弱Sonファイブ

■2002年12月18日(水) 渡る世間は鬼ばかりだ、と思った。


渡る世間は

鬼ばかりだ、と思った。

もうどうでもいいや、

と思い打電。


日本語たどたどしいのは
たいへんやな。
よかったら
今度一から教えたるわ、
ほな。



そしたら返事が返ってきた。


犬の世話がおわったら
出勤しようと思うんだけど
来る?



...

今さら何言ってんだよ、

ったくよう。


ワン!
犬のジョニーによろしくっ!



おいらは急いで

スーツに着替えた。

思いっきり休日だったが、

スーツに着替えた。

んで、

そのまま電車に乗り込み

ほどなくして銀座に到着。

さっそうと歩く。

歩く。

歩く。







...






迷ってしまった...


おかしいなあ。

うーん。

とりあえずグルグル歩く。

歩く。

歩く。







...






ますます迷ってしまった...


おいら

すんげえさっそうと

歩いているつもりなんだけど、

歩きすぎて背中から汗が出てきた。

それにもかかわらず

歩く。

歩く。







...






ちがうお店に
来てしまった...



たまらず

ダウンタウンマニアのねえちゃんに

グルグル歩きながら

お店どこだっけメール。




...




返事こない。



...


しょうがないので

失礼を承知で

お客さんをお見送りするために

ずらっと並んでいる

目の前のおねえちゃんたちに

「××ってお店どこですか?」

って聞いた。

そしたらおねえちゃんたち、

いっせいにおいらの方を

ザッて向き直り、

「いらっしゃいませ〜」

って言って、

次の瞬間、大爆笑された。




...


中に案内されながら

ボーイさんに

「お客様、今日はおひとりで?」

と聞かれたので

「今日はね」

と答えてしまった。

あー、

これじゃあなんかおいら

友達いてないの

強調してるみたいやんか

と思って恥ずかしくなった。

「ご指名は?」

「ええと、○○さんで」

「かしこまりました」








...








...






...






カラーン。





...






迷子になること45分。

その後、

先輩のボトルをパクって

水割りを飲むことしばらく。











待てど暮らせど

彼女はこない。



■2002年12月17日(火) 月曜日、加護さんは明らかに頭がイカれていた。


月曜日、

加護さんは明らかに

頭がイカれていた。

イカれすぎて、

頭がイカれていることにすら

気づかなくて、

とにかく頭から

煙が出そうだった。

...

リコちゃんが

彼氏と別れたばかりと

いうことだったので、

気晴らしに

メシでも食いに行くべってことで、

平日の昼の渋谷に行った。

平日でも変わらず人は多く、

活気がすごい。

こころなしか

リコちゃんの表情も

明るい。

リコちゃんは

マンガ喫茶に

ほとんど行ったことがない

とのことなので、

おいらの行きつけのマンガ喫茶に

連れて行ってあげた。

おいらはそこで

今密かにハマっている

愛しのアイリーン

というマンガを読んだ。

これをあなたに薦める気は

まったくない。

マニアックなので、

読まない方がいい。

リコちゃんは

なにやらいろいろと

やっていたようだ。

人には人の

やりたいことがあるんだろう。

そのあとは

リコちゃん行きつけの

美容院のおねえちゃんに

デジカメを貸してるとのことなので、

代官山の美容院に行った。

途中、通路の天井一面に

イルミネーションが敷き詰めてあって、

これを見ながらヤクったら

そうとうぶっ飛べそうだと思った。

美容院のおねえちゃんは

おしゃれな人だった。

リコちゃんがおいらのことを

近所で知り合った人と言っていたのが

なんか笑えた。

そっからアウトレットのお店に行って

アイスベールとコレクションテーブルと

クラッカーを吟味していたそのとき、


あれ、何でおいら
こんなトコで
机とか見てるんやろう?



と思った。

家に帰ってから

リコちゃんと

野生化した凶暴生物に

ついてのテレビを見て

こわっ!とか言ってるとき、

思考の積層から

意識が雪崩をおこしている

感覚にとらわれて、

ちょっとクラクラしていた。

リコちゃんを見送った後

もう限界、

このままでは

明日にひびくと思い、

ダウンタウンマニアの

キャバクラねえちゃんに打電。


なんかいろいろあって
頭から煙がでそうや、
話聞いてほしいねん。
今日って出勤してる?



