ナナとワタシ
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元気のない声を出してみちゃったりして、うまいことナナの同情を買い、ゆうべもまんまと長電話することに成功した、実にこすっからい人間じょりぃですこんばんは。
その長電話の中で。 久しぶりに「じょりぃのずっと好きな人」の話が出ましてね。 って、これってナナのことなんですけど。 ナナには「中学の頃からずっと好きな人がいる」としか話していなくて、たまーに思い出したように、話題に出てくる「じょりぃのずっと好きな人」。
「だからさー、架空の人じゃないとしたら、ホントは誰なんだよ(笑)」とナナ。 「言えない」 言えません。 「(冷笑)やっぱり架空なんじゃん。妄想なんでしょ? まあいいじゃん、妄想だって。楽しいじゃん。あたしは好きだよ妄想」 「妄想の部分は確かに大きいけど、人物は架空ではないのだよ」 「じゃ誰よ?」
言っちまうぞこのやろう。 ホントにホントに気づいてないんですか?
「ね、だってさ。会いたいなとか、話がしたいなとか、思わないわけ?その彼と」 「もちろん思うよ」 彼って誰よ彼って。 「会ってるんだ?」 「う・・・・・まあ、たまには」 ていうかほら、今も電話してるんですが。おまへだよおまへ。 「前もそう言ってたけどさ、アナタ毎日そんなに忙しくて、いつ会ってるわけ?」 「う・・・・」 「会えないじゃん」 「そ、そうだね」 「相手の彼はさ、土日がお休みじゃない人なの?」
彼、彼って、萎えるなあ。
「ぐうぐう」 会話放棄・寝たふりじょりぃ。 「寝るなよ」 「ぐう」 「なんでそんなにナイショにしたいわけ? あたし、誰にも話さないけど?」 「そんなこと疑っていないよ」 「じゃ誰?」 「・・・・・・・・・・」 「中学の時の同級生って言ってたよね?」 「・・・・・・・・・・」 「あたしの知ってる人だって言ってたよね?」 「・・・・・・・・・・」
しつこいなあ。
「その彼はさ、じょりぃが自分のこと好きだって知ってるの?気づいてるの?」
もう、彼という言葉が出てくるたびに、心のシャッターががらがらと音を立てて閉まっていくじょりぃ。 キミの頭の中では「恋愛=異性愛」という、イッツアスモールワールド的な観念しかないんですか? ワタシがこんなにあからさまに、キミになついているというのに?
「さあね。 気づいていると思っていたんだけど、思いのほか鈍いみたいで、気づいてくれていないのかもね」(吐き捨てるように)
おまえのことだ。このニブチンめ!
「気づかないもんかねえ」 「ホントだよね。すごいラブビームを目から放っているはずなんだけどね。よっぽど鈍いんだろうね。呆れるね」<やけくそ 「きゃははははははは。ラブビームとか言ったってさ、会えずにいて、何十キロも離れたところから『ラブビーーーム!』とかやられてたら、わっかんないと思うよー。きゃはははははこえーーーーー」 「なんで何十キロも離れてるとか、勝手に決め付けるんだよ!」
頭に来ました。
「キミさあ、誰かから恋されてるって、敏感に察知できるほう?」 唐突に質問側にまわるじょりぃ。 「は? なに急に」 「この人、あたしのこと好きなんだって、ちゃんと相手から言われなくてもわかるんですか?」
話の流れ的に考えて、かなり危険な質問を放つじょりぃ。 とはいえ、この鈍感無神経女には、どうせわかるまい。 わかっててワタシに意地悪な質問しているのだとしたら、ワタシだって反撃させていただきますとも。
「どうだろうな・・・わかるんじゃないかな・・・・」<弱気なナナ 「もじもじと、そっとやさしさのみで愛情を表現しているような人が身近にいたとしてさ(ワタシはそんなにやさしくありません)、好きなんて言えないような子でさ、そんな愛情表現でも気づけてきたのかい?今まで」 「そんな経験はないなあ」 「あーあ。 そういう人の方が素敵な人間かもしれないのに」 「・・・だからあたしの好きになる人とか付き合う人って、口のうまいお調子者が多かったのかな」 「そうだろうきっと。鈍い。鈍いな。人生損したな」 「損してたのか」
そうだよばーか。
「じゃ、じょりぃはさ、そういうのに敏感なんですか? この人自分のこと好きなんだ、って、もじもじやさしくされてるだけでわかるんだー。ふうん」 「・・・・・・・わからないですたぶん」
ヘタに「わかる」なんて言うと「思い込んでただけで、相手はなんとも思ってなかったかもよ」とか、意地の悪いツッコミを受けてしまいますからね。
「でもさ、そういう人って、誰にでもやさしそうじゃん。あたしにだけやさしいんだ、なんて思えないよなかなか」とナナ。 「そうかもね」 「で、じゃあ、じょりぃは、もじもじとラブビームを放っているわけですか?」 「ぐうぐう」 「なんで言わないのー? どんな男の子なの? 家庭があるのに、よくじょりぃと会ったりしてくれるね」 「・・・・・・・・」 「家庭があるくせに、向こうから『会おうよ』とか『遊びに行こうよ』とか誘ってくれるわけ?」 「誘われないよ」 いや、誘われてますけどアナタには。 「じゃ、じょりぃから『会ってよ』ってお願いするわけですか?」 「・・・・・・・・・・・」
困った。 ていうか、ここ最近のナナとワタシの会話から、てっきりナナはもうワタシの気持ちに気づいていると思い込んでいたものですから、こんなに実はわかっていなかったのかと思い、激しく落胆するじょりぃ。 最後の心のシャッターがぴしゃんと閉まりまして、代わりに「やけくその扉」が開きました。がらがらがらがら。
「あのさ」とワタシ。 「ん?」 「実はウソついているので、なかなか上手に質問に答えられません」 「ウソついてるんだ?(笑)」 「うん。すべて妄想でした。架空です。スミマセン」 「なんだそれ」 「ていうか、ワタシの愛している人は、きょんです。きょんということにしておきます」
めんどくさいですもう。 冗談ぽく、かなりの本音を入れ込みながら、この話はもう終了の方向で。
「そうなの?」 「てことで」 「でもそうだよねー。 愛がなければそんなに何十年も一緒に生活できないよね」<あんまり本気にしてない風 「何十年も一緒にいてないからまだ」 「でもさ・・・何年一緒に暮らしてるの?」 「もう12〜3年ですか」 「長いねー。 これからも一緒にいるんでしょ?」 「たぶんね」 「愛だよねー」 <からかい口調です念のため
「キミ、ほんとニブいなー(怒)」の、ナナにとってはおそらく意味不明なワタシのひとことで、この会話は締めとさせていただきました。
なーんだ。
ワタシの気持ちは全然伝わっていなかったか、伝わっていたとしても「男の子好きになりなよ」と諭されているらしいですねどうもワタシ。
しゅん。
この日はさらに、ヘテロ的内容の濃い会話が続きます。
ワタシが以前つきあっていた彼との会話の再現の中で、彼がとワタシのことを「おまえ」と二人称で呼んだ部分があったのですが。 ナナがそこに反応。
「おまえ、とか言われて、ムカつかない?」と。 「ムカつくかもね」 「あたし、おまえって言われるの、すごいキライ」 「パパだって言うじゃん」 「パパにも言わないでって言ってあるんだけど、妹にはおまえって言ってるみたいで、油断した時におまえ呼ばわりが出るみたいね」 「文句言うの?いちいち」 「めんどくさいから言わない」 「ふうん」 「あとあたし、呼び捨てにされるのもキライ」 「何ならいいの?」 「ちゃん付けしてほしい」 なんだか照れてますが。け。ナニがちゃん付けだよ。 「ふうん。 パパは呼び捨てじゃん(冷笑)」 「うん。ホントはイヤなんだよね」 「ふうん。 気を付けようっと」
と、いまだにナナの名前が呼べずに「ママ」だの「キミ」だの「アナタ」だの言ってるくせに、なんとなく言ってみたじょりぃ。 これからもしナナの名を呼ぶような時は「ちゃん付け」にしなくちゃね☆なーんて具合に。
そうしたら
「あ、じょりぃはいいんだよ。女だから、別にどうだって」
女でスミマセンでしたねえ。(怒)
また、違う会話で。
「あたしね、『髪切った?』とか『あ、今日いつもと化粧が違うね』とか『かわいいね』とか言われるのもキライ」
え! そうなんですか! まずい。 これはワタシ、やりがちかも。
と慌てたワタシはまた
「ふうん。気をつけなきゃ」
と言いましたら。
「だってじょりぃは女じゃん。だから関係ないよ(笑)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あーそーですか。 そーやって女を仲間はずれにしてればいーじゃないですか。
やっぱワタシのことなんてまったく眼中になかったみたいですね。 筋金入りのヘテロですねアナタ。
せっかくの長電話でしたが。
ひたすらブルーなじょりぃ。
ナナがワタシのこと好きにならないのは仕方ないにしても、 せめて、ワタシの気持ちは伝わっていて、受け止めてくれていると信じていたかったのですが。
現在撃沈中です。 どなたか美しくてやさしいお姉様が引き上げてくださらないかしら、と、海の底で真珠の涙を流しております。
ナナなんてキライだ。 鈍感女。もしくは意地悪女め。 けっ。
ホントにホントに、わかってないの? おまえバカだなだとしたら。
| 2004年03月27日(土) |
過保護にされるワタシ |
今日も元気なじょりぃですこんばんは。 みなさまも元気に明るく、日々を生きていらっしゃいますでしょうか。
てな具合に毎日ハッピーで健康なじょりぃなんですが。 なんですか、ナナに言わせると「不健康だし、楽しそうじゃない」らしくてですね。 ナナの前で、ことさらつまらなそうな顔をしているワタシもいけないわけなんですが。 なんでわざわざそんなことになってしまうのかは、ワタシにもさっぱりわからないわけなんですが。
だいたい、ナナ、心配しすぎ。
こう書くと、ナナがさもさもワタシのことを特別扱いしてくれているかのようですが、それは違ったりします。 ナナは、相手がワタシであろうとなかろうと、自分の中の「心配スイッチ」がカチっと入ってしまうと、頭の中がそればっかりになってしまいがちなんです。
「キミは心配しすぎるから、体調悪くても落ち込んでても、キミにそのことを伝えるつもりはないから」と、ホントはやさしいはずの内容を、冷たく言い放ってしまった、おとといの電話でのワタシ。 「ふうん。そうなんだ。 まあ、今までも打ち明けられてたわけじゃないし。じょりぃの好きでいいんじゃないの」と、やっぱり冷たく返すナナ。
が、やはりなんとはなしに気に掛けてくれていたらしく。
そんなわけで、昨日の夜「生きてるの?」なんて物騒なメールが届いたのは、昨日の日記でのご報告どおり。
ワタシも昨日はちょっとばかり体調が悪くて心細いような気持ちになっていたものですから。 やはりナナからのメールは嬉しくてですね。「生きてるよ(笑)」なんて返事しまして。
次に来たメールが「今日は楽しい一日だった?」と。
・・・・ナナ、きょん化してます。 きょんも「今日は楽しいことあった?」と、毎日訊いてくれます。「別に。普通」と毎日返されているというのに。
あんまり。別に。普通。 そっちは?
とりあえず、正直に返してみました。 で、ナナから
うん。普通だ。 でも明日は楽しくなるつもりなんだけど。
・・・・これはあれですよね。 どうも「あんたも前向きになれば?」と言われてるような気がするんですが、気のせいでしょうか。
じゃあワタシもそう心がけよう。 明日はなんかいいことでもあるんですか。
いや、なんもないんだけど今日より暖かくなりそうなので、それだけでもまぁ楽しいだろうなって。 何かあったの?
