なべて世はこともなし
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2007年10月30日(火) ダブリンでウィークリーマンション暮らし【ダブリン家がある2007】(その6)

その(1)その(2)その(3)その(4)その(5)からの続きです。


前略、ひでかす@日本に逃亡中様。





この惨状をどうすんだよ。おいっ。


今回の引越しを急いだ最大の理由は、ひでかすがホリデーに行く(日本に一時帰国)から…というか行ったからということはすでに書きました。。で、まったくの偶然ながらこともあろうにひでかすが日本へ脱出した同じ日に私は私でドイツへ遁走。そう、引越しをするなり私たちは家の掃除という仕事を放棄して1週間ほど家を空けてしまったわけ。ひでかすに至っては半月以上家を空けているわけ。


ひでかすは午後3時過ぎのヒコーキで某所経由で日本へ。私は午後5時過ぎのヒコーキでドイツへ。わずか2時間ほどの違いでしたが、ここに二人の生きかたの違いが露骨に現出。すなわち、ひでかすはこの日会社をちゃんと休んでのんびりと空港へ。私は午後2時半まで仕事。


ビンボーな私はアパートから空港までタクシーを使う金などないので(ケチとも言う)バスを乗り継いで空港へ。アパートの前を出るバスは来ない。乗り換えのバスは目の前で逃す等々散々な目に遭いつつもなんとか空港に到着し、そのままヒコーキに乗りました。おかげで、わずか1.7ユーロで空港まで着いたもののせわしないことこの上ない。


何の話だっけ。そう。この家の惨状。ひでかすはなんのこたーない、温泉に入ってぼーっとしているうちに私が家を片付けるという実においしい状況になるわけで。なんか世の理不尽を感じる今日この頃。


ともあれ。新居。今回、都落ち(=市中心部から半径5キロ圏から10キロ圏への移動。東京で言えば、王子から八王子に引っ越した感じ)から家落ち(ついに家ではなくアパート暮らし)となったというわけで、私に言わせりゃかなり本気のダウングレードだと思ったのですが実際に暮らしてみると…うん、いろいろ違います。


よい点悪い点挙げればキリがないのですが、最大の違いは、雰囲気でしょうか。良しにつけ悪しきにつけ、このアパートにはアイルランドらしさがないのです。例えば、このアパートの写真を誰かに見せて、「これ、シドニーにあるアパート」と言っても誰も疑いそうもないです。


その理由はなんだろうと考えてみました。何せ、もう引越しは片手の指じゃすまないくらいダブリンで経験している私。他はともかく、ダブリンの家については充分語る資格があると思う。まず、今までの家に必ずあった安っぽい緑色のカーペットがない。そして、これは友人が指摘してくれて初めて気がついたのですが、そう、暖炉がない


火遊びが好きなアイルランド人(←突っ込みどころ満載の一文ですがあまり深い意味はありません)、どの家に行ってもかならず暖炉があった。友人のアパートにはニセの暖炉まであった。このたとえがあたっているかどうか自信がないけど、日本の冬のお茶の間にコタツが欠かせないように、アイルランドには暖炉が欠かせないのではないだろうか。


生活習慣が変わるにつれ暖炉の必要性そのものは下がってきても、「そこに暖炉がある」という存在感は重要で、たとえ暖炉「もどき」でもそれを必要としていたのではないかと思うのだ。暖炉とその周りの出っ張りは、間違いなく部屋の雰囲気を作るのに一役買っていた。


なのに、この数年前に建てられた私たちの住むアパートはその暖炉もどきすら排除して、無味乾燥な白い壁にしてしまったのだ。これを進化と見るか懐古主義の戯言と見るかは意見の分かれるところ。


で、最初の日にこの味気なさをひでかすは見事に言い表した。


ひでかす:「ああ、このアパート、ツカサのウィークリーマンションみたいだ」


ここでツカサが出てきたのは、昔見た東京ローカルのコマーシャルが頭にこびりついていただけに過ぎないんだけど、とにもかくにも確かに、こりゃウィークリーマンションだかホテル暮らしと変わらんわ。(ダブリンの北の果ての半島)Howthから市の中心部、さらには(ダブリンの南の果ての山)Wicklow Mountainsまで一望できるマンションの6階だか7階の無味乾燥な部屋、エレベーターから長い廊下をたどってたどり着く部屋と言うのは、ビンボーな私にとっては家じゃない。ハレの日に一晩だけ泊まるホテルだわ。一言で言って落ち着かない。


そして、これはきっと「進化」と言っていいんだろうけど、まず、インターネット用のケーブルが各部屋に張り巡らされて、アクセスポイントは数えた限りで6箇所もある。今までの家が、ケーブルだらけになっていたのに対しえらくすっきりした。この点は素朴に感謝。


もうひとつ進化を挙げると、これ。



(前の家)





(今の家)



そう。お湯のタンク。これが倍どころの騒ぎじゃない、えらく大きくなった。例えば、前の家、二人がシャワーを浴びるともうタンクは空。前の前の家は、朝のラッシュ時にシャワーを浴びると3人目はもれなく水シャワーにてご案内…という状況(もっともシャワーからえんえん出てこないもと同居人Fabianのせいだという有力な説もあるが)だったのに、今度のタンクはそれらの家のタンクよりはるかにでかい。しかも、どっかの都市電力会社の宣伝みたいになってきたけど、お得な深夜電力でお湯を沸かすから安くつく…らしい。


今朝、試しにバスタブにお湯をためて風呂に入ってみた。前の家だったら途中でお湯がなくなるところだが、なんとまあ、お湯はまだまだ大量に残っていた。


さらに、気密性が高いのかどうかは知らんが、家が暖房なしでもしのげるくらい暖かい。今までの家は窓に近づくと空気の流れ(隙間風とも言う)を感じていたのでその違いは大きい。もっとも、そういう家のほうがガス中毒になりそうもないが。


以下、いいとこ悪いところはいろいろあるが、とりあえず続く。





(蛇足)


こちら、日本ではベタ記事程度の扱いのようですが、SASがついにQ400の使用を中止するようです。さあ、日本の航空会社がどう出ますやら。





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