返事。


コペンハーゲン帰りで
今日本語があやふやなんだけど...
出勤?
そうねえ、
しているような
していないのやら...









...







加護は死んだ。



■2002年12月16日(月) というわけで、忘年会は無事終わりました。


というわけで、

忘年会は無事

終わりました。

参加してくれた皆さん

本当に

ありがとうございました。

皆さんは

楽しんでいただけたでしょうか?

加護はすんごく

楽しかったです。

でも楽しい時間を過ごしたあとは

とてもさみしい気分に

おちいります。

そんなときあなたなら

どうしますか?

加護さんは

途方に暮れてしまって

どうしたらいいのか

わかりませんでした。

しょうがないので

大人の人の意見を聞こうと思い、

美人妻ヒトミさんに

メールでお伺いをたてました。

するとお返事。


そうよねぇ、
はしゃいだあとは必ず
切ない気持ちになるなる。
でも私は結構切り替え早いかも
次の楽しみ作っちゃうから♪
さっ、加護さんも次はっ!?










...




さすが大人の女だよねー、

なるほどって

素直に思えるもんねー。

おいら次いっちゃうもんねー。











実はねー












年末年始で...












日本縦断しようかと
思ってるんだよねぇ〜














何でかって言うとさー












日本横断だったら
日帰りで終わっちゃうと
思うんだよねー











で、ヒトミさんに

縦断途中でヒトミさんとこに

寄っていい?

って聞くと、

旅行と雑用で忙しいみたい

って即答されちったよハハハ。









うーん...








さて、どういう経路で

日本縦断しようかねぇ...



■2002年12月15日(日) 大富豪というトランプゲームがある。


大富豪という

トランプゲームがある。

このゲームでは

2が最強のカード。

3が最弱のカード。

...

あなたは2を持っている。

あなたは2を信じている。

あなたは2を

強く信じている。

あなたは2を

強く信じているからこそ

3のカードを切ってしまう。

でも一方で

革命というル−ルが

存在する。

同じ数字のカードが4枚

場にそろうと

あなたが最弱と信じる

3が最強。

そして

あなたが最強と信じる

2が最弱。

...

通常は

そうそう起こりえないこと。

だが、

それは起こりうる。

起こりうる条件は

同じ種類のカードが4枚

場に出されること。

そのルールは

必ず適用される。

2のカードを持つ

あなたにも。

...

では革命を防ぐ方法は?

私の持つ、

同じ種類のカードが4枚

場に出されるまでに

ゲームを終わればいい。

しかし

あなたは2を

「絶対的な」ものだと

強く信じているからこそ

ゲームは終わらない。

...

じゃあこうしましょうか?

私の持つ同じ種類のカードが

何枚、私の手のひらにあるのか

教えてあげましょう。

...

知りたいですか?

知りたいと思い始めたあなたは

無様に負ける。

だからと言って

知らないままのあなたは

愕然と負ける。











...









わけねーだろバーカ。



■2002年12月14日(土) 付けまつげ。


こんばんわ。

みんなのアイドル加護ちゃんです♪

エヘヘ今日は付けまつげ家に忘れて一日ブル−やわ。

ホンマにまつげ無いと人間顔変わるねんで。

あーあ。

しかも忘れ物いっぱいやし。

東京行きのバスは乗り遅れるしついて無いわ。

でもピロシキに大好きな絵本あげられたしヨカッタナリ♪



■2002年12月13日(金) 今日は。


とりあえず今日は

会議が1件もないので、

こちゃこちゃした書類を

やっつけてしまおうと

デスクに座り、

ワードを開いたそのとき、

なんかすごい勢いで

チンコがおっ立ってしまった。

チンコは

出前一丁のトランクスを突き抜け、

あの、

ドンキホーテで買った

出前一丁のトランクスを突き抜け、

もののみごとに

テント状態であった。

こんな怒髪天をつくような状態で

仕事していると

なんか気持ち的に

ふにゃふにゃしてしまうので、

左手をポケットに突っ込んで

おっ立ったチンコをなだめつつ

右手一本でキーボードを

打っていた。

おれは隻腕の企業戦士だ。

もう一方の

左手担当の加護さんは

まるで猛獣使いのような気分だった。

しかし悲しいかな、

ロデオに乗りこなすような

加護さんの軽やかな指さばきに

反抗するかのように

暴れ馬はますます

魔の雄たけびを上げる。

暴れ馬...