やはり「何事も楽しく考えて暮らせば?」と説教されているような気分のワタシ。気のせいかしら。 ワタシ、前向きだし、楽しく暮らしているんだけどな。
で、「何もないよ」と返事をし、ドラマの話とかくだらないことをやりとりしたあとに、なんだかすごくナナの声が聞きたくなってしまいまして。
前は変に理屈っぽく、電話したい理由を伝えたりしていたワタシなんですが、そういうのはイヤ、とちょっと前にナナが釘を刺してくれたので、ここはストレートに伝えてみました。
声ききたい。電話したい。5分でいいんだけど。 もう寝ちゃうか。
ストレートでございますね。インディアンみたいです。 「声、ききたい」「電話、したい」「インディアン、嘘つかない」。同じですね。
返信を待っていたら、電話が鳴りました。
「何かあったの?」 「なんにもないよ」 「元気ないじゃん」 「そうかな?」 「ちゃんと寝てるの?」 「うん」<嘘 「・・・・・・・・」<疑ってるナナ 「じゃあもう切る」<超マイペースなワタシ
「明日って忙しいの?」とナナ。 「うん? 普通に忙しいよ」 「じゃあいいや」 「なに?」 「うちに来ないかなと思って」 「昼間は無理だ」 「夜ならいいの?」 「うん。時間つくるよ」 「じゃあ、気が向いたら電話するかも」 「気が向かないかもしれないんだね?」 「うん(笑)。だから、あてにしないで待ってて」 「わかった。聞かなかったことにする」 「でも、電話するかも」 「わかった。期待しない」 「呼び出すかもしれないし」 「それも期待しないでおく」 「呼べば来る?」 「呼ばれない気がするから」 「うん。そんな感じで待ってて(笑)」
で、電話を切りまして。
絶対電話もメールも、ましてや呼び出しなんて来るはずありません。 いつものパターンですから。
そして翌日。って、今日なんですけど。 せっせと仕事。 電話? もちろん来ませんよ。メールすら。 はははのはっと大笑い。
そして、8時頃。 きょんと「今日の夕飯どうしようか」なんて話しておりましたら、ナナから電話が。 ホントに来ました。めずらしい。
「ね、今日これから、こっちのほう来る用事ある?」と。
そんな都合のいい偶然あるわけないじゃないですか。
「ないです」 「じゃ、いいや」 「なにそれ(笑)。 ほかの用事がないとダメなの?」 「そういうわけじゃないけど(笑)。 あのね、けんちん、作り過ぎちゃったの。ついでがあるなら、取りに寄ればって思ってさ」 「けんちん食べたい」 「取りに来れる? うちで食べてもいいけど、きょんさんも夕飯まだなんでしょ?」 「ちょっと待って」
きょんに事情を説明。 きょんは夕飯、手抜きができるので、難なく許可が出ました。
「取りに行く。すぐ行っていいの?」 「あー・・・別にいいけど。でもそれだと、あたしいないけど、それでもいい?」 「ヤだ」 「(笑) じゃ、9時頃来て」
というわけで、呼び出しまでいただきました。わあい。
・・・・・ていうか、よっぽどワタシのこと、勝手に心配しているのでしょうね。 元気なのに、ワタシ。
けんちん汁もらって帰るだけのはずだったのに、がっちり子供たちにつかまりました。 特に末子ちゃんが、じょりぃを独り占めしたくてそりゃあもう大騒ぎです。 「きょんさんがお腹すかせて待ってるんだから、じょりぃちゃんを離してあげて」と、ナナが再三注意しても、効き目ゼロ。 しばらく遊び倒した後に、パパが気をつかって末子ちゃんをお風呂に入れてくれ、さて帰ろうと思ったら、袖が重い。
おもちゃ(じょりぃ)の順番を待っていた次女ちゃんが袖を引っ張っておりました。 「もうちょっと遊んで行けば」と。
遊びました。 ごめんね、きょん。 せんべいでも食べて、飢えをしのいでいてください。 ワタシも空きっ腹で肉体労働中です。 ああ、でも楽しい。幸せ。 キミたちはどうしてそんなに小憎らしくてかわいいんだい?
げ。もうこんな時間。 家に帰って、食事ができるのは11時を回ってしまいそうです。 というわけで、帰ることに。
ナナが車まで送ってくれまして。 軽くおしゃべりして、「じゃあね」と車に乗り込みましたら。
「あのね」と、ナナ。 「ん?」 「あたし、車直したんだよ。ドアのところ」と。
なんだ急に?
「今頃直したんだ?(笑)」 確か、ぶつけてへこましたの、半年くらい前のはず。
せっかく話しかけてもらったので、車から降りてナナの車を見に行くじょりぃ。
「ホントだ。よかったじゃん」 「うん。 車検だったの。そしたら、ちょうどまったく同じ車が廃車になるところだったからって、格安でドアを差し替えてくれてさ」 「得したね」 「うん(笑)」 「あれ? もう車検?」 「うん」 「前回の車検、確か一緒に行ったよね?」
つきあわされたんですよワタシ。 ワタシの車とナナの車、2台で車検に向かい、一日車検だから、車預けている間にお花見にでも行こうよ、なんてことで、末子ちゃんと3人で遠出したのです。 すごく幸せな一日だったのを覚えております。
「うん、そう。 一緒に梅を見に行ったよね」 「え? じゃあ、あれから2年経ったのか」 「そうだね」 「早いね。 去年のことかと思ってたよ、それ」 「うん。 早いね」
しみじみ。
なんだか、もうすごく長い時間ナナと一緒に過ごしているような気もするし、まだ再会してから1年くらいしか経ってないような気もするしで、複雑な感慨に浸るじょりぃ。 ナナとぼんやりと車を眺めた後に「帰るね」と。
「ちゃんと早寝してね」 「うん」
ナナがまだワタシを帰したくないように感じたのは、ワタシの気のせいに決まっています。ちぇ。
「子供につかまりました! 遅くなってスミマセン」と、ペコペコしながら家に入りまして。 「そんなことだろうと思った」と、それでも怒らずに待っていてくれたきょん。 「おかず一応作っておいたよ。あと、じょりぃの明日のお昼用に、カレー作ったから」
まあ。 なんてやさしいんでしょう。
ナナがちょっと凝ったサラダも持たせてくれたので、ナナの作ってくれたものときょんが作ってくれたものが食卓に並んで、なんだか複雑な気持ちのじょりぃ。 変にゴージャスです。 いえ、おかずの内容でなくて、なんていうんですか、こう・・・・・まあとにかく、胸焼けしそうでございます。<バチ当たり
どちらもおいしゅうございました。
ナナのおかげで、幸せな日になりました。 きょんのおかげで、明日のお昼が楽しみです。 明日もワタシは幸せでございましょう。
だからナナ、おかしな心配をあまりしないでください。 過剰な心配はいらないから、とっととワタシのことを好きに(以下自粛
| 2004年03月25日(木) |
パパとナナとワタシとバター犬 |
以前にもちょいと申しあげましたが、ワタシは「おみやげ」を買うのがキライです。 というわけで、先日のナナとの温泉旅行のときも、買ったおみやげはなっちゃんへのおまんじゅうだけという怠け者ぶり。 前回は子供たちと一緒に留守番してくれたパパにお酒なんかを買ったりしたんですが、めんどくさくてそれも今回はパス。
しかし、パパの協力なくしては、ナナとワタシが一緒にお出かけ、なんて無理なわけですから、感謝の気持ちはいっぱいなじょりぃだったりします。 そんな折、ワタシときょんが参加している、ソムリエ・タマリン主催の「ワイン勉強会」がちょうどあったもんですから「今回出してくれるワインの中で、一番安いの、ワタシの分も買っておいてください」と頼んで、パパに貢ぐことに。 買い物すら行かず、タマリン任せな、どこまでも怠け者じょりぃ。
でもきっとパパは「ソムリエが勉強会に選んだワインなんですよ☆」と渡せば、きっとよろこんでくれるはず。
なーんてわけで、子供たちが寝た夜中の12時過ぎに、ナナ宅へうかがうことに。 「じょりぃが来る頃にまだパパ帰ってるかわからないけど。あたし、お風呂に入ってしまいたいから、なるべくゆっくり車を走らせてきてね」とナナから指示を受け、12時15分頃、ナナ宅へ到着。
あら。パパの車が。
ち。 もう帰ってきやがったか。 ナナとふたりの時間がなくなってしまった。
なんて思いませんよやだなあ。 今日はパパに用があって来たんですから。 パパが無事に帰ってきてくれてよかった☆ <偽善者
お風呂上がりのナナが玄関を開けてくれまして。
すっぴんかわいー。 髪濡れてるー。 萌えー。
やっぱ化粧顔より好きだ。 先日の温泉旅行の二日目の朝、「久しぶりに念入りに化粧してしまいました」というナナもキレイでしたが(しかし、結局ワタシに泣かされて崩れてしまったのだろうか)、すっぴんだと中学生の頃の顔に近づいて、顔を見ているだけで幸せな気持ちに。
「よう、じょりぃちゃん。わざわざありがとな」
と迎えてくれる、パパの髪も濡れてるやんけ。
おまえら一緒に風呂入ったな。
別になんとも思いませんとも。 夫婦仲の良いことは、良いことです。 と、「良いこと」がだぶった陳腐な文章になっているのは、決して動揺しているからぢゃないんです。ははははは。
しゅん。
しおれるじょりぃ。 テンションが一気に下がります。
しかもナナ。
ワタシとパパをふたりっきりにしたまま、自分はキッチンで一服。 ていうか二服以上の時間が経過しておりますが。 なんで一緒にいてくれないのよ。 なんて感じで、パパとおしゃべりしまして。
「じょりぃちゃん、忙しいんだって?」 「たまたまちょっと。 パパだって忙しいんでしょ?」 「うん。オレもあんまり寝れてないんだよなー。最近はさー、やっと仕事が終わって帰ってくると、大先生(ナナのほうを指さして)の長い話に付き合わされてさー。ゆうべも寝たの、3時過ぎだぜ?」 「そうなんですか」 「しゃべんないと気が済まないんだろうから、一生懸命起きて聞いてやるんだけどさ・・・・って、(ちらっとキッチンのナナの様子をうかがって)あ、よかった。聞こえてねえや(笑)」
ふうん。 パパにしゃべってるんだー。 へーーーー。
まあ、話の内容は察しがついてますしね。 きっと今問題になっているパパの実家の話だから、パパに話さないわけにいきませんからね。 ワタシが寝る間もないほど忙しいのをナナも知ってましたし。 ワタシに話したくても、遠慮していたのかもしれませんよ。 ははははははははははははははは(乾)
と、自分を鼓舞してみたものの、ずーーーーーーーーーーん。
しばらくして、ナナがコーヒー持ってきてくれまして、それからは3人でおしゃべり。
が、いつものごとく。 パパと3人になると、ナナは口数が減ります。 そして必ずパパが 「ナナ、もしかして、機嫌悪い?」と、ナナの様子をうかがいます。 考えてみればパパも気の毒です。ワタシも気の毒ですが。 どうして無口になるのだねキミは。
「別に? 悪くないけど」 「そうかぁ? なんか、無口じゃねえ?」とパパ。 「たまたまでしょ。普通だよ」
横でもぞもぞしている、知恵足らずのようなじょりぃ。 しかたなく、一心不乱にテレビを見ます。 画面では、「焼肉のハラミについて」の雑学みたいのをやってまして。 なんですか? ハラミを食べると、精力増進して、イ○ポになりづらくなったり回復したりするそうです。
なんて言われても困ります。 イヤだなあ、こんな話題。 スルーにしてね、みんな。
と思っていたら。
「ハラミって、そうなんだー」とパパ。
ああ。どうしよう。 この夫婦の性生活の話とか出てきてしまったら。 出ませんように出ませんように。
「ハラミ食うと、イン○にならないんだー、へー」と、さらに。
パパの性格では、自分がイ○ポだったら、絶対にこの話題は振らないはず。 まさか、精力自慢に?! か、勘弁してくださいよう。
という気持ちとは裏腹に。
「ハラミをもりもり食べて、四人目に挑戦してしまう、というのはどうでしょう」
って、ワタシったら、何を提案しているのでしょう。 議長! 今の、脚下です! 脚下!
