読書日記

2008年11月03日(月) 崖の国物語1

9で完結した異世界ファンタジー・シリーズ。九巻目を手にとってあれこれ見ているうちに読みたくなった。児童文学だが、面白かった。九冊目まで読み続けられそうな美質を持っている。



2008年11月02日(日) 闇を斬る 新崎一海

佐伯泰英シリーズ作品中、最も気になっていたのは『古着屋』ものだった。作品の格も主人公の格も他を圧していたのに一番先に終わってしまって残念だった。その後生まれた新たな主人公たちの物語の中で続編が期待通りに進んでいないのが一つある。『古着屋』同様、破天荒だからだろうか。もちろんのんべな小柄な爺さま侍もいい。しかし、何をしでかすかわからない大柄な無法な奴の新作が今一番待ち遠しい。磐音の物語が早すぎる。磐音はもう少し後からでもいい。
いつのまにか時代小説が文庫の大波となって世間の人々の頭を飛び越えんばかりに押し寄せている。知らないうちに好評シリーズものがたくさん生み出されていた。佐伯泰英ばかり読んでいては駄目と言われているような感じ、雰囲気。
そこでいくつかのシリーズを読んで、今は『闇を斬る』シリーズの第一弾「直心影流龍尾の舞い」を読んでいる。磐音と同流派の鷹森真九郎の物語。文化六年(1809年)から始まる。真九郎二十七歳の時という冒頭の紹介。百四十頁まで読んだ。ここまでで何度も真九郎は刃を交えている。イメージでは四、五回襲撃者と戦っている。次は同藩の者との遺恨がらみの戦いに赴くらしい。この辺で真九郎は「疑念」を抱いたと作者は書く。これ以前にも「疑念」という言葉は出ている。これは全く別の物語が裏に潜んでいるという作者の指さしででもあるのだろうか。殺陣場面が多い割りには淡々とした印象がついて離れないのは物語に何か仕掛けがあるからだろうか。あれこれと考えさせられる時代小説である。佐伯泰英の時代小説第一作とされる『密命』は単純で読みやすかった。そして「感動」があった。さらにこうも言える。佐伯泰英のどの時代小説にも必ず一カ所は「感動」を味わう場面がある、と。『闇を斬る』はどうだろうか、という楽しみがある。


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