フェラーリ...

リ...

フェラ...







...







暴れ馬はますます

回転数を上げる。

ああ、

うちの猛烈マシンは

たったの1気筒なんですけど

なんでこんなに

トルクフルなんでしょうか!

とかなんとか言ってるうちに

書類が完成。

完成したらプリントアウト。

プリントアウトしたら

部署の端っこにある

プリンターに書類を取りに行く。

原則ではあるのだが

なんせ今拙者は


抜刀中の身。


居合切りどころか

袈裟切りをもいとわない状態である。

だったらなんで

プリントアウトしたんだろう?

習慣というものは恐ろしい。

仕方ないので

得物を闇にひそませたまま

プリントアウトしたことに

気がつかないフリをしていた。

すると近くにいる

事務のねえちゃんがやってきて、

「プリントしたらすぐ取りに行く、
 何回言ったらわかるのかなぁ?」

ってぶつぶつ言いながら

書類をおいらのデスクに置いた。



...



ふん、命拾いしたな。

世が世なら貴様はあの世行きだ。




おいらはポケットの中で

軽く得物を握り締めた。







ああ、

まだ固いままだ...







キーンコーンカーンコーン。



...



お昼がやってきた。

このままずっと

デスクに座っているわけにも行かない。

周りからぜったい

不審に思われてしまう。

どうする、

アイフル?

とそのとき

前にへんな応募シールをくれた

事業部長が帰社してきた。

まずい、目を合わせてはいけない。

反射的にそう思った。

にもかかわらず

事業部長は容赦なく

おいらの間合いに入り、

肩をたたいた。

「よっ、この前の懸賞のやつ
 いつ結果発表なの?」

「さあ、発表は発送をもって
 お知らせされると思いますけど...」

「じゃあ、当たったら一割ね」

「一割ってどう払うんですか?」

「じゃあステーキでも
 おごってもらおうかね」

「ハハ...」

「加護くんご飯はこれからかね?」

「いや、もう食べました」

「あ...そうかね、
 ステーキでもおごってもらおうと
 思ったのにねアハハ」

「ハハハ...」

おかしい。

今日のラッキー星座は


みずがめ座な
ハズなのに...



おいらは具合が悪いフリをして

そのまま机でグデーとなっていた。

もちろん左手を

ポケットに入れたままだ。

しかしちっとも眠くなくて

考え事ばかりしてしまう。

ダメだ、

このままいても

事態は何も変わらない。

ジャンプだ、

このピンチを

みごと飛翔せねばなるまい。









よし、

トイレで一発ヌこう。









そう思い、席を立ったその瞬間、

「加護さん、
 ○○プロジェクトの改善資料
 できあがりましたよ!」

「おう、やっとできたんですか、
 すばらしい!で、担当者は何と?」

「今から打ち合わせで
 加護さんも含めて3人で検討したいと」

「今から?」

「担当者が2時から
 連チャンで会議なんですよ。
 ですんで今を逃すと7時以降です」

「わかりました、すぐ行きますから
 改善資料のコピー取っといてください」

...

トイレでボケーとしながら

ふと思った。













今日は13日の金曜日。



■2002年12月12日(木) 今日は九九をやります。


今日は九九をやります。





1のだんを読んでください。





いんいちがいち。





いんにがに。





いんさんがさん。





いんしがし。





いんもうがボー。





いんろくがろく。





いんしちがしち。





いんはちがはち。





いんくがく。










...











いんもうがボー。









ボー。









ボーボー。









ボボボーボ・ボーボボ。



■2002年12月11日(水) 今日はいつもより早起きした。


今日はいつもより

早起きした。

矢井田瞳の

「アンダンテ」を聞きながら

支度に取りかかる。

早起きをすると

テンションがいつもの

1.2倍くらい

上昇するような気がする。

電車に乗り込むと

目の前に男がいた。

つり革を持つために

大きく上に伸ばした左手には

カジュアルなタイプの

オメガの時計。

続いてloftに売ってるような

行儀のいいシルバーチェーンが

巻かれてある。

ツラは

高校のころ野球部にいて

ショートを守っており、

力いっぱい練習して

インターハイを目指し、

初戦敗退で

実力世界の厳しさを知ったという感じ。

その男の鼻から

透明な鼻水がたれてきた。

男は急いで

ポケットティッシュを出す。

それとまったく同じタイミングで

横の女が

カバンからポケットティッシュを

出しているのを見た。

男は鼻をかむために

ティッシュを持ちながら

黒い皮の手袋を

片手ずつ脱ごうとする。

女はすぐさま

ポケットティッシュをカバンにしまい、

黒い皮の手袋を

片方ずつ男の手から引ったくり、

ひとつにまとめて

カバンにしまう。

男は鼻をかみ終わった後

笑いながら女の目を見つめて

彼女の頭を少しなでる。

そのとき彼女の目は

すごく黒目がちであることに気づいた。

彼女の目は

男の視線とつながると

特に黒目がちになる。

なぜならば

それは彼女がその度に

満面の笑みを浮かべるからだ。

そのとき彼女のアゴは

少しシャクレぎみであることに気づいた。

男の鼻から

また鼻水がたれてきた。

男はまたティッシュを出してきて

鼻をかんだ。

鼻をかむ呼吸に合わせて

彼女も鼻をかむマネをしていた。

電車が少し揺れる区間に入った。

それまでポールを握っていた

彼女の右腕は

男の左腰へと移動した。

ふたりの距離が縮まった。

それは振動のせいなのか

彼女の小柄な体のせいなのかは

わからない。

あの間合いは

キスの間合いだ。

女の笑顔が

男の顔に移った。

いや、

笑顔が女から男へと

移ったという表現は

おかしいのかもしれない。

幸せがふたりの間を

駆けめぐったというべきか。

ふたりはその間合いで

おしゃべりをした。

その音量は

決して、

決して、

大きいものではなかった。

しかし唇の動きで

お互いの間を

水が流れるように

言葉がさらさらと

流れているのはまちがいない。

その水の流れは

ふたりを間のみに

流れるものであって、

ふたりに当たっているフォーカスを

全体にずらすと

その流れは

小さな小さなものであるが、

それは確かに流れていた。






...





そしてふたりは

途中の駅で降りていった。

しばらくしておいらは

ポケットからティッシュを取り出し

鼻をかんでみた。















青っパナがズルズル出た。



■2002年12月10日(火) 朝起きたら昨日の雪はところどころに残っていた。


朝起きたら

昨日の雪は

ところどころに

残っていた。






思ったより

はかなくなかったね。



■2002年12月09日(月) 朝起きるとベランダから見える景色は一面の銀世界だった。


朝起きると

ベランダから見える景色は

一面の銀世界だった。

しんしんと降り続いている。

今日の東京は

平年より24日早い初雪。

テレビをつけると

「北の国から」の純の人が

内田有紀さんと結婚したらしく

記者会見が行われていた。

雪の降る中で挙式したいという

有紀さんの希望で

挙式は

北海道の富良野で行われたそうだ。

雪というのは

願いが吸い込まれていくようで、

ふわふわと美しい。

...

そしてはかない。

こんな中で挙式した

内田有紀さんは

どのような願いを

この雪に託したのだろう。

こんなはかない雪に。

朝の電車に乗り込むと

あまりの気温差に

目の前の

ちょびヒゲのおっさんのメガネが

一駅経っても

曇ったままだった。

ちょびヒゲのおっさんのメガネだけが

ニ駅経っても

曇ったままだった。

かなりあぶなかった。

ちょびヒゲのおっさんのメガネだけに

ちっちゃいワイパーとか付いてて

小刻みに

カシャーンカシャーンとか

動いたりしてたら

おいらはまちがいなく

やられてしまっていただろう。

そうそう、

純は純でも

おいらの親友のジュンは

前日の夜

六本木のクラブのねえちゃんに

深夜呼び出されて

ノコノコとお店に行き、

結局

家に帰れなかったそうだ。

これは

純は純でも

不純の純である一例。




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