やんの読書日記
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アンデルセン作 バーナデット・ワッツ絵 角野栄子訳 小学館
なんだろうと思って手に取ると それは白鳥の王子の題名で子どもの頃何度も読んだ アンデルセンの童話。 挿絵は別の人だったけれど 内容はほとんど同じ 継母に魔法をかけられて白鳥にされた11人の王子が 末娘のエリサの努力と辛抱で元の姿に戻るお話しだ
エリサの努力が並大抵ではなく、イラクサという とげのある草から繊維をとって上着を編み それを白鳥の王子に着せれば魔法が解ける そのあいだひとこともしゃべってはいけない 王様にきさきにと言われたときのエリサのとまどい 司教のいじわる 墓地の悪魔のおぞましさ そういう記憶が見事によみがえってきた 魔女裁判にかけられてまさに火あぶりにされる と言う間際にエリサは上着を仕上げて 王子は元の姿に戻りハッピーエンド
兄思いのけなげなエリサ 苦痛に耐えるエリサの姿がきれいだ
ローズマリ・サトクリフ作 ウォルター・ホッジズ絵 原書房
サトクリフの処女作 サイン入り オリジナル以外の作品で面白かったのが少ないので あまり期待していなかったが 本書を読んでロビンフッドの 少年、弓の名手、義賊 というイメージがかなり変ったような気がする。
義賊には変りはないが無法者といわれるいわれはなく 正規の王リチャードに忠誠を尽くし 信義と友情に篤い、その上に冒険を好む ヒーローだった。 知らなかったエピソードもたくさんあり これって、どこかの有名なアニメとは全然違う というところがたくさんあった。 もちろん本書の方が誠実で美しい。 ところどころ出てくるリュートの調べみたいに。 そして不滅だと思っていたロビンに 最期の時が訪れたときは悲しかった。 サトクリフ独特の情景描写 エメラルドのような輝き 息ひとつするあいだなど・・・が 所々にあわられていて 後にローマンブリテンを書き カーネギー賞を獲得するのだなと思われる そういう息吹きみたいなものがあった
ホッジズの挿絵は線画もいいし 陰影のある風景画もいい
2004年08月18日(水) |
魔女の血をひく娘 1.2 |
セリア・リーズ作 亀井よし子訳 理論社
メアリー・ニューベリーという清教徒の娘 魔女の疑いをかけられて故郷のイギリスから アメリカへ逃れたのに、入植地でも同じ疑いをかけられて 逃亡し、先住民の間での暮らしを選び、幸せを知ることなく 逃亡と闘いの一生を終える。
メアリーがアメリカへ出発したときからつけていた日記 普通の娘と違った行動をしていたことがもとで 魔女だと疑われ始めた彼女は キルトの中身にその日記を縫いこんで隠し、 彼女を信頼して一緒に暮らしていたマーサに託して姿を消す。
そのキルトが300年以上もたって発見され 中の日記が日の目を見る。 上巻はこの日記によって物語が進んでいるけれど 下巻はフィクションでつなげている。 先住民の間で暮らし、呪術によって人の病を治すメディスン・ウーマン として再登場するメアリーは結局魔女として生き 魔女として死んで、子孫にその技を伝えていく。 彼女の子孫が現代のメディスン・ウーマンとして登場し メアリーの所有物を伝承しているのは、魔法じみているが ネイティブアメリカンならそのくらいのことは普通なのかもしれないと 思って読んだ。
メアリー・ペーパーと呼ばれるキルトの中の日記は本物らしいが メアリーと彼女に関係した人々をひもといていくという作業は 本当なのだろうか。かなり真実にせまった物語だった。
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