「四人目ははもうねえよなあ(笑)。きっとまた女だろうしな」とパパ。 「もう勘弁してよ」とナナ。 「ははははははははは」と、まったくおもしろくないのに笑うじょりぃ。
って、ワタシがいちばんハズしちゃってますかそうですか。
「これのせいで明日とか、イン○になりたくないオヤジどもが、目を血走らせながら必死でハラミを食べていそうで、すごくイヤだなあたし」とナナ。 「品切れ続出とかな(笑)」 「でもそれって、ある意味何かの自己申告に近いものがありますよね」
ははははは、と盛り上がって終了。 ありがとう、ナナ。
夫婦生活の話は出ないで済みました。 ほっ。
なんて思ってまたおしゃべりしながらテレビを見ていたら。
マーガリンか何かをぺろぺろと食べている犬の映像が出てきたように思うんですが。(実はよく覚えていない)
それを見たワタシは思わず
「あら。 バター犬」
と呟いてしまいました。
ああ! また自分からエロネタを! ワタシってもしかしていやらしいんでしょうか。 清純派だと本気で思っていたのに。
パパも笑いながら「バター犬だな」と。
ナナは 「何? バター犬て?」
知らないんですかアナタ。
「バター犬ていうのはさー・・」 ああ! パパ、やめて。 露骨な話は困りますよ? ということで
「バター舐める犬のことだよ」
と、話に割って入って、ものすごく大雑把な正しい解答を伝えるじょりぃ。
「ふうん。 バターが大好きな犬がいるんだー」
と、まるで見当違いな解釈をするナナ。
「犬はみんなバターが好きなんだよ」とワタシ。 「???」とナナ。 「バターを舐めるための犬なんだよ」とパパ。 「? ふうん。 犬種?」 「違うから」<パパとワタシ、同時に。
「まあ、いいや」と、どうでもよくなったらしいナナに、ホッとしたあと。
はっ。
と、心配になったじょりぃは、ナナに「ねえねえ」と 「よそで、バター犬という言葉を使っちゃいけないよ?」なんて、注意。 「え? そうなの?」とナナ。 「そうだよ。 おまえ、お母さん仲間とかに『バター犬て知ってます?』とか聞くなよなー」 「だってわかんないんだもん」 「とにかく犬種じゃないから。ていうかさ、いやらしい目的に使う犬なんだよ」とワタシ。 「え! そうなの?」 「ええと、 舐めてほしいところにバター塗るんだよ。 ということだよ」 「 ああ」
よかった。この程度でわかってくれて。ほっ。
と安堵していたら、パパ
「女の人がアソコにバター塗って、犬に舐めさせるんだよ」
きゃあ。 しかも、身振りつき。パパったら。好きね☆
「そうなんだー(笑)。 じゃあ、いやらしい犬なのだね」とナナ。 「いや、犬はいやらしくない。 飼い主がいやらしいんだよ」とワタシ。 「そうか」 「キミがもしかしたら『バター犬て飼ったことあります?』とか誰かに訊いてしまったらどうしようかと思いました」 「あははははははははそれは大変だよねあははははは」 「『うち、今度バター犬飼ってみようかなー』とかさ」 「あははははははははは」 「というわけなので、次女ちゃんあたりの耳には絶対入れないように」 「確かにー(笑)。 次女ちゃんならすごく嬉しそうに『次女んち、今度バター犬飼うかもー』とか友達に話してしまいそうだもんね」 「それ、冗談にならないぜ。子供に言うなよ」とパパ。 「言わないよー」とナナ。
ワタシが言っちゃったりして。 って、冗談ですよう冗談。
いやらしい話は困る困ると、ひとりで慌てながら、話を振っていたのはいつもワタシだった、という、大変心温まるお話でございました。
って、ワタシの振った話で興奮したナナ夫妻が、その晩お励みになってしまわれたらどうしよう、なんて帰りの車の中でいじけていたのは、誰にも内緒にしておきます。 あまりにもバカみたいなので。
「ナナワタ」ばかりの更新でなんだかカッコわりーなー自分、と思っているじょりぃですこんばんは。 仕事ばっかしていて、先週の温泉旅行のことしかネタがないんです。 さびしく思い出の中に生きるじょりぃを気の毒に思うかた、いらっしゃいましたら、一緒のふとんでしりとりでもしながら眠りませんか?
なんてどうでもいいことはさておきですね。
掲示板でパンツの色の話が出て、思い出しました。
確か、温泉に行く前もちょろっと話題になっておりましたよね。 「ナナのパンツの色」。
本人の知らないところで好き勝手に話題にされている上に、とうとう「パンツ何色かなあ」まで言われているナナ。 名誉毀損とかで訴えられたら、責任を取って嫁に貰わなければならないかもしれません。 と、責任の取り方すらも自分に都合良く働くワタシの頭。
で。パンツの色。 そんな、どうでもいい上に馬鹿馬鹿しくて、しかも品性が疑われるセクハラ的な質問、このあたくしがナナにできるはずがありません。
と思っていたのですが。
ワタシ、訊いたんですよ! ちゃんと! 今まで忘れてましたけど!
訊いたのは夜。 ということで、心はすっかりやさぐれていた頃合いでございます。 なので、ギラギラすることなく、意外とすんなり訊けました。
ナナは荷物の整理かなんかしていて、ワタシは飲んだもの片づけたり、というようなことを、お互い無言で行っていたときに。
あ。 そういえば。 下着の色を確認する宿題が出ていたんだっけ。(誰も出していません) と思い出したじょりぃ。
「・・・・・・・・・」ナナ、無言で荷物整理中。 「・・・・・・・・・」じょりぃ、訊こうかどうしようか、悩み中。
なんて感じで1〜2分もじもじしたあとに。
「あのさ」とワタシ。 「なに?」 「今日ってパンツ、何色?」 「は?」
すんなりと言うより、唐突すぎたかもしれません。
「なに急に(笑)」 ナナの問いも当然でございます。 「いえ。 何色はいてるのかなと思って。なんとなく」 「黒ですけど」
黒ですってよ奥さん。
「ふうん(無表情) (にやにやにやにや) くすくすくすくすくすくす」
ことさら何でもない風に答えた後に、「当たってたよ!おい!」という得意なキモチと、掲示板でのみなさまとのやりとりなんかを思い出してなんともおっかしくなっちゃいまして、最初はにやにやでガマンしていたんですが、結局笑いが抑えられなくなったワタシは、気味悪く笑ってしまいました。
「なんなの一体」
そりゃ確かに、そーとー気持ち悪かったと思います。
「ヘンだよね」とワタシ。 「すごくね」とナナ。
ぐうの音も出ません。 でも、いやらしいキモチはなく訊けたので、特に恥ずかしさも罪悪感もないワタシ。
で、
「ワタシも黒☆」とにっこりしてみたんですが
「ふうん」
まったく興味なかったみたいです。
みなさまの本日のパンツの色は、何色でございましょう。 と、どうでもいい上に馬鹿馬鹿しくて、しかも品性が疑われるセクハラ的な質問を世界に向けて放ってみました。 ちなみにワタシは今日も黒。 ていうか、あのときと同じパンツだわそういえば。 あのときからずっと、はきっぱなしでございました。というのはもちろんウソですから本気にしないでください。
さらにちなみに。
本日のきょんは「薄い緑色」だそうです。 今訊いて参りました。 やっぱり唐突に。
・・・・・・・・・。
このまま誰にも見放されずに、こんなワタシでも人生をまっとうできるといいなあ、と、ちょっと本気で思いました。
| 2004年03月20日(土) |
ナースのお仕事(風)・その後 |
前々回のナナワタ日記、「ナースのお仕事(風)」で、ナースの制服をナナにプレゼント、という話があったのですが。
ナナがどこまで本気だったのかはわかりませんが、けっこうノリ気でしたし、ワタシはもちろん本気でしたので、ナナの「ナースのお仕事風なのがいい☆」というリクエストにお答えすべく、さっそくネットで制服探し。
あら。
アダルト系はいらないんですよ? なんか、こんなのばっかりヒット。 なんですか、このテカる素材。 それに、スカート短かすぎです。 レッグラインにコンプレックスのあるナナが、こんなの着てくれるはずありません。
業務用なのよワタシが欲しいのは。
あ、あった。
・・・・こんな感じ? 丸襟は一緒だけど、前のボタンの雰囲気が違うなあ。 帯に短したすきに長し的制服をずらずらと見た後、単刀直入に「ナースのお仕事」ワードを使い、再検索。
どんぴしゃ!
興味のある方は、飛んでみてくださいませ。
んーと、 サイズ?
「Mでいいよ」と言っていたけど、号数だとよくわかんないなぁ。 ナナ、着やせするし。 ハダカ見たワケじゃないし。
悩んだ結果。 ナナに電話してみることに。 と、これって、温泉旅行の次の日の出来事です。(行動がやけに早いワタシ)
電話する前に逡巡。
「ノリで冗談言ってただけなのに、アンタ何言ってんの?」と軽蔑されてしまったらどうしよう。 だいいち、機嫌が悪かったら? 「絶対そんなもん買わないでよ?」と怒り出すかも。 そんなことになったら、二度とこんなチャンスは巡ってこないかもしれません。
電話の声の様子で決めよう。 「今、機嫌いい?」と、まずは確認してみて。悪かったら違う話をして、また後で仕切り直そう。
何を本気でこんなこと悩んでいるのでしょうワタシ。 月曜の午前中から。 仕事しろ仕事、という感じです。
とぅるるるるる とぅるるるるる とぅるるるるる かちゃ 「もしもし?」
すんごい明るいナナの声。機嫌よさそう。確認するまでもなさそう。
「じょりぃです」 「ああ。昨日はお疲れさまー」 「どうもどうも。 あのさ。 今、忙しい?」 「だいじょぶだけど?」 「ちょっと訊きたいことがあってさ」 「何?」 「7号9号11号13号15号17号なら、どれ?」 「は?」
唐突すぎました。
「ええと、服のサイズなんだけど」 「え? ああ。 あはははははははははははは」
笑ってます。 機嫌いいです。
「なに? マジで買うの?ナースの制服? あははははははははははは」 「マジで買いますが」 「バッカじゃないのー? あははははははは」
ナナ、大ウケ。
「だから、サイズ」 「えー? マジー?」 「マジ」 「ええ? ちょっと待ってよ」
ああ。 ストップがかかっちゃうんでしょうか。
「ちゃんとカワイイヤツなの?」
なんだ。そんなことですか。
「ナースのお仕事のやつだよ。まったく同じの」 「探したの?」 「うん」 「ホント、バカじゃないのーー?(笑)」 「バカなんです」
「でもさー、ちょっと待って」
ああ。 やっぱりストップ?
「ホントに買ってくれる気?」 「買いますけど」 「なんで?」 「ひとつくらい、あってもいいじゃないですか」
そういうモノなんでしょうか、ナースの制服って。 カシミヤのコートですとか、シンプルなダイヤのネックレスとかなら「ひとつくらい、あってもいいじゃないですか」もわかりますが、ナースの制服ってちっともそういうモノではない気がします。と、自分で自分にツッコミを入れてみました。
「じゃあ、もっとちゃんと考えさせて。どうせならいちばんカワイイの買って欲しいから」
そうですか。
「ナースのお仕事の、かわいいよ?」 「でもさ、今ドラマでやってる『白い巨塔』のも、念のためチェックしたいから」
ミーハーだなおまへ。
「いいよ。じゃあ、チェックしたら、ちゃんと教えてね」 「うんわかった。 じょりぃはどんなのが好きなの?」 「ナースのお仕事のはかわいいと思う」
丸襟が、まるでワタシとナナの中学時代の制服みたいで、そのへんも萌えポイントです。
「でも、開襟タイプの、正当派も好きなんだ」 胸元見えがちですし。 「ちょうちん袖になってるやつとか?」 「いや、袖はフツウで・・・」 「きゃはははははは」
やった。 ノリノリじゃないですか、ナナ。
というわけで。 ナナのナース姿を拝める日も近そうです。
最後に「じょりぃってホント、バカだねー」としみじみナナが呟きましたが、たぶんワタシのことがかわいくて仕方なかったんだと思います。 ていうか、そう思わせてください。 でないとホントに、ただのバカですからね、ワタシ。
-------ここまで書いて、しばらく放置しておいたのですが。
さらにその後。
「白い巨塔の、チェックした?」 と、数日後の電話でしつこく確認する粘着質じょりぃ。立派な変態ぶりです。
「ああ。したした。ダサかったから、あれじゃイヤ」 「そう。 じゃ、ナースのお仕事、買っちゃうね」 「じょりぃも買うんでしょ?」 「え!」 「一緒に着よ☆」 「やだよ。 バカみたいじゃん」 「どーゆー意味?(笑) バカみたいとか言いながらどうしてあたしには着せるのよ」 「だって、ふたりで着てどうするのさ」 「一緒に買い物に行くの」
買い物?
アナタホントにコスプレ好きなんですかもしかして。
「な、何を買うんですか?」 「ええとねえ、ナース服の上に、ピンクのカーディガンでも羽織ってさー、財布だけ持ってさー」
ワタシが? ピンクのカーディガンなんて持ってませんが。
「で?」 「で、昼休み頃を見計らって、病院の売店でパン買うの」
わけわかりません。
「それにどんな意味が?」 「『午前中、忙しかったー』とか、売店のおばちゃんとおしゃべりしたりして、看護婦さんごっこするのだよ」
つまんねーーーー。
ワタシがしたい「看護婦さんごっこ」は、もっといやらしいんだってば。
ふたりの「看護婦さんごっこ」のあいだに、ビミョーなというか、大きな誤差を感じたじょりぃであります。 ワタシったら、売店でパン買うために1万なんぼ払うのですね。
みなさまがバカにしたり罵ったりしてくださると、生きる張り合いになります。
ゆうべ、ナナから電話が。 夜中の1時半でやんす。 一瞬「こんな時間にかーけてくるのは あなーたーしかーいーないー そしてーこのー時間つかーまーるのも あたししかいないっ」と、嫌いなはずなのに聞き込んでいるaikoの歌が耳をよぎりました。 目が回るほど忙しかったのですが「仕事しながらでいい?」と許可をいただいておしゃべり。 パパの実家のことについての相談ごとだったのですが。
ひととおり話を聞いて、ワタシなりの考えを伝えたら「なるほど!そーゆー発想はなかったよ。その線でとりあえずいってみる。ありがと」ということで、その話はいったんは解決。 ナナもいろいろと大変でございます。
で、「まだこれから仕事するの?」とナナ。 「うん」 「寝てないじゃんずっと」 「うん」 「どれくらい寝てないの?」 「あー・・・ゆうべは5時かな。その前が徹夜。その前が4時。その前は旅先で寝られなくて、その前は旅行前で緊張して寝てない」 「えー。 だって、旅行前だって全然寝てなかったじゃん」 「なんかさ、ワタシって、すげータフ! 元気! ってことで」
こーゆーことを話すのも、なんだか「ワタシってがんばってるでしょ!」というアピールのようでイヤなんですが、実際あまりにも長きに渡って寝不足が続いているので、自分の頑健ぶりをちょいと自慢したくなったじょりぃであります。 ナナのパパが、「忙しい」「疲れた」「大変だ」ということをけっこういちいち口に出したりグチを言ったりする人なので、それに対抗しているフシもあるカッコつけのワタシ。
「休んでほしいなー」とナナ。 「休めませんねえ」 「病気になるよそのうち」 「病気になるくらいなら、ぽっくり逝ってほしいので、もう少しがんばってみます」 「ぽっくりぃ? んー・・まあ、ぽっくりは本人はいいけどさ、周りはイヤじゃない?」 「ワタシがよければ別にいいです」 「・・・・・まあ、あと10年はがんばって生きててよ」 「10年」 「うん」 「でも大丈夫だよ。意に反して長生きしちゃうから(笑)」 「そうか」
そのあと、軽い話題で話しまして。
「パパのおばあちゃんに温泉のこと話したらね、おばあちゃんたちはあそこまで、電車とバスで行ったんだよって」 「ああ」 「すげーとか思って。あたし、あの荷物持っていたら、あんな奥まで電車とバスでは行けないよー」 「大丈夫だよ。歩いて帰ろうとしたくらいなんだから」 「そーだった(笑)」
ワタシもくどいですね☆
そんなムダ話をしばらくした後に。
「10年経てばさー、末子も高校生だし、ゆっくりと何泊もして出掛けられると思うんだよね」とナナ。 「うん」 「何につけ、あたしの時間も取れるようになるだろうし、じょりぃとゆっくりいろいろできるようになるよ、きっと」 「うん」
なに急に。
「だから、10年待っててよ。 ちゃんと生きてて」
あら。 まだ心配してくれてたんですね。 だいじょーぶだって。 ちょっと仕事がたてこんだだけだって。
ナナの心配性に火をつけてしまったかしら。 ヤヴァイ。
「たぶんすごく長生きしちゃうから、心配ないって」とワタシ。 「そっか」
そんなこんなで、3時半頃まで話して電話を切りまして。 ワタシはお仕事。 終わったらもう朝。ちゅんちゅん。
うちは9時始まりですが、9時まで寝てしまいました。ぐうぐう。
起きてお風呂に入っていたら、何本か電話の音が。 憂鬱になるワタシ。 誰だよーこのやろう朝っぱらから、と、自分の寝坊を棚に上げて悪態をつきながら、風呂から出るなりナンバーディスプレイを確認してみましたら。
あら。 1本はナナでした。 朝っぱらから。
何かあったのかな? パパの実家の事かな? と不安になり、すぐに電話。 「どしたの?」 「ああ(笑)。ゴメン、寝てた?」 「お風呂入ってたんだ。 寝るのが遅くなっちゃったから」 「何時に寝たの?」 「6時」 「えー。 ・・・ゴメン」 「なぜ謝る」 「ていうかさ、あたしすごい心配になっちゃって」 「?」 「死んでたらどうしようと思って、寝てるかもと思いながらも電話してしまいました」 「ははははははは生きてますが」
死んでたらどうしようってあなた。 ワタシは元気ですよ? って言ったじゃんゆうべだって。 少々へろへろはしてますが。
「なんかだって、死んじゃいそうなんだもん」
ある意味失礼ですね。
「すごく元気だし、だから長生きするってば」 「んーーーーー」
あーあ。 ナナの心配性が起動してしまいました。
これは、「じょりぃのことラブだから☆」とかじゃないんですよ? 何かちょっと心配になると、時と場合によりすごく集中して心配してしまうんですよねえ。 最初にこれをやられたときは「もしかして、ワタシのこと好きなんじゃ・・!」と過剰な期待をしてしまったんですが、これはナナの中だけの問題なんでございます。 たまたまそのときの相手がワタシであった、というだけのことです。 いつもはもっぱら子供のこと、それも長女ちゃんのことが多いのですが、昨夜の電話でも「もう最近は長女のことも過剰に心配しなくなったし、悩みごとがうんと減ったの。だから太っちゃってさー」なんて言ってたので、安心してたのに、よりによってワタシが火をつけてしまいましたとさ。あーあ。
「今日、また心配になったら電話する」とナナ。 「うん」 「じゃあね」 「うん」
「ぽっくり」なんて発言、しなければよかった。 悪いことしてしまった。
電話の向こうで、ワタシが録ってあげて旅行の朝に渡したaikoが流れていたのが嬉しハズカシでございました。
携帯を見てみたら、携帯にも電話入れてたみたいです、ナナ。 おまけにメールも入ってました。 あらら。
昨夜はどうも。 ポックリいく前にお花見に行こう。 この前行きそびれた○○山でも。 でもじょりぃが死んじゃったらいやなんだけど。
死なないから。
でも、お花見に誘われたーわあい。
って、いつ行けるのかしらワタシ。
で、
「今日、また心配になったら電話する」なんて言われたもんだから、ワタシったら一日電話を待ってしまいました。
電話?
来やしませんよ。
メールすら来ませんでした。
けっ。
まあ、こんなもんです。 それでこそナナ。
| 2004年03月16日(火) |
ナースのお仕事(風) |
温泉旅行の帰りの車内から、ワーク○ンを見つけたナナが言いました。
「ワー○マンて、どんな人が買いに来るの?」 「いろんな人」<相変わらず答になっていないワタシ。 「ふうん。 看護士の制服も売ってるんだよね、確か」 「え! マジ?」
じょりぃは大のナース好きです。 あまりエロい目で鑑賞しても、勤労中のナース様に対して失礼です、と思いつつも、ナース大好き。
「うん。 あたし、買って、着てみちゃおうかな(笑)」 「え!」
ナナのナース姿。
妄想中。
「いいね!似合うよきっと!」 「・・・ちょっと(笑)。 もしかして、ナース好きなの?」 「大好き☆」
ワタシ、もしかして、カムしたも同然なんでしょうか。 まあいいや。
「ふうん。 他には? どんな制服モノが好きなわけ?」とナナ。
制服モノって。アダルトビデオじゃないんですから。
「制服モノか・・・・・なんだろな。 スチュワーデスはちょっと違うんだよ」 「ああ。わかる気がする」 「なんか、露出少ないじゃん」 「(笑)ナースは露出してるのかよ」 「いや、してないけど。スキがある」 「なんだそれ(笑)。 婦人警官は?」 「んー・・・・ビミョウかな」 「ウェイトレスとか」 「モノによっては良いですね」 「ガールスカウトのリーダーとか?(笑)」 「違うなあ・・・あ、シスターはちょっといいな!」 「シスターかぁ・・・・あたしはちょっと着る気になれないなぁ」
あの。 着ろなんて一言も言ってませんけど。
「あ、あった。 巫女。巫女の衣装スキ」とワタシ。 「ああ、巫女ね。わかるわかる。じょりぃの趣味が」
わかられてしまいました。あら。
「ね。じゃあさ。 ナースの服、プレゼントしたら着る?」
ああ、ワタシって・・・。好きですね。バカですね。
「なんでじょりぃがそんなもんあたしにプレゼントするの?(笑) ・・・でもそうだね、着るかも(笑)」
やったあああああああああああ! にこにこにこにこにこにこにこにこにこ。と、大興奮。
「パパも喜ぶだろうね」 おもしろくないけど、なんとなく言ってみるじょりぃ。
「パパ? 喜ばないと思うよ。『おまえ、何考えてるんだよ』って呆れると思う」 「何かのサービスかと思わないかな。欲情しないかな」 「警戒すると思う(笑)」
警戒ですか。
しかし考えてみたら、ワタシだって家に帰ったらきょんがいきなり「どお?」とナースの制服着てたり、ハダカにエプロンで迎えてくれたりしたら警戒するかもしれません。 とも思いましたが、やっぱり単純に喜ぶような気もします。
でもまあ、パパが欲情しないなら、安心して。
「買ってこよ☆」 決断は早いじょりぃ。 「何を?」 「ナースの制服」 「なんのために?」 「キミ、着るんでしょ?」 「きゃはははははははは。 だって、いつ着るの?」 「いいじゃん、いつ着たって。体温計もプレゼントしようぢゃないか。あと、あれも? ほら、頭につけるやつ」 「ナースキャップ?」 「そうそれ」 「じゃあ、聴診器とナースシューズもお願いします」
じょりぃ、さらに大興奮。 ちょ、聴診器でもしもししてくれるのかなはぁはぁ。(してくれません絶対) ホントに脳内では「性的興奮エントロピン」が大放出中でございます。 そんな物質、この世にありませんが。何ですか?エントロピンて。
「似合うよねーきっと」 ニヤニヤニヤ。 「似合うよ、あたし」 きっぱり。 「・・・なに、その自信」 「だってあたし、着てたことあるんだってば」
ああ、そういえば。 この人、看護士じゃないんですが、眼科、歯科、耳鼻科と、若い頃はなぜか病院勤務が多かったのでした。 制服着てたことあったって、そういえば言ってたな。
「でも、貰っても、どこにしまっておけばいいかわかんないしなー。 パパはともかく、子供たちに見つかっちゃったらどうしよう(笑)」 「ははははははは。 じゃあ、ウチに置いておこう」 「じょりぃんち? あたし、いつ着るの?」 「ウチで」にっこり。 「なんだそれ(笑)」 「まあまあ」
「きょんさんも似合いそう」とナナ。 「ああ。似合うかもね」 「きょんさんに着てもらえばいいじゃん」 「まあまあ」 「そうだ。なっちゃんもすごく似合いそう。なっちゃんに着てもらいなよ」 「まあまあ」
まあまあ。 大丈夫だよ心配しなくても。 ちゃんとキミにナイショでみんなに着せるから。<最低
というわけで、近日中にワタシ、ナースの制服を調達する所存であります。 ナナとコスプレです、コスプレ。 注射されたりお仕置きされたりする予定です。(※注 ナースはお仕置きなんてしません)
「かわいいヤツにしてね。 あ、あたし、『ナースのお仕事』で、観月ありさが着てたようなヤツがいい」 「かしこまりました。ネットで調べて買います。 ええと・・・色は?」 「んー・・・やっぱ白が『ぽい』よね。水色も人気あるらしいけど」 「ワタシは断然白ですね。ピンクもいいけど」 「じゃ、白で」
いえーい。 ていうか、鼻血出ちゃったらどうしようとマジで心配しているじょりぃなんですが。
それにしても、ナナといいりっちゃんといい、ワタシの周りの人って、ノリがいいですね☆ ていうか、みんな、アホですね☆ ていうか、ワタシがいちばんアホなんですけどもちろん。
そしてもちろん、ワタシもこっそり着てみますとも。 似合わなそうですが。 なんて言ってて、鏡に映った自分に萌えちゃったらどうしよう。<ありえません
昨日の続きでございます。
朝です。 朝。 ちゅんちゅん、ちちちち。 良い天気。
ワタシはほとんど一睡もしていないので、いつもの寝起きのグズグズ病にかからずに済みました。 おまけに、朝日の中、ナナの寝顔をシッカリ見るという、「早起きは三文の得」にもあやかれました。
彫り、深ーー。
ワタシはあっさり系の顔が好きなので、もともとはナナの顔立ちって好みのタイプではないんですよねえ。 「性格よりもルックス」を重視していつも恋するワタシとしては、いったい何がどうしてこのようにナナのことが好きなのかよくわからないなぁ、なんて思いながら、でも寝顔をずっと見られるのはナナって嫌がりそうだよなと思い、早々に視線を外しまして。
ナナは起きるとさっそくお風呂に。 そのあと朝食に出掛けたのですが、食事をする場所に向かいながら
「朝ごはんは、絶対ちゃんと食べてください。いつも朝、食べないのは知ってるけど、今日はちゃんと食べて」 と、ナナから厳重注意が。
わかりましたよお母さん。 お腹すいてるので食べますとも。
良い子のじょりぃはおかわりまでしました。げふ。
その後、時間ギリギリまでエッチしまくり・・・ということは前回の流れからみて絶対ありえないので冗談にもならないわけですが、まあ、時間ギリギリまでのたくたと過ごし、最後のチェックアウト客となりまして。
会計時。
「今日はあたしに払わせて」とナナ。 「なんでよ。イヤだよ」 「そう決めてきたから、今回は」 「勝手に決めるな。だいいちほら、領収書の名前がワタシになってるし」 と、じょりぃ、強引に支払いを済ませまして。
そのときのナナの様子もちょっと気になってはいたんですが。 ちょっとだったので、あまり気にしませんでした。
帰り道に、別の温泉街を通って帰りながら、○○牧場とおもちゃの博物館にも寄ろうね、なんてその場で計画をたて、出発。
一晩寝て(寝てないけど)、「まあ、人の気持ちはしょうがないし」と諦めもついてきたので、良いお天気も手伝ってゴキゲンも直って和気あいあいとドライブ。 ナナのゴキゲンも良いです。 今日もふたりは仲良し。 めでたいことです。け。
「お昼はそば系がいいよね」なんて話していたら、ちょうどお昼頃に良さそうなおそばやさんを見つけたので、そこでお昼に。 たいへんおいしゅうございました。店の雰囲気もよろしくて。 店を出ようと席を立った途端、なっちゃんから仕事の電話が。 やった!電波が! 昨日泊まった温泉街は、ワタシのツー○ーは圏外だったので、かろうじて電波を拾ったこの電話は嬉しゅうございました。 仕事気になっていたし。 ワタシが電話をしているすきに、ナナが会計を済ませてくれ、そのままなっちゃんと話しながら車に乗り込みまして。
「タマリンから昨日電話もらってたの。してみてくれる?」ということだったので、電波がある今の内にと、車を停車したまま、今度はタマリンに電話。 こちらは仕事の話で少々長引きまして。
隣ではナナが、お金を手に持って待機しております。はて?
電話が終わって。
「おそば代、払わせちゃってゴメン」と財布を取り出しましたら 「待って。 その前に、宿泊代を払わせてください」とナナ。
ああ、それでお金持ってたの?
「いいよぅそんなの」 「だって、いつもなんだもん」 「金持ちなんです」 「このあいだ、『お金がないよー売上ないよー』って言ってたじゃん(笑)」 「同情を引こうと思ったんです」 「とにかく、はい」
ナナ、決心が固そう。
「わかった。じゃあ、ワリカンにしない?」 じょりぃ、マトモな折衷案を提案。 「今回はあたしが払うって決めてたから」 ナナ、頑固。 「なんで? イヤだよ。 なに勝手に」 「いつもいつもじゃあたしだって誘いづらいし誘われづらいでしょ?」
もっともなんですけど。 そもそも、なんでじょりぃが払うのよ、てな感じでしょうけど。
しかしこのときワタシの頭を、ゆうべの会話がよぎってしまいまして。
ああ。 ゆうべに引き続き、ワタシに釘刺してるんですか。 てな具合に。
ゆうべだって、ナナがワタシに釘を刺したくてああいう話をしたのかどうかは不明なわけですが、このときはそう思いこんでしまって、ナナは好意で「払う」と言ってくれているのだろうに、勝手にカチンときてしまったんです。
「ワタシだって、全額払ってもらうのなんてイヤだよ」 自分がやってることと言ってることがメチャクチャなワタシですが。 「いいじゃん。今回は安く済んだんだし、今までの分と思えばそれでもまだ足りないくらいだし」 「とにかくイヤだ。 ワリカンにして」 「あたしもイヤ。 はい」 「イヤだって言ってるじゃん。うああああああ」じょりぃ、ハンドルに頭ぶつけ中。がんがんがん。愛らしいです。 「こんな風にじょりぃにばっかり払わせちゃってると、あたし、これからもう、一緒に行けなくなっちゃうでしょ」
ナナがワタシに気をつかって、ワタシにお金を受け取らせようとしてこう言ってくれているのはわかっていたんですが、ゆうべの件ですっかりひねくれてしまっていたワタシは、「へえ!ワタシがいわゆる本気っぽくすると困っちゃうわけですね。ドロドロしそうでイヤなんですか」とまず思い、その上「何それ!脅迫?」なんて風にも受け取ってしまいまして。
「なら、行かなきゃいいじゃん」 と、ぷいっと目をそらしてお答え。 「 いいの?」 マジ顔のナナ。 「いいよ」 引っ込みつかないワタシ。 「ホントに? ホントにそれでいいの?」 「いいよ」 「行かなくなってもいいの?」 「だから、いいよって(にこ)。 行きたくないならしょうがないじゃん」 今度は目を見てお伝えしてみました。なぜかにっこりと。
このあと、予想外の出来事が。
つづく。
というのは冗談です。
「じゃあもういいよっ。 ここでいいからっ」
ナナ、めずらしく声を荒げてそう言うと、ドアに手を掛け、すごい勢いで車から降りようと。
「え!」
と叫んだ時には、もうドア、開きかけてるし。早っ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って待って待って待って!ゴメン!待って!行かないで!ゴメン!」 <早口の叫び声でどうぞ
じょりぃ、これ以上ないというくらい慌てふためき、ナナの両手首をがっちり捕まえまして。 この人、本気? ていうか、ワタシったら、エラくカッコ悪いんですけど。
ナナはナナで、ワタシに動けなくされながらも車の中で手を振りほどこうと大暴れ。 しかも泣いているし。 って。え?泣いてるの?
「だって、そうじゃんっ。 あたしひとりで帰るからっ。 いいよもー」 えーん。てな具合。
そうじゃん、って、何がそうじゃんなのかよくわからないんですが。 そんなことはさておき。
「ゴメンゴメン。ホントにゴメンナサイ。お願いだから帰らないで!」 引き続き慌て続けるじょりぃ。腰も低いです。 「ヤだ。 帰る。 放してよ」 まだ暴れてます。涙声で。 「帰れないよこんなところから。 一緒に帰ろ? ね? お願い」 「帰れるもん」 えーん。 「ホントにゴメン。ワタシが悪かったです。許して。ゴメン」
とりあえず、暴れるのをやめたので手の力を緩めたじょりぃ。 きょんとケンカしたいつぞやのときのように、手首にくっきり手形アザ、なんてことになったら、パパにどんな誤解を受けるかわかりませんからね。何もしてないというのに。
ナナ、まだ泣きながら 「なんでもう行かないなんて言うの?」と。
「ゴメン。 全然そんなこと思ってないよホントは」
ワタシだって質問したい。 このくらいの会話、今までだってしたことあるのに、なんで今日はそんなに感情的になるの?
ナナ、しばらくひっくひっく泣いた後に
「ひどいじゃん」と。 「ゴメンナサイ」とワタシ。
ナナから離れまして。 ナナ、メソメソと涙を拭きながら
「じゃ、はい」 と、まだお金(全額)をワタシに渡してきやがります。 笑うところですか?もしかして。
だからさあ。
「だから、ワリカンにしようって言ってるじゃん」 ワタシもワタシですが。 「なんで? いいじゃん」 「いくない」 「なんでそんなに意地張るの?」 涙拭きながら言うな。かわいいから。<死ね 「意地張ってるわけじゃないよ。 キミの言ってることは正しいと思うけど、だったらワリカンにすべきだと思う」 「・・・・じゃ、これからはワリカンにしてくれる?」 「うん。 じゃ、そうしよう」
やっと解決。
しかし、びっくりしました。 こんなところで「スローなブギにしてくれ」ごっこをやることになるとは。 (全部の話は知らないのですが、冒頭、山道で主人公の女が車から降りちゃうか降ろされちゃうかしちゃう話だったような)
車を発進する頃には、ふたりともケロッとしていたのがおかしかったんですが。 超一時的に、ものすごい感情の爆発があって、その数分後には笑い合っている、というのがなんだかとても不思議でした。 今泣いたカラスがもう笑った、でございます。
もしかして、ワタシ、はめられたのかな? ナナの思惑どおりに、事を運ぶために。
いや。 いくらなんでも。 ナナにしたって「泣きながら車内で大暴れ」なんて(ナナから見れば)醜態を、好んで晒すはずがないし。 わかんないですけど。
このまま、何事もなかったかのように、さっきのことは水に流してしまっていいのかな。 もしかしたら、ふたりにとって、何かのターニングポイントだったのかもしれないのに?
でも、ナナはもう話題にしてほしくないかも。 泣きながら大暴れの話なんてねえ。
なんて思いながら、牧場に着いてとりあえずアイスだけ食べて楽しく談笑し、また車を発進させて、今度はおもちゃ博物館を目指して車を走らせていたら。
「あー。 なんか眠くなっちゃった」とナナ。 「寝れば?」 「眠いわけじゃないの。 じょりぃさんにイヂワルされて泣いたせいで、目だけ眠いの(笑)」
あら。ナナから話を振ってきてくれました。
「ワタシがイヂワルだったんですか?」 「違うって言うの?」 「ていうかさ・・・あれって・・・脅迫じゃ・・・・」 「(む)何が脅迫よ」 「だって、あそこで帰るって言うの ずるくないかな」 「だってもう、そうするしかないって思っちゃったんだもん」 「ワタシが止めるってわかってて言ったわけでしょ? ずるいじゃんそれって」 ワタシも容赦ないですね。 「わかってないよ。 あたし、じょりぃなら『どうぞ』とか『好きにすれば』って絶対言うと思ってたよ。引き留めないと思った」 「え!」 「じょりぃ、冷たいもん。 あたしはホントに、そう言われる覚悟はあったけど?」
じょりぃって人、ひどいですねえ。 日頃の冷たさぶりがうかがえます。 とびきりやさしく甘やかしているはずの人から、このご指摘。
「そう言われたら、どうするつもりだったの?」 「歩いて帰るつもりだったけど? ・・・って、あたし、あの重い荷物を持って歩けるのか?(笑)」 「はははははは。やっぱ無理じゃん」 「途中でタクシー捕まえて駅まで行けば電車でなんとか帰れるだろうし。とにかく、あの時点ではあたし、本気で自分で帰るつもりだったよ」
すげーこいつ。 怖っ。
「でもホントに意地が悪い、じょりぃ」 「そっちが先にイヂワル言ったんじゃん」 実際ワタシはカチンと来たわけですし。 「あたし? 言ってないよ」 「『もう一緒に行かない』って言ったじゃん」 「『行かない』なんて言ってないよ。『行けない』って言ったんだよ。全然違うじゃん」 「同じじゃ・・・・」 「じゃないでしょ」
考えてみたら違いました。
「じょりぃって、ホントに強情。 それに、冷たいよ」と、ナナがしみじみ呟いていたのが印象的です。
その後も、2度、この話題が出まして。 どっちがきっかけをつくったか、とか、どっちのが意地が悪いか、みたいな感じで。笑いながら。
なんかヘンなの。って感じですが。 お互い醜態だったと思うのですが、なんで楽しそうに蒸し返すのか。
ああ、でも、本当に驚きました。車から出て行かれそうになったときは。 さっきまで笑って話していたのに、突然炎のごとく、ですからね。 そして、咄嗟に両手首を掴んだワタシの反射神経と狙いの良さと瞬間的握力の強さにも驚きましたが。 必死だったんでしょうね。
そして、そのときはもう「行かないで!」に夢中でまったく気付かなかったんですが。 おそらく、顔が異常接近していたはずです。 ちゅーしてしまえばよかった。<本気
って、そんなことしたら、マジでずんずん歩いて帰って行ってしまうことでしょうけれど、ナナ。
で。
今回のナナの爆発ぶりを目の当たりにして、ワタシの中でちょっとだけクリアーになったことがあります。
ワタシはいつも自分でギモンに思っていたのです。 なぜ、ワタシはナナに対しては、他の人に対してのように、「好き」と積極的にアプローチできないのか。 ひとつには「好きすぎてできない」というのがあるのかなと。 そしてひとつは「ナナには家庭があるから」という大前提があるわけですが、ワタシの性格ですと「好きならしょーがないじゃん」という自分勝手ぶりを発揮しても良さそうなところであります。
しかし、それ以外にも「ナナがワタシの事を好きになると厄介なことになるだろう」という危惧もあったのは事実です。 それがなんなのかわからなくて、「もしそうなってしまったら、この世が終わってしまうほど大変なことが起こる!」と、妄想症的な恐れすら抱いていたのですが。
ワタシは、ナナのあの激しさを、潜在的に知っていたのかもしれません。 中学の時から、ナナのそんなところは一度も、かけらすら見たことはないのですが、当時から意識の奥底で知っていたような気がするんです。 3年前に再会してから「子供の前で怒って茶碗を割る」とか「パパの、前の恋人の写真を全部燃やした(しかもパパの実家で/長女ちゃん情報)」といった話を聞くたびに「ええ!まさかあのナナが」と思う反面、妙に納得できる部分もありまして。
ナナが本気でワタシを愛してしまったら(なさそうですけど)、ワタシには彼女のそういった激情を受け止める器量が果たしてあるのか、大変ギモンです。 きょんの存在も、そうなってしまったナナが許せるはずがありません。 きょんのことがなかったとしても、ナナがもし「本気」を発揮したら、自分の激しい感情と家庭の狭間で、おそらく精神のバランスを著しく崩すことでしょう。 簡単に言えば「おかしく」なっちまうんじゃないかと。 ワタシもナナも、不幸に向かって一直線、という気がいたします。
そして、ゆうべのナナの言葉につながります。
「自分が本気になるのも、ゴメンなわけ」
自分でもそう思っているのかな、ナナ。もしかして。
日頃の醒めたような冷たいような態度も、「誰も好きにならない」という気持ちも、自分がそうならないように事前コントロールするための手段なのかもしれません。 そういえば、以前「傷ついたりガッカリしたりしたくないから、あたしは本気で何か考えたり、したりしないんだ」みたいなことを言っていましたし。
とまあ、ワタシなりの、ワタシが持っている情報の範囲内での勝手な憶測ですが、自分なりに整理がついて、ちょっとクリアーになったと。
とにかくびっくりした「スローなブギ」事件だったんですが、この日はこのあと、すっかりいい雰囲気になりましてね。 おもちゃの博物館で、途中、コーヒー休憩を取ったとき、適当に座れそうな場所を見つけて腰掛けたんですが、このときはふたりともぴったりくっついて座ってまして驚きました。そりゃあもう、ぴったりと。 ナナが、ぴったり分のスペースだけ空けて、腰掛けたのでできたことなんですけど。 ワタシもワタシで、「危ないよ」なんつって、ナナの腰に腕を回して誘導したりですね。 いやらしいですね、ワタシったら。もう。 何が「危ないよ」だ。 と、自分で責め立てたい気分でございます。
それに、ゆうべ「気持ちが動いたり、ものすごく好きだと思うことはあるかもしれないけど、ちゅーはしない」と言われたことについても(ワタシを名指しして言ったわけじゃありませんが)、そのときはひどく落ち込みましたが、考えてみれば以前は「これから先、誰かを好きになるなんて絶対にありえない」と言っていたナナだったんですから、これってなんだか状況としては進歩なのかもしれません。 とりあえず、「好きになることはあるかもしれない」になったわけですからね。ちゅーはしなくても。なにもしなくても。
そんなわけで、1日目後半はすっかりしょぼくれていたのですが、旅行が終わってみればにこにこすることができたじょりぃでありました。 とはいえ、「一歩進んで何歩下がっちゃってるのやら」という状況は相変わらずなわけですが。 「このくらいが楽しい」んでしょう。たぶんワタシも。 と、思うことにします。 そうするしかなさそうです。
勝手にやってろですかそうですか。
| 2004年03月14日(日) |
あたしは絶対に、キスしない |
この土日、ナナとの温泉旅行に、無事行って、帰って参りましたじょりぃでございます。 「どうせまた、いつもと同じ様な内容なんだろうよ」と耳掃除かなんかしながら読んでくださるビューワー様もいらっしゃることでしょう。
そのとおりといえば、そのとおりなんですけど。
でも、いつもと違うこともあったんです。 というわけで、ご報告させていただきます。
お天気にもナナのゴキゲンにも恵まれまして、爽やかに温泉までの道のりをドライブ。 なんだか和やかだし、いつもより良い雰囲気です。
途中、湖を見たりしましてね。 会話の端々にも、動作のひとつひとつにも、ナナから今までにない親密さを感じて「あらー」なんて思いまして。
今日は、ひねくれたり拗ねたりヘンによそよそしくしたりしないで、スナオに自然に振る舞ってみよう。 なんて、かわいらしいことを思ってみるじょりぃ。
宿に着いてからは、さらに良い雰囲気に。 重要文化財にも指定されているその旅館は、とっても古いんですが、味わいもものすごくありまして。 探検するところもたくさんあってですね。
「全部探検したいよー」というナナのリクエストに応えて、薄暗い迷路のような館内を、ナナが先に立ってワタシが後をついて、という感じで歩き回っていたんですが。
普通の旅館よりも通路その他がいちいち狭いので、ぶつかったり触れちゃったりとか、一緒にのぞきこんだときに顔と顔がすごく近づいたりという嬉しいハプニングの他にも、この日はナナからの自発的なスキンシップが多くてですね。 スキンシップ、なんて言っても、腕に触りながら話をするとか・・・えーと、あとは・・・・あ、それだけだった。 とまあ、そんなもんなんですが。 でも嬉しいじゃないですか。滅多にそんなことないんですから。
この宿には、「先に入ったもん勝ち」の貸切風呂がふたつありまして。 予約、とか有料、とかでなくて、「来たときに誰も使ってなければ、アナタの貸切ですよ」という実に気がきいているというか大雑把なシステムなんですが。 そこを見にいったときに 「へへへ。 一緒に入ってみる?」 と、「いいよ」と言われたらウソだよウソと返すしかないような冗談を言ってみたじょりぃなんですが。
無視。
ていうか、返事に困っていた、という感じのナナ。
これって、ワタシのこと意識しちゃってるってことなんじゃないの?
なーんて、じょりぃ、すっかり有頂天に。 (実際は「胸元ジロ見」とかが発覚しているため警戒されただけという気もしますが)
こんな、読んでいる人が「あっそ。よかったね」としか言いようのないことを、なぜつらつらと書いているかと言えば、人生には山があればちゃんと谷がある、という話をこれからするためです。 そうです。 もちろん「いい雰囲気のまま××××で☆☆☆!」なんてことに、ワタシとナナがなるはずないじゃないですか。けっ。
館内の探検も終わって、温泉につかりたいけど、なんかだるくて動けずにいたワタシたちは、部屋でぼーっとテレビを見ていたんですが。 テレビでドラマか何かやっていたのかしら。なんだか忘れてしまったんですが、「ちゅー」に関するものが画面で流れていたんです。
そうしたらナナ
「みんな、あーゆーこと好きなのかな」と。 「好きっていうか、その人のこと好きならしたくなるんじゃないの?」 「ふうん。 ・・・で、じょりぃは? 好きな人とちゅーとかしたくなったり、したりしちゃうんだ?」
なにを今さらそんなことを。
「うん。したくなるけど。 するよね?」 「まあ、ふつうはするのかもね。 あたしは今後絶対しないだろうけど」
え!
「絶対?」 「うん」 「・・・な、なんでそんなことわかるのさ。先の事なんてわかんないじゃん」 「だってしたくないんだもん」
じょりぃ、絶句。
「・・・・何ならするの?」 「(笑)なんにもしないよ」
じょりぃ、再び絶句。
今後、ワタシとナナとの間には、絶対にそういうことは起こらないという約束手形をもらってしまったようなものです。 まあ、無理矢理しちゃえば「絶対ない」ということにはなりませんが、そんなのワタシ、全然嬉しくないし。
ええ? でも、 ホントに?
ワタシの絶句状態を見て取ったのか、ナナが続けました。
「気持ちが動くことはあると思うよ。ていうか、あるかもしれないけどさ」 「気持ち」 「うん。 この人のこと、あたし、ものすごく好きだ、と思うことはあるかも」 「でもそれだけなんだ?」 「うん。それだけ。 絶対、ちゅーもなにもしない」
ワタシがどれだけ落ち込んだか。
さっきまで調子づいてたもんですから、なおさらです。 ワタシ、ほんとにバカみたいですね。
そのあと、お風呂に行きまして。 もちろん、別々のお風呂です。
すてきなお風呂だったんですが、なんだかもう、温泉どころではありません。 ワタシ、釘刺されたの?とか、悪い風に悪い風に頭の中で話が進んでいきます。
ナナのお風呂はとにかく長いので、部屋に帰ってからも時間にずいぶん余裕があるじょりぃ。
ビールを飲みました。 やさぐれ飲み。
この一週間、ろくに寝ず、ろくに食べず、今日にいたっては朝からなにも食べていないうちに飲んだビールですから、けっこうまわりました。 とはいっても、全然酔っぱらってるとかそういう感じはないんですけど。
そのうち、ナナが帰ってきまして。
「飲んじゃったの?」と、非難するようなナナ。 宿につくなり「飲まないの?飲めば?」なんて言ってくれてたくせに。なんでやねん。 「うん」 「食べてないじゃん。 大丈夫なの?」 「うん」
楽しそうに、自分の入ってきたお風呂の話をしているナナ。 笑いながら聞いているワタシは、でもなんとなく上の空で。
この宿についてから、「子供たちがよろこぶだろうな」と、「次に家族と来たときは」という話ばかり聞かされているので、そのことについてもふてくされるワタシ。 最初っから、家族でくれば良かったじゃん。 ワタシといる時間なんて、どうだっていいんですね。といった具合に。 いつもなら全然そんなことないんですが。 負のエネルギーでいっぱいのじょりぃ。 お返しにワタシも「次はきょんと一緒に来よう」という話をやたらとしたりして。 お互いに、今このときの楽しさを共有するよりも、次にくる相手との時間がいかに楽しみか話しているあたり、虚しさもひとしおです。
なんだかナナと一緒の部屋にいるのが気詰まりになって「そのへんを散歩してくる」と上着をはおるワタシ。
「そのへんて? 一人で行くの?」 「うん」 「どこ行くの?」 「そのへん」<答えになっていません。 「ふうん。 わかった。いってらっしゃい」
そのへんとはどこかといえば、部屋を出てすぐの喫煙所。 ワタシはかくれタバコなので、そこでタバコを吸いながら、ビールをもう一本。
タバコも手伝って、なんだか酔いがまわります。 いい気持ちでございます。 はらはらと舞い降りる雪を眺めながら、やさぐれ飲みするじょりぃ。
酔っぱらってきたら、なんだかくすくすとおかしくなってきまして。 だってホントにバカみたいだなーワタシーとか思っちゃって。 さっきまでなんで舞い上がっていたんだろう? もしかしたら今夜は・・・なんて考えてたの、誰ですか? くすくすくすくすけらけらけら。
虚。
でも、ナナはどうして「気持ちが動いたとしても、好きだと思ったとしても」ちゅーしたくないんだろう。
パパに気兼ねするってこと? モラル上、よろしくないからってこと? パパ以上に好きな人はできないからってこと? それとも、単にワタシに釘を刺したの?
これだけは、確認しておいたほうがいいかな、と、ちょっと前向きになるじょりぃ。 だって、このへんわかっておかないと、今後の対策が打てないし、ナナにいらぬ不愉快な思いをさせたりするのは不本意ですからね。
ビールを飲み終わったところで、部屋に戻りまして。
「・・・・なんか、すごく酔ってないですか?アナタ」と、ナナ。 「んー。そうかな?」
たかがビール2本なんですがね。
「飲んできたの?」 「うん」 「もう飲まないで」 「ヤだ」 「あたしが先に寝ちゃうの心配してたけど、それじゃじょりぃのが先に寝ちゃうじゃん」 「ぐうぐう」 「・・・・・やっぱ、DVDセットしておいてね。ひとりになっちゃうとつまんないから」
前回に味をしめて、またパソコンとDVDを持参したワタシ。 ていうか、さっきまでは「あたし、10時には寝ちゃうかも。DVD、いらなかったね☆」なんてイヂワル言ってたくせに、ワタシが先に寝ちゃうかもとなったとたんにこれですからね。 ムカつきます。
「はいわかりましたー」 「ホント、あんまり酔わないでほしいんだけどなー」 「ヤだ」 「だって、体が疲れてるんでしょう? よくないでしょ」 「はい」
そもそも。 ナナは酔っぱらいが嫌いです。 自分が飲まないからというのもありますが、飲んだことによって、その人の人格が変わるのを見るのがとてもイヤなんだそうです。
夕飯の時間になったので「行こうか」と、ふたりで腰を上げまして。
「夕飯の時も飲むの?」 「うん」 「・・・・・・・大丈夫かなぁ?」 「うん」 だって、まだ缶ビール2本ですよ?
ワタシが酔っぱらうと、たとえ嫌悪感を伴ったものとはいえ、ナナがワタシを気にかけてくれます。 それが嬉しい。 もはや自暴自棄と描いて「やけくそ」なじょりぃと化してきました。
食事。
「・・・・・全然食べてないじゃん」 めざといナナ。 「おなかがいっぱいになってしまいました」 「ビール飲み過ぎだね」 「そうだね」 「軽蔑しちゃうな」 「そうですか」
いっそ軽蔑してください。いえーい。
話の流れがなんとなく自然になったところで、さっき気になっていたことを訊いてみることに。
「ね、気持ちが動いてもちゅーしないっていうのはさ、パパに気兼ねしてるわけ?」 「んー・・・・ちょっと違う」 「じゃ、なに」 「あたし、ドロドロするような関係はイヤなんだよ。困るの」 「ドロドロ? ちゅうくらいでドロドロかなぁ」 「ていうかさ、本気になられるのは困るじゃん。重くなると思う、あたしの中で」 「・・・・・・・」 「自分が本気になるのも、ゴメンなわけ」
あ そ。
「ふうん」 「そんなふうになる前までなら、あたしは楽しめると思うよ」 「ふうん」 「じょりぃは、好きになったら、そーゆーこともしたいんだ」 「うん」 「あたしはしたくないな。しちゃったらきっとつまんないよ」 「ふうん」
今後の展望が望めないという点では同じですが、「パパに悪いから」とか「パパ以上に好きな人はできないと思うから」という理由ではなかったので、ちょっとだけ浮上するワタシ。 しかしまあ、撃沈は撃沈。 落ち込んだ気分は変わりません。
それからは、なんだか孤独を愛するじょりぃに変身。 今日はそれまでが「素直に振る舞おう!」と心がけていただけに、反動がどどーんと。
でも、せっかくの旅行にひねくれた態度も取りたくないので、結果、ひとりでふらふらと放浪したがるはめに。 こんなときは、ひとりで落ち込むのが一番。 ナナと一緒にいて、妄想したり萌えちゃったりするのもイヤだったんです。 いつもはこんなこと言ってても、それなりにそういうことを楽しみながらの自制、という感じを味わっていたのですが、今日はそんな思いをしたら、虚しくなるばかりですからね。
ていうか、タバコも吸いたいし。
ということで、「ちょっと外を散歩してくる」と、支度を始めるワタシ。 「え? こんな時間にひとりで?」 「うん」 「危ないよー。あたしも一緒に行こうか?」 「行きたいなら別にいいけど。寒いよ外。中にいれば?」ひとりになりたいので冷たいじょりぃ。 「わかった」 「じゃあね」 「やっぱあたしも行く」 「行きたいの?」 「うん。行きたい。ていうか、あたし、街を歩いてみたいって言ってたじゃん」
ナナ、大いばりで一緒に行くことに。
でも、出掛けてみたら、もう雪はやんで、満天の星空で、ふたりして「星が近い!」と大喜びして楽しかったんですが。 ひねくれモードのワタシとは裏腹に、素直に楽しんで「あの路地も入ってみよ?」「ほらっ。スマートボール!」なんてはしゃいでいるナナを見ておりましたら、まあいいかーという気持ちになってまいりまして。
帰ってきてからまたお風呂に入り、ビール飲んで、眠ることに。
しっかりと釘を刺されたおかげで、これっぽっちも「あわよくば」と悶々とすることなく眠りにつけました。 ていうか、暑いせいと落ち込んだせいで一睡もできなかったワタシなんですが。 隣ですうすうと眠るナナの顔を見るのもさみしくて、ナナに背中を向けたままぢいっと一夜を過ごしまして。
すっかりあきらめモードで迎えた翌朝。 やさぐれた気持ちになっていたとはいえ、このあとまさか、ワタシとナナがふたりして大きな声を出し合うようなケンカが起きるとは、もちろん夢にも思っておりませんでした。
ということで、長くなったので、続きは明日に。
| 2004年03月06日(土) |
ありがとうシルバームーン |
本日、大都会東京(のあまり都会でないところ)でまったりと過ごしながら、5時頃に思い立ってナナにメールを送ってみました。
ゆうべは泊まりにいけなくて残念だったー、みたいな、こっつまんない内容です。
「あ、そう」としか返事のしようのないメールですから、返事は来ないだろうなと思っていたら、やっぱり来ませんでした。
しゅん。
来ないだろうな、と思ってはいたけど、来ないとやっぱり「ちぇ」と思うじょりぃ。
そしたら、夜中の1時を回ってから返事がきました。
もう寝てるかな? 今日は楽しく行ってこられた? 体調は大丈夫ですか?
誰からのメールでしょう。 というくらいやさしい感じで、かえっておたおたするじょりぃ。 もう一度、差出人を確認してみたりして。<情けないです
嬉しくて、すぐに返信。
起きてるよー。楽しかったです。 体調は、疲れてはいるけど、バッチリでございます。 そっちは元気?
もう、うじゃじゃけちゃってて、読んでいるかたにとってはあくびが出るほどつまらない内容でございますが。 ここのところ、ナナとの関係について勝手に一人で葛藤していたので、とにかく嬉しかったんです。許してください。ていうか、罵倒してください。言葉で責めてください。縛ってください。誰かそろそろワタシを止めてください。
元気だよ、おやすみー、という返事を想像して待っていましたら
あ、それと今夜は月がきれいだね。 外がすごい明るい。
と返信が。
ワタシはナナが月の話をワタシに振ってくれるのが大好きなのです。 ワタシが「月が好きなんだ」と話してから、月が印象的な夜はたまにこのようなメールをくれるようになりまして。 それって、僅かでも、ナナがワタシを思い出してくれているということです。 ワタシはだから、以前よりもっと月が好きになりました。
嬉しくて、寒い寒いと震えながらも、庭に出て月を眺めるじょりぃ。 忠犬ハチ公のように健気です。わんっ。
今、外に出て見てみた。 ホントだ。気持ちいい。きれいだ。
勝手にしろという声が聞こえてきましたが、嬉しくてしかたないので続けます。 だってワタシ、ホントにここのこところ、勝手にいろいろと思い悩んでいたものですから、とにかく嬉しかったんです。 大目に見てくださると、スクラッチくじが当たるんじゃないかと思います。
でしょ。 私は元気でした。 気持ちいいところでもう寝れば。 私は窓から空が見れるように寝るところです。
なんかステキじゃん。 窓際で寝るの? 冷えるから気をつけてね。(あー、自分で書いててイヤになります。何が「冷えるから気をつけてね」だ。このひょーろく玉が!) 私も今夜はカーテンを開けて寝ようっと。
サムい。 自分がサムすぎます。 なんて思っていたら、ふたたびナナから
前のお宅の2階のトイレの電気がつけっぱなしなのがちょっと気になるんだけど・・・。 ゆっくり休んでね。 おやすみ。
せっかくロマンチックな雰囲気満載だったのに、人んちのトイレの話題で締めますか。
お隣さん、トイレの電気はちゃんと消しておいてくださいよまったくもう。
今のままでも十分じゃないか、自分。 気持ちを伝えなくても、こうして同じ月の光を浴びながら眠ることができるというシアワセ。 (ワタシが強引に「一緒に」にしたわけですが) この先の刺激を過剰に期待することもないじゃないか、自分。
なんてことも、来週温泉に行ってしまえば、こう思ったこともすっかり忘れて「あわよくば」なんてギラギラしたりするわけですが。 そして一喜一憂してひとりで大騒ぎするわけなんですが。
とにかく、今夜は心安らかに眠りにつけそうです。 ありがとう、シルバームーン。 (ホント、今夜の月は見事に銀色でございますよ)
| 2004年03月03日(水) |
よーく考えてみよう(欽ちゃん風) |
前回のナナワタで「気持ちを伝えようかな」と書いたら、掲示板に「言わない方が・・・」というニュアンスの書き込みがちらほらと。 モニタの前でひとりでニヤニヤと笑ってしまいましたワタシ。 そおかー。言わない方がいいのかー。と。 今、これを打ちながらもニヤニヤが止まらない気持ちの悪いワタシ。 どちら様の書き込みも「うんうん、そうだよなあ」と深く頷けるものばかり。 そして、じょりぃごときのために心配してくださるみなさまに、深く感謝しております。
なんでニヤニヤしたのかと言うと。
実はよくわからないんですが。 なんて言うんでしょうね。 「脈のなさ」をみなさまと共有している自虐的な楽しさとでもいいましょうか。 あるいは嬉しいのかもしれません。 去年の今頃は、ワタシ、ひとりでナナのことを悶々と悩んでいたのに、今ではこうして、客観的な意見を言っていただけたり、親身になって(な、なってくれてますよね?)心配してくださったりするかたがいてくださる、ということが。 本当にありがとうございます。ニヤニヤニヤ。嬉しニヤけ。
さて。 せっかくなので、「気持ちをナナに伝える」ということについて、もう一度ぢっくりと考えてみようと思います。 K先生の死のショックで、感情が高ぶってしまっているフシもあるかもしれませんからね。 ちょっと自分を見つめ直してみます。
そもそもは、「気持ちを伝えたところでナナの負担になるばかり。言わないのが真の愛」というのが、ワタシのナナに対するスタンスだったわけです。 どんなにナナのことを好きでも、相手の負担や足かせになる以上、気持ちを伝えたいというのはワタシの単なるエゴである、と。 声高らかに宣言していたじょりぃ。
今でも基本は一緒です。 だいたい、このまま「気持ちが伝わっているようないないような」でいたほうが、波風も立たないし、ひとりで勝手な妄想にふけることもできます。 「ホントはナナだって、ワタシのことが好きなはず☆」てな具合に。 きょんに対する罪悪感も、今のままならそう感じずにいられますしね。 「もっと感じろ!」とおっしゃるモラルにあふれるかたもいらっしゃるとは思いますが、そこはそれ。 ワタシの罪悪感なので、ワタシの基準にならざるを得ないわけです。あきらめてください。 ワタシがどんなにモラル欠如な最低人間であろうと、今も一緒に並んで「勝手に改造」というアホマンガをふたりでゲラゲラ笑いながら読んでいるこの生活を、そしてきょんのことを、ワタシが深く愛しているのは事実であります。 そして、ナナのことをずっとずっと思い続けているのもまた事実。 人生が楽しくてしかたありませんよっこらしょと。
で、ナナです。 「気持ちを伝えたところでナナの負担になるばかり。言わないのが真の愛」という信念。 これがここのところ、「はて?」と考え直すことが多くてですね。
ナナが何度かワタシに言ってくれた「何を言われても、あたしはじょりぃのこと負担に思ったりしないよ」という言葉を、ワタシは「売りかぶせて」いたんじゃないかなと。 売りかぶせって何?という感じですが。 「買いかぶり」の反対の言葉が思い浮かばなかったので、作ってみました。売りかぶせ。
要は「そんなこと、言う前だからそう言ってるケド、実際『好きだ』と伝えられたら負担になるに決まってるじゃん」と思っていたということです。
しかし、ナナとのつきあいが深まるにつれ。 一緒に過ごす時間が増えるにつれ。
この人にとっての「負担」とか「後悔」とかって、そういうことなんだろうか、と思うようになってきたのです。
ナナは両親を亡くしているわけですが、折に触れ「もっと話を聞いてやればよかった」とか「あたしにできることがあったはずなのに、目を背けていた」ということで後悔を口にしております。
両親という、大切な存在と同じ土俵に上がるつもりはないのですが。
もしワタシが死んでしまったら、ナナに同じ後悔をさせてしまうかもしれない、と、最近思うようになりまして。
ナナはおそらく、ワタシがナナに「友情」以上の好意を持っていることは気付いていると思います。 「中学の時からずーっと思い続けている人」が自分である、というところまでは思っていないかもしれませんが。 ワタシがナナに対して、ひとかたならぬ特別な感情を持っている、ということは察していると思うんですよね。
今のこの状態というのは、ナナにとっても、居心地の良い状態かもしれません。 自分が憎からず思っている相手に「この人あたしのこと好きなのかな?」と思いながらつきあっていく、というのは普通に考えても気分の良いものな上に、ナナは何事によらず「手前感覚」の好きな人です。 お互いに気持ちを伝え合うまでが好き、エッチも行為そのものよりそこに至るまでのドキドキが好き、といった具合の手前感覚。 「じょりぃがアタシに気持ちを伝える寸前で止まっている、今のこの状態」は、彼女には楽しいものではないかという気がするのです。
ワタシも今の状態は、非常に自分にとって都合のいい状況です。 気持ちを伝えたわけじゃない、だから、悪いことしてない。 パパのことも子供たちのことも裏切ってるわけじゃない。 きょんのことだって。 てな具合に。
ナナにとっても、ワタシにとっても都合のいい、今の関係。
なんというか、ワタシとナナの関係って、ひとつのラインをクリアしたんだと思うのです。 もうお互い「ねえ、私のこと好き?気兼ねなく誘っていいの?なんでも話していいの?」と疑うことなく、お互いがお互いを必要としているという自信と信頼を持つことができた、というライン。
それはそれで一仕事終えたわけですが(ここまで来るのもそれなりに苦労したわけですし)、今っていわゆるぬるま湯状態です。 「このままでいいじゃん。少なくとも、致命的なケンカでもしないかぎり、ずっとナナと『特別な友人』として側にいられるんだし」という気持ちが私の中に生まれております。
もちろん、それはそれでいいんですが。 別に安いドラマみたいに、わざわざやっかいな状況を作り出して話を盛り上げる必要もないんですが。
そこにK先生の死です。 K先生は、ワタシがどんなにK先生を慕い、尊敬していたか、きっと知らないで亡くなってしまいました。 K先生にとってはなんてことないことかもしれませんが、ワタシは知ってほしかった。 ワタシには「なんてことある」ことだったのです。 言えば良かった。会えば良かった。 こういう後悔って、ワタシしたことなかったんです。
初めての後悔を経験し、
ナナと、ホントにこのままでいいの?
と、考えてしまったのです。
ワタシがナナに気持ちを伝えることによってその後派生するものは、ワタシとナナに都合の悪いことばかりです。 まずナナは、「じょりぃにそーゆーふーに愛されちゃってる自分」として、意識してつきあっていかなければなりません。 今までのように屈託なく「温泉行ってくるね」と家族に言えなくなるかもしれません。 相手は実は、ナナを相手に目と心をギラギラさせている人間なんですから。 子供たちに「じょりぃちゃんて好きな人いないのかなー」なんて訊かれた場合に「う"」と思わなければいけないかもしれません。 ワタシが落ち込んだりすると、いちいち「あたし、なんかじょりぃのこと傷つけたか?」と思い悩むようになるかもしれません。(今だってその手のことでウザがられているというのに) ワタシはワタシで、今までのように「出掛けようよ、泊まりで☆」と屈託なく誘えずに、常に「下心があると思われたらどうしよう」とビクビクしなければならなくなります。 露出が少なくなって、タンクトップ1枚で涼んでくれるようなこともなくなるかもしれません。(低俗ですかそうですか) 「ワタシの気持ち、知ってるクセに!」と、理不尽な怒りを爆発させるかもしれません。 「ねえ、じゃあ、きょんさんとはどんな関係なの?」と、容赦なく聞き込みをされるのも避けられないでしょう。
おまけにおまけに。 あの小悪魔オンナのことです。
ワタシの前で、わざとパパといちゃいちゃするかもしれません。
やりそうです。やらないはずがありません。あの野郎。
でもまあ、上記のようなことは、考えてみればささやかなことです。
一番最悪なのが、「距離を置かれてしまう」ことです。 とはいえ、最近は、これはなさそうな気もしているんですが。 それでも何もかも今までどおり、というわけにはいかないでしょうね。
でも、もし距離を置かれてしまったとしても。 避けられるような事態になってしまったとしても。
それでも気持ちを伝えないよりはいいのかな、と今は思うのです。 避けられちゃったとしたら、今現在仲良くできていたとしても、所詮それまでのつきあいだということです。 ナナにとってワタシは「リスクを抱えても側にいて欲しい友人」ではない、ということ。 それならそれで仕方ないかな、と。 ただ、それでもワタシはナナを思い続けるでしょう。 それがどれくらいツライことなのか、今は見当もつきませんが。
で、一番「最悪」なのが避けられてしまうことだとして。
一番「厄介」なのが「ナナがワタシを好きになってしまうこと」です。
「ありえないから」って言いましたね?
確かにそうなんですけど。
でももし。もしってことで話を進めさせていただきますが。
もしそうなってしまったら、これは一波乱です。 これは完全にナナを苦しませることになりそうです。 家族に対して罪悪感を持つでしょう。 さらに、きょんだって巻き込まれます。 厄介です。
そして、結果として。
ワタシとナナが一緒になることを選べば、とんでもないことになります。 ナナ家は崩壊です。 じょりぃ家も崩壊です。 これが結果その1。
結果その2。
そうならないように、別れちまうんじゃないでしょうか。 あるいは、「ただの友達」として、お互いの気持ちを封印してつきあっていくか。
なんて明るくない未来なんでしょう。
こりゃやっぱり、告白なんてしないに越したことはありません。
なのに。
以前に比べて、前へ進みたがるワタシ。 次のラインに向かって一歩踏み出したいワタシ。 「伝えておけばよかった」と後悔したくないワタシ。 「じょりぃの気持ちはわかっていたんだから、ちゃんと受け止めるべきだったんじゃないか」と後悔させたくないワタシ。
というワタシどもがわさわさと心の中で行ったり来たりしているのです。
一方、「気持ちを伝えたところでナナの負担になるばかり。言わないのが真の愛」という気持ちも、未だしっかりとワタシの中には根を下ろしております。
さてさてどうしたものかしら。
まあゆっくり考えよう。 というのが今までのパターンでしたが、のんびりしているとみんな死んじまいますからね。 って気付いてしまったじょりぃ。
とりあえず「ナナ優先」体制で、のんびりと焦りつつ、ようく考えてみます。
掲示板にもちょろっと書きましたが、中学時代、ワタシの所属するソフト部の顧問だった恩師・K先生が亡くなったので、告別式に行ってまいりました。 「サボってばかりいて問題児だったあたしが行っても、先生、『なんでナナが来たんだ』と思うかもしれないけど、じょりぃが行くならあたしも行く」と言って、ナナも一緒に。
とにかくワタシにとっては、ものすごく影響力のあった先生だったので、それなりに喪失感も深くてですね。 繊細でナイーブで照れ屋で、でもそういうところを人に見せることすら恥ずかしそうな人で、でもちゃんと伝わっちゃってるんだよ先生、みたいな、人で。 先生の美学のようなものは、ワタシの魂にもしっかりと刷り込まれて、今のワタシがあったりするわけなんですが。 でも、ナナにそういうことを話すのは、照れくさいような格好悪いような気がして、一緒にいるあいだは感情のシャッターを降ろして告別式に臨んでおりました。 うっかり泣いてしまったりしたら、弱みを見られるようでイヤだ、という、大切な人の葬式にまでつまらない見栄を持ち込む、実にワタシらしい話でございます。
ナナは、自然に悲しみ、自然に涙しておりましたが。
中学の時の体育の先生(女性)も来ておりまして。 K先生とずっとおつきあいがあったようで、この先生はもうぐしゅぐしゅに泣いていたのですが。 そもそも、K先生の退職祝いを企画して、みんなに声をかけてくれたのもこの先生でした。 ナナはこの先生に、担任してもらったことがあり、ワタシも担任はもってもらわなかったものの、ずいぶんと目をかけてかわいがっていただいたものですから、先生の涙にはぐっとくるものがありました。
お焼香が終わって。 ナナが「どうする?お見送りまでしていく?じょりぃ、忙しいんだよね?」と。 「お見送りって何?」 モノを知らないじょりぃ。 「んーと、献花するんだよ」 「献花・・・てことは、顔、見えちゃうの?」 「うん。 見たくないか(笑)」 「うん、見たくない」
K先生、ガンでなくなったのですが、入院してからはお見舞いもすべて断っていたそうで。 弱っている姿を見せたくないということと、相手に気を遣わせたくない、という気持ちだったそうなんですけど。 そんなK先生は、死に顔を見られたくないんじゃないかな、とワタシは思ったのです。 あくまでも「ワタシは」ですけど。
「じゃ、帰る?」 「ん・・・」 「・・・・・あたしは、なんか、献花したくなっちゃったんだけど」 「しなよ」 「待てる?」 「うん」
沈黙。
「あのさ」とワタシ。 「なに?」 「ワタシが死んだら、見ないでね」 「何を?」 「顔」 「ああ(笑)。 いいよ、わかった」
ああ。 ホッとした。 これは前から言っておきたかったのですよ。
「あのさ」と、今度はナナ。 「ん?」 「あたしのときは、ちゃんと見てね」 「(笑) わかった」 「心配しなくても大丈夫。 あたし、きっと、すっごいきれいな顔で死んでるから(笑)」 「(笑)すごい自信だね」
キミが見られてもイヤでないなら、たとえどんなにぐちゃぐちゃになってても、ワタシはちゃんと見ます。 ホントはそのほうが、大切な相手に対して責任がある態度という気がするし。 でもワタシは、絶対に見られたくないの。ゴメンねナナ。
そのあと、体育の先生(M先生)のところへご挨拶に。 「来てくれたんだ」と、先生、またぽろぽろと。 ワタシは泣かない代わりに、めっきり口数が少なくなってしまいまして。 もっぱらナナとM先生でお話していたんですが。
M先生が途中でワタシに話を振ってくれまして。 「じょりぃは? 仕事は順調なの? 相変わらずがんばってるの?」 「まあ、なんとか(笑)。かつかつで」 「がんばってますよー。この人、忙しくて全然寝てないんですよ」とナナ。
ナナの世話焼き風の代弁が、なんとなく嬉しいじょりぃ。
「寝てないの?」とM先生。 「心配なんですよねー。寝ないし、眠れないし」と、ワタシが答える前にナナ。 「寝てるよ」とワタシ。 「じょりぃ、体だけは気をつけないと。過信しちゃダメだよ」 「はい」
不思議なもので、先生に言われるとスナオに聞けます。 肝心の中学時代は、何言われてもカチンときたものでしたが。
「じょりぃの動きは特別だったよね。あたしは当時はまだ現役のつもりでいたけど、『この子にはかなわないな』と思ったもの」とM先生。 「ジャージがよく似合ってね(笑)」と。
中学時代のいちばんの印象が、運動神経とジャージ姿って、なんだか間抜けな気もしますが、覚えていてくださったのは嬉しいことです。
「『ジャージでばかりいないで、ちゃんと制服を着ろ!』とよくM先生に怒られたものでしたが(笑)」とワタシ。 「先生だからね。言わなくちゃならないんだよー」照れくさそうなM先生。 「ナナは、いつも笑っててかわいくてねー。怒られるようなことばっかりしてたけど、怒ってもニコニコしてるから、なんだか怒れないんだよね」と、今度はナナ評。
そう。 そういうヤツでした。 で、一緒にいると、いつもワタシだけ怒られるの。 それもM先生に。 よく二人乗りを怒られていたのですが、ある日ワタシだけ職員室に呼び出されて怒られたあと、 「ナナに引きづられちゃダメだよ。仲良くするのはいいけど、ナナとじょりぃは違うんだから」 と注意されたこともありました。
先生にしてみればどちらもかわいい生徒だったと思うのですが、確かにナナとワタシではつきあう友達も全然違っていたし、先生もいろいろと思うところがあったのでしょう。 傍目から見てもハッキリとわかるほど、たぶんワタシはナナに振り回されていたのだと思います。 気付いていなかったのはナナばかり。
それにしても。
ワタシはK先生と話しておきたいことが、実はあったのです。 つまらないことばかりですが、今のワタシの生きる姿勢などを示してくれたのがK先生だったこととか、ワタシがどんなにK先生を尊敬していたかとか。 わざわざ話すようなことではないけれど、それでも一度はきちんと伝えたいと思っていたのに、できなくなってしまいまして。
ワタシ、今頃気がついたんです。 今まで、「自分がもし死んでしまったら」ということはよく考えたのです。 早死にしたかったので、常にそういう前提が自分の中にあったのですね。 で、今回K先生が急に亡くなってしまって、「相手が先に死んじゃう事もあるんだ」という、あたりまえの事実に、今日ガツンと気がつきました。 「自分が死ぬ前に、ナナに好きだと伝えたい」と、今まで思ってましたが、ナナが死んでしまったらやっぱり伝えることはできないわけで。 しかも、ワタシはナナがいなくなってからも生きなければならないのですから、後悔の強さというのは、こちらのほうが激しそうです。 K先生が亡くなって、言いたいことを伝えられなかっただけで(だけで、という言い方も不謹慎ですが)こんなにショックなのですから、これがナナだったらどうなることやら。 ナナだけじゃない、両親にも、友達にも、その他いろいろな人に対して「いつかいつか」と思って「大事なこと」を先延ばしにしていることに、がっつりと気付いてしまいました。
やっぱり、ナナにちゃんと伝えよう。 結果はどうでもいいや。
なんて思ったりして。 今度の温泉の時にでも話してみようかな。
それでふたりが恋仲になる、ということは、まずないと思うんですよね、ワタシたちの場合。 それでも、やっぱり伝えた方がいいのかな、全部わかった上でナナにもワタシと向き合ってもらったほうが、それがワタシにとっての真の人生というものかもしれない・・・などと考えたりもしました。 ナナにとっても。
まだ揺れてますけど。
が、しかし。
夜、ナナと電話で話しておりましたら、しばーーーらく他の話をした後に、「パパのお母さんが、具合が悪くなっちゃって。来週検査なんだー」とナナ。 「ふうん。心配だね」
しばらくお母様の話をしまして。
「でね、あたしが今何が気になっているかというとね」 「うん」 「検査の結果次第で、ええと、パパが『こんなときに温泉行く気かよ?』って言うんじゃないかと・・・」 「ああ」
まあ、そりゃ仕方ないでしょうね。
「お義母さんにはすっかりお世話になってるからできる限りのことはするつもりでいるんだけど、でもあたし、今回は自分からは温泉どうしようかなとかは言わないつもりなの。たとえどんな結果が出ても」 「そうなの?」 「うん。そりゃ、もうヤバイ、とかなら話は全然別だけど、パパがいるわけだしさ、土日だし」 「うん」 「あたしがいなければ、どうにもならないってわけじゃないし」 「うん」 「だから、あたしは行くつもりでいるけど、もしダメになってしまったら、ゴメンナサイ」 「しかたないよ」 「・・・スネスネにならない?」
また!
「拗ねないよー」 「ホントに?」 「うん」
いや。 拗ねるかな。 でもしょーがないですからねえ。
というわけで、「温泉の時に伝えようかな」なんて思っていた矢先に、温泉行きそのものが怪しくなってまいりました。 あらあら。
こんなもんですよね。
そして今日の「最低なワタシ」。
胃が痛くなるほどK先生の死がショックだったくせに、告別式に向かう車の中でヨコシマなことを考えておりました。 ナナの葬儀用のワンピース、膝丈だったんですが。 助手席に座ると、膝上まで足が見えるんですよね。
ストッキング履いた足って、エロくないですか。 しかも足が太いのを気にしているナナは、滅多に膝上までのチラリってないんですよね。 というわけで運転しながらチラチラと目がいってしまいました。 「K先生・・・」とか思いながら。
帰りの車の中では、足にコートをかけてしまったナナさん。
気付いてましたかもしかして。 あらあら。
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