やんの読書日記
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2005年07月20日(水) 幼な子の歌 タゴール詩集

神戸朋子訳
日本アジア文学協会

インドの詩人タゴール
初めて聞いたのは「家なき鳥」を読んだとき
主人公の少女が持参金目当てに結婚させられ
夫はまもなく死に、せめてもの記念にと舅にもらったのが
タゴールの詩集。少女が姑にこきつかわれ、捨てられる
という悲惨な事件があった時でも、手放さなかった詩集。

どんな内容なのか知るまでに2年以上もかかってしまった
タゴールはインドの詩聖と呼ばれる児童文学者
自身は恵まれた環境に育ってはいるが、母親が
幼いときに死んでいて、母の愛を知らない。
自分の娘も幼いときに失い、妻もなくしたタゴールの
心の叫びが著わされている。

母を想う気持ち
娘を失った悲しみを乗り越えて
幼い子へのいつくしみ、親子の幸せが
ちからづよく描かれていて圧倒される。
子どもにこんなにも愛を注ぐことができる
親が今にも昔にもいるのだろうか
母を素直にいつくしむことのできる子が
いるのだろうか。
どこかに忘れてきてしまった、本来の愛の形を
感じることができた。
率直で前向きなそのまなざしが
「家なき鳥の少女」をとらえたのだと思った。

「家なき鳥」という題の詩はどこにあるのだろう・・・




2005年07月12日(火) 帰郷 中

ロザムンド・ピルチャー作
中村妙子訳
日向房

18歳になり寄宿学校を優等で卒業したジュディス
第二次世界大戦がまさに始まろうとするころ
恋をし、大人になっていく自分を知り
前をむいて行こうとするとき
自分にはないもの、自分が帰る場所を見つけようと
思い立つジュディス。

両親と妹は相変わらずシンガポールで駐在員生活
卒業を期に、家族に会いに行こうと計画していたのを
急遽変更して軍務につくために勉強を始める。
そのきっかけを作ったのが初恋の人とのわかれだった。

ナンチェロー屋敷の穏やかで上品な生活がこの巻にも
描かれているが、家族同然に扱ってもらっていながら
やはり自分の家では無いことをさとり、ひとり立ちして行こうと
決意するジュディスがけなげだ。
下巻では厳しい展開が待っているのだろうか。


2005年07月11日(月) 帰郷 上

ロザムンド・ピルチャー作
中村妙子訳
日向房



冬至まで、スコットランドの早春、双子座の星のもとに
などの作者ピルチャーの自伝的小説。
彼女の作品に共通しているのはお金持ちの女性
偶然の出会い、新しい展開
古きよき時代の家族の愛をていねいに
きれいに描いている。

主人公ジュディスは14歳で
イギリスのコーンワルの寄宿学校に転校し
家族は父の勤務先のスリランカへ。
休暇には伯母の家や友人のラヴデーのお屋敷に滞在することになったが
持ち前の上品な明るさ、気立てのよさで誰からも好かれる
娘へと育っていく。
第二次大戦前夜と言う暗い時期
伯母の財産を相続してお
金持ちのお嬢様的な生活に入ったのにもかかわらず
自分の立場をわきまえて、
地に足をつけた賢い生き方をするジュディスが
かわいらしく、さわやかで、たのもしい。
これからどんな大人の女性になって行くのだろうか。
コーンワルの海の風や、花の香りまで薫ってくるような
その表現に癒されながら、中、下も読みたい。


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