スイッチ。
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誕生日、約束通り彼は職場の近くまで迎えに来てくれた。
昔彼の友達が働いていた居酒屋さんに連れて行ってくれた。
そこは和食の職人さんが作っているお店で、
洋の中に和のテイストがあってとっても美味しかった。
彼も職業柄、食べることが大好きなので
気になるメニューがあれば注文して分解して
(お店の人には「珍しい食べ方しますね。」って言われてた。笑)
自分のお店のメニューにいかせないか研究してた。
そういう貪欲なところも嫌いじゃない。
少なくのも多少の野心がなければお店なんて経営できないと思う。
育ちはおぼっちゃまなんやけど芯はしっかりして頼れる人だ。
「プレゼント何買っていいのかわからんやったけん、御馳走させてね。^^」
そうしてまた御馳走になった。
ごちそうさまでした。
マンションの近くまで送ってもらって、車を降りようとしたら
彼が先に車から降りた。
「恥ずかしいから早く持って帰って。笑」
抱えきれないくらい大きな花束をくれた。
あたしの好きな赤い花ばっかでビックリした。
男の人から花束なんて初めてもらった。
まさかはプレゼントとか貰えるなんて思ってなかったから
とにかく嬉しかった。
胸がきゅーぅってなった。
メッセージカードも付いていて。
電話もメールも苦手。
手紙はもっと苦手って言ってたのに。
お世辞にもきれいとは言えない字だったけど
彼らしいあったかいメッセージで思わず笑った。
これがあたしの26回目のバースデー。
昨日、彼と彼の地元で初めて飲んだ。
いつも車やから二人で飲むことは今までなかった。
地元で一番お客さんが入っているというお店に行った。
たまに行くみたいで、お店の人とも彼は仲良しだった。
昔ながらの建物でレトロな雰囲気で
料理もお酒も美味しくてお腹いっぱいになった。
また御馳走になってしまった‥。
いつも御馳走になってばかりでは申し訳ないと思って、
会う前に時間のあるときには、
彼が好きだっていうプリンを買っていきます。
お店を毎日手伝ってくれている彼のお母さんの分も。(・u・)
それだけでも彼は喜んでくれるから嬉しい。
お店から出ると、
「もう遅いし、お店で寝ていき?朝送るから。もうちゅーはせんけん。笑」
そう言って手をつながれた。
お酒飲んでたからかなあ。
顔が熱くなった。
彼のお店に着いて。
彼のお店で飲みたかったなあって言うと
「じゃあ、ちょっと飲み直そうか。^^」
あたしが好きなホット梅酒を作ってくれた。
BGMもかけてくれて。
やっぱりお店の雰囲気がいい。
落ち着く。
あたし、このお店が本当に好きだなあ。
お酒を飲みながらお互いの今までの恋愛とか色々話した。
んで、んで、結局キスされた‥。
「せんって約束したんにしてしまった‥。みずきちゃんが好きやから。おれ、好きでもない人にちゅーしたりせんけんね。」
キスする理由。
疑ったり勘ぐったりする必要なんてなかった。
あたしは好きかもしれんけど、
彼よりも今はお店が一番好きって答えた。(ばきゅ
「2番目でいいよ。」
運命なんて、あるんかなあ。
もうすぐ誕生日。
職場の近くまで迎えに来てくれるらしい。
どこに食べに行くんだろう。