧訳はかなりキテレツで 子どもは大喜びしそうだけれど 大丈夫かなという表現もあったが すごく面白かった。
今回の新訳は挿絵がおとなしい 工場に招待される子どももおとなしい 旧訳ではひっちゃかめっちゃかなことをして ひどい目にあった子どもたちだが 無事に家に戻されているように感じるのだけれど 内容は同じはず。
英語版も読んで見たが こちらは普通の表現で、 こどもがは特にはちゃめちゃなことを言ったり やったりしていないように感じた。 それは英語力のなさかも知れない。
日本語の訳が違うと内容も変ってしまうのかと驚いた。 映画はラストシーンが変えてあるから、 しんみりしてしまうようだが やっぱり原作どおり、 チャーリーは工場主になってほしいな、と思う。
貧乏でも良識を持った子ども、チャーリーの存在が お金で解決しようとするわがままな人々の気持ちを変えてほしいと思う
ミシェル・ペイヴァー作 さくまゆみこ訳 酒井駒子画 評論社
クロニクル千古の闇1 紀元前4000年の森 それは掟と禁忌と、呪術に縛られた 古代の人々の住む森
シリーズ第一弾は悪霊退治のために 苦難の旅をする少年の物語 父親を殺したのが悪霊となった大熊で その悪霊を作り出したものが 父と何かかかわりがある
それを突き止めるのが少年トラク オオカミの乳を吸って育った少年は オオカミの子を伴って その言葉にしたがって動く。
大自然の声を聞き、身をまかせるという能力 その能力を持っているがために 危ない目にあったり、反対に救われたりする そういう不思議さが現代でも通用しているのは 人が弱いからだと思う。 この本を読むと 何かにすがって生きていくより仕方がない 自分を感じるかもしれない。
上橋菜穂子作 偕成社
父の皇帝にうとまれて、 命まで狙われたチャグムは 生まれながらに賢い子どもであったために 父の殺意と、周りの期待に押しはさまれて 心に闇を持っていた。 遠い南の大国タルシュに侵略されてしまうかもしれない そう言う危機の時に、チャグムは罠と知りながら 隣国のサンガル国に赴くのだが サンガル国はすでに侵略されていて チャグムは捕虜になってしまう。
大国のすさまじい強さと 侵略された国の哀れを見たチャグムは ひとりで思い切った行動を起こす。 「精霊の守人」でバルサに助けられる 幼い子どもであったチャグムが 賢く強く、立派になって行く物語の始まりだ。
チャグムのような思慮深く、節度ある、人民を思う政治家なら 世の中は救われると思うのに、金と武力で意のままに人を操る 大国がそれを阻むと言うのは、今の時代に即しても 納得のできない理不尽だ。 チャグムの思いは世に通じるのだろうか。 通じてほしい。
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