2007年10月28日(日)



【空】


家の隣の
歩道橋がなくなったんだ
平屋の家で
二階が無かったあの頃
空に近づける場所は
そこしかなかった


数日間の夜間工事で
それはあっという間に
取り除かれてしまった
寂しくて仕方なかったよ
僕の唯一の空への階段が
無くなってしまったから


でも不思議なんだ


無くなったら
空が一層広く
そして近く見える事に気付いた


歩道橋が無い分、空が、近いなんて


なんでか涙が出そうになった
あんまり空が青くて
あんまり空が広くて


そこに在った物が消えて
そうして消えた景色が
当たり前に成っていく


変化を知らず知らずのうちに
受け止めて飲み込んで
そうして絶望しながらも
僕は生きていく
生きる事を、毎日選んで行く


後悔なんてしない日は無い
何時だって後悔ばかりだ
だけどそれでも
やっぱり


あの空に、手を伸ばして
あの青に、手を伸ばして


希望だけは、小さく胸に灯して


僕は何時だって空に


手を伸ばす





2007年10月01日(月)



【迷う】


この場を立ち去ることは
なんて簡単なのだろう


制服を着ることも無く
接客をすることも無く
あの電車に毎日乗ることも無く


世界を閉じようとすれば
たった一言でそれは叶うのだ
新しい世界に行くのも
ここに留まるのも
或いは、またあの暗闇に戻るのも
自由なのだ


なのに何故
この胸は迷っているのだろうか
手に入れたのは
お金と束縛される時間と
ほんのちょっとだけの
社会に交われた安心感


そう、安心出来たこの半年
それなりに頑張って来たこの半年
培ったものがそれなりにあると思いたい


(僕は強くなれた?)


けれど、今、ここから立ち去れば
とても安易にまた暗闇に手招きされる自分が
居る気がして怖いのだ
また、あそこに戻ってしまう自分が
怖いのだ


ああ この迷いはきっと僕の弱さの証






